短絡術後の小児水頭症28例に対し, 脳幹機能の障害の有無を検討する目的でABR検査を行うとともに, MLR, SVRの検討も加えた。 その結果,
1. ABRに異常を認めたものは28例中6例で, 先天性重度水頭症 (脳形成不全性水頭症) に高頻度に異常が見られた。 キアリ奇形II型では脳幹形態の異常が明らかであるにもかかわらず, ABR上の変化は認めなかった。
2. 今回のABR検査の結果から, 先天性重度水頭症とキアリ奇形II型とでは脳幹の聴覚路に及ぼす影響が異なることが推測された。
3. MLR, またはSVRに異常を示したものが61%存在した。 なかでも, ABRは正常であったがMLRとSVRともに異常であったものが37%存在した。
4. MLR, SVR検査の結果から, 水頭症例は脳幹よりもさらに高位中枢の聴覚路に影響を及ぼすことが多いと思われた。
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