良質河川産骨材の枯渇と建設事業の増大により未利用資源の積極的開発が進み, わが国のコンクリート骨材の産状は, 陸・山・海と極めて多岐にわたっているが, 粗骨材および細骨材はそれぞれ砕石および海砂が主流を占めようとする大勢にある。海砂の使用についてはこれまで危険視されていたが, 需給の関係で質よりも量の考えが優先し, 現状は全国的な規模にまで普及している。この海砂の品質上の問題点としては, 単一粒度, 貝がら混入, 塩分含有等が挙げられるが, 特に後者によるコンクリート中の鉄筋の発錆についてはまだ十分な検討がなされていない。
本報告は塩分を含むコンクリート中の鉄筋の発錆に関して, 塩化ナトリウムと塩化カルシウムの発錆性, 単位セメント量の効果, コンクリートのひびわれの影響, 防錆剤の効果等を促進試験によって調べた結果と, これら塩分がコンクリートの凝結あるいは強度等に及ぼす影響について試験した結果を述べ, 海砂に含まれる塩分の危険性を指摘した。
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