従来, 鉄鋼スラグと二酸化炭素との反応は知られていたものの, 均一な反応をスラグの成形体内で起こすことが難しく, 実用サイズの大型スラグ炭酸固化体をつくることができなかった。この二酸化炭素によるスラグの炭酸化反応をつかって, 適当量の水分の添加とガスをスラグの成形体内に吹き込むことにより, 1m大の固化ブロックを製造することに成功した。できた固化体はブロック全体で均一な炭酸化反応が起き, 圧縮強度19N/mm
2, 嵩密度2.4g/cm
3のものが得られた。また, 2年間の陸上および海中での耐候性試験でも亀裂や脆化を起こさなかった。このブロックは, 製造時にCO
2を吸収することにより二酸化炭素による地球温暖化防止への貢献, スラグの有効利用, 藻場用材料としての利用による環境改善など, 高いポテンシャルを持っている。ここでは, 炭酸化反応, この新しい炭酸固化体製造プロセス, そして用途について, 過去の研究の流れも見ながら解説する。
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