コンクリート工学
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27 巻, 8 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 和泉 正哲
    1989 年 27 巻 8 号 p. 5-17
    発行日: 1989/08/01
    公開日: 2013/04/26
    ジャーナル フリー
    日本では, すでに20棟を超えるパッシブ型の制振 (いわゆる免震) 建築物が建設され, また, 大臣認定を得るために日本建築センターに評定依頼のあったものは, 現在までに30数件に及んでいる。また, アクティブ型の制振 (いわゆる制振) 建築物についても, ようやく模型実験の域を出て実物に応用されるようになってきたが, 大地震時の制御を意図する制震までには至っていない。もちろん, 免震・制振いずれの構法も, まだ完成されたものではない。たとえば, 免震建物では入力地震動, ことに大規模地震時の地盤の揺れの特性が必ずしも把握されておらず, ことに軟弱地盤でのゆっくりした地盤の揺れが現在のタイプの免震建物にとって不利であろうと考えられていることや, 上下動方向に対しては, 通常, 減振効果がなく, むしろ増幅傾向にすらある点が問題である。またアクティブな制振建物では, 設計時における入力地震動予測の重要性は緩和されるという利点をもつものの, 建設や維持・管理の費用が莫大となり, 強い地震動を対象とする制震構造は現在のところ経済的に成立せず, また実際の機構の性能も, 制振の完全実現には作動の時間的な遅れなどの重大な不安を残しているのが現状である。しかし, 建物全体ではなく, その一部分のみを対象とするアクティブ制振は, もし大地震時にもエネルギー供給が可能であるならば, 次第に実現されてゆくであろう。免震・制振いずれの構法も, 今後, 改良が重ねられ, また地震工学一般の発展にともない, 震源や波動伝達の機構も今よりも明らかになり, 地震動の推定精度も上がり, また, 確率的な取扱いをする振動理論 (いわゆるランダム振動理論) も実用化され, 構法の設計においても的を絞りやすくなるものと期待されている。石造, コンクリート造のような重い構造物は, 一般的に言って地震に対して不利である。免震・制振構法は, 将来, このように地震に対し不利な構造物を耐震上安全なものとするために利用されてゆくとともに, そこで蓄積された技術は, 安全ではあるが人に地震時中に恐怖感を与えるような建物に対しても, “揺れの質を良くするため” に応用されてゆくものと思われる。すでに, 耐震上は安全な木造建築への応用例も見られる。また, 建物, 鉄塔, 橋のような建築・土木系の構造物以外にも, たとえば重要機器類の制振等, その利用範囲が拡大されてゆくであろう。ただし, 制御が高精度で高価なものになるほど建設系技術者の手を離れ, たとえば兵器産業からの技術の移転というかたちで発展してゆく可能性も強い。このときには, 建築家は, ハード面での技術の開発者ではなく, 開発された性能を熟知してそれを利用するというシステム・エンジニアとして, ソフト面での技術を生かした本来のかたちに戻ることになろう。同じことは, 免震・制振建築についても言える。すなわち, 開発された技術は性能として表示され公開されて, 非開発者でも利用できる一般的な構法となろう。すでに, その準備は建築センター等においてなされつつある。
  • -日本建築学会指針 (案) を中心に-
    壁谷澤 寿海
    1989 年 27 巻 8 号 p. 18-26
    発行日: 1989/08/01
    公開日: 2013/04/26
    ジャーナル フリー
    日本建築学会は, 鉄筋コンクリート造建物を対象とした終局強度型の耐震設計指針 (案) を昨年10月に公表した。本稿では, この指針 (案) について, 特徴的な考え方, 本文および解説に示された内容, 現行設計法との相違点, 背景となった研究の概略を紹介するとともに, 問題点, 将来の課題等について述べる。
  • 関西国際空港連絡橋
    鈴木 達彦, 山中 浩
    1989 年 27 巻 8 号 p. 27-37
    発行日: 1989/08/01
    公開日: 2013/04/26
    ジャーナル フリー
    関西国際空港連絡橋下部工の施工においては, 鋼管ぐい基礎上に一括設置した鋼製橋脚と鋼管ぐいを一体構造とするための水中コンクリートに, 分離を抑制する混和剤を用いたコンクリート (以下, 特殊水中コンクリート1) と呼ぶ) を採用した. このコンクリートは, 水中分離抵抗性に優れているため, 品質が均一で, 周辺水質の汚濁を抑制し, 流動性, 充填性, 付着性に優れ, 所要の強度が確保できる特長をもっている。本稿は, 鋼製橋脚一括設置工法において大量に特殊水中コンクリートを使用するに際し事前に行った配合試験, 施工試験を紹介し, 実施工における配合設計, 品質管理, 施工管理について報告するものである。
  • -日東製粉東京工場-
    入野 鉄朗, 藏 正幸, 中林 正勝, 室山 秀夫
    1989 年 27 巻 8 号 p. 38-46
    発行日: 1989/08/01
    公開日: 2013/04/26
    ジャーナル フリー
    輸入穀物を貯蔵するサイロは, 植物防疫法にもとつく, くん蒸が行われる。そのため, サイロビンには気密性が要求される。従来のRCサイロは, コンクリートの経年劣化により気密性が低下すると言われている。本稿は, 気密性確保のためRCサイロの円形ビン内側に鉄板を配設し, これを構造体とした鉄板内張りRCサイロの施工の報告である。施工上のポイントは, (1) 板厚2.3mmの鉄椥ングの製作, (2) 型わく, 支保工, 足場をユニット化し, せり上げにより進める筒身工事, (3) 小型ディストリビューターによるコンクリートの打設などである。
  • -東京ガス (株) 根岸工場LPG地下タンク-
    峯岸 孝二, 上野 衛, 平田 義弘, 小野 定, 木村 克彦
    1989 年 27 巻 8 号 p. 47-57
    発行日: 1989/08/01
    公開日: 2013/04/26
    ジャーナル フリー
    LPG地下タンク底版は, 厚さ1.45m, 直径36.2mのマスコンクリートで, 先行して施工された外周部側壁と一体で施工された。また, 施工時期が夏期であったため, 品質確保の面からも温度ひびわれ制御が重要な検討課題であった。検討の結果, 液体窒素で冷却した砂を用いたプレクーリング工法を採用して, 約15OOm3の冷却コンクリートを施工し, 温度ひびわれを防止することができた。本報告は, 当地下タンク底版における温度ひびわれ制御の検討, プレクーリング計によるプレクーリングの施工について述べたものである。
  • 広沢 雅也
    1989 年 27 巻 8 号 p. 58-67
    発行日: 1989/08/01
    公開日: 2013/04/26
    ジャーナル フリー
  • 大岸 佐吉, 小野 博宣, 大岡 俊彦
    1989 年 27 巻 8 号 p. 103-114
    発行日: 1989/08/01
    公開日: 2013/04/26
    ジャーナル フリー
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