口腔衛生学会雑誌
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20 巻, 3 号
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  • 松平 文朗, 志村 則夫, 大西 正男, 谷 宏, 塩沢 武夫, 金香 嘉郎
    1971 年 20 巻 3 号 p. 215-217
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/03/02
    ジャーナル フリー
    ドライアイス・エタノール寒剤で冷凍処理したアマルガムを学童の大臼歯ウ蝕充填に使用した。1年後にその予後を観察し, 通常のアマルガム充填で得られた対照群と比較し, 二次ウ蝕発生率 (4.5%/6.9%) の差をX2-testした。両群の間には, 5%水準で有意の差が認められなかつた。
  • 山田 茂, 相田 孝信, Kok Yen YIN
    1971 年 20 巻 3 号 p. 218-222
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/03/02
    ジャーナル フリー
    小学校児童386名を対象として, 歯の健康診断に先立つて質問紙による予備調査を行い, これをその直後に行つた歯の健康診断と対比し次のような成績を得た。
    1. 歯の健康診断の予備調査のために, 質問紙によつて, 1) 「このごろ, 歯が, いたんだことがありますか」, 2) 「食べものがよくかめないと, おもつたことがありますか」, 3) 「歯ならびの, わるいことを, いつも, 気にしていますか」, 4) 「いつも, 口をあけている, くせが, ありますか」, 歯ぐきから, 血が, でやすいですか」の5問について回答を求めた。
    2. 上記1・3・5問は歯の健康診断の予備調査として役立つところが多いものと考えられる。
  • 鈴木 康司, 末田 武, 呰 礼子, 豊田 満佐子, 木下 四郎
    1971 年 20 巻 3 号 p. 223-230
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/03/02
    ジャーナル フリー
    歯ブラシの型と硬さの違いが, 口腔清掃効果, 特に歯頬部の歯垢除去にどのような影響をおよぼすかを知るために本実験を行なつた。すなわち, 毛足の長さ, 毛束の数, 植毛部面積を同一にした上で, 型 (3種) と硬さ (3種) の異なる9種類の歯ブラシを作製し, 歯列異常なく, 歯冠補綴物の入つていない男女18名に, これらの歯ブラシを用いて, スティルマン改良法を行なわせた場合, いかに歯垢が除去されるかを観察した。
    その結果歯ブラシの硬さについては, 危険率5%で有意な差がみられ, 硬い歯ブラシが歯頸部の歯垢除去により効果的であることがわかつた。また型については, 有意な差はみられなかつたが, ストレートのストレートカットが他の2種に比較してよい傾向がうかがえた。またその後の経過観察から, これらの歯ブラシによる歯肉粘膜に対する傷害は1例にも観察されなかつた。
    以上から歯周疾患の予防あるいは治療のために, スティルマン改良法を充分指導して行なわせる場合, 出来るだけ硬い歯ブラシを使用させることがよいと考えられた。
  • 木村 仁彦
    1971 年 20 巻 3 号 p. 231-245
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/03/02
    ジャーナル フリー
    口腔外科領域における疾患に対して, 侵襲負荷が全身に与える影響を, 疾患の生体負荷をとり除くという側面と手術による侵襲が生体負荷となるという側面の動的平衡について検討を行なつた。
    資料は, 三重県立大学医学部付属病院口腔外科に昭和36年4月より昭和40年12月までに入院し, 外科的処置を行なつた患者146名 (年齢3歳ちり76歳), 男子76名, 女子70名のDonaggio反応値 (D-値), Zambrini-渡辺反応値 (Z-値), 流血中白血球数および好酸球数である。疾患としては, 顎骨骨折 (22症例), 顎腫瘍 (19症例), 蜂窩織炎 (18症例), 顎炎 (37症例), 顎嚢胞 (53症例) である。
    測定指標として, 各疾患の衛前測定値を基礎疾患負荷の指標, 術後1日目の測定値を侵襲負荷の加わつた指標, 術後7日目の測定値を侵襲負荷のとり除かれた指標とした。
    1) 各指標の経時的変化の検討
    基礎疾患負荷と手術侵襲負荷の指標については, D-値に蜂窩織炎, 顎嚢胞にそれぞれ5%, 2%の危険率で有意差が認められた。Z-値および白血球数には全疾患に有意差が認められた。好酸球数は, 骨骨折, 蜂窩織炎, 顎嚢胞に1%の危険率で有意差が認められた。
    侵襲負荷がとり除かれた指標については, 顎腫瘍の白血球数以外の疾患に有意の差を認めた。
    2) 各疾患間における指標の検討
    基礎疾患負荷の指標において, D-値は, 顎骨骨折と蜂窩織炎, 顎炎, 顎嚢胞の間に有意差が認められた。顎嚢胞と顎骨骨折, 顎腫瘍, 蜂窩織炎に有意差が認められた。Z-値は, 顎嚢胞とすべての他疾患の間に有意差が認められた。白血球数は, 顎嚢胞と蜂窩織炎および顎炎の間に5%の危険率で有意差が認められた。
    手術侵襲負荷の指標については, D-値は, 顎骨骨折と顎炎, 顎嚢胞の間に0.1%, 1%の危険率で有意差が認められた。蜂窩織炎と顎嚢胞の間には5%の危険率で有意差が認められた。Z-値は, 各疾患間の有意差が認められなかつた。白血球数は, 蜂窩織炎と顎嚢胞の間に1%の危険率で有意差が認められた。好酸球数は, 疾患間に有意差が認められなかった。
    侵襲負荷がとり除かれた指標については, D-値は, 顎骨骨折と顎炎, 顎嚢胞に0.1%の危険率で有意差が認められた。蜂窩織炎と顎炎に5%の危険率で有意差が認められた。顎炎と顎嚢胞に2%の危険率で有意差が認められた。Z-値は疾患間に有意な差が認められなかつた。白血球数は, 蜂窩織炎と顎嚢胞に0.1%の危険率で有意差が認められた。好酸球数は, 蜂窩織炎と顎嚢胞の間に0.1%の危険率で有意差が認められた。
    3) 測定指標の相関
    侵襲負荷がとり除かれた指標の疾患別相関は, 顎骨骨折は, D-値と好酸球数に相関が認められた。顎腫瘍は, D-値とZ-値に相関が認められた。蜂窩織炎は相関が認められなかつた。顎炎は, Z-値, 白血球数および好酸球数に相関が認められた。顎嚢胞は, 白血球数および好酸球数に相関が認められた。
    4) 侵襲負荷の加わつた指標の各指標間の相関
    顎骨骨折は, 各指標間に相関が認められなかつた。顎腫瘍は, Z-値と好酸球数に相関が認められた。蜂窩織炎は, 各指標間に相関が認められなかつた。顎炎は, D-値と白血球数に相関が認められた。顎嚢胞は相関が認められなかつた。
    5) 侵襲負荷のとり除かれた指標の各指標間の疾患別相関
    顎骨骨折は, Z-値と白血球数に相関が認められた。顎腫瘍, 蜂窩織炎は相関が認められなかつた。顎炎はZ-値, 好酸球数に相関が認めちたれ。顎嚢胞は, D-値と白血球数に相関が認められ, Z-値と好酸球教, 白血球数と好酸球数に相関が認められた。
    以上の成績により, 外科的手術侵襲は, 基礎疾患に加えて全身的負荷を与えることが認められた。
    疾患の負荷および手術侵襲負荷に対しては, 顎骨骨折が他疾患より生体反応に大なる有意差を認めた。顎嚢胞は他疾患に対して生体反応に小なる有意の差を認めた。
    最初に想定した3時期の指標の妥当性を各指標の検討により指摘した。
    各測定指標の相関については, 各指標が生体反応をあらわすといわれているが, 数組合せに有意な相関が認められたに過ぎず, 生体反応の機構の複雑さを示すもので今後の実験観察を行ない検討を要するものと思われる。
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