フッ化物配合歯磨剤 (以下F歯磨剤) の生涯を通じた利用を推奨・啓発していく過程において, その利用状況および, F歯磨剤を含めた歯磨剤に対する住民の評価を把握する必要がある。本研究の目的は, 新潟市, 笹神村, 弥彦村の住民の口腔保健行動 (歯磨きの頻度, F歯磨剤の利用状況および, 歯磨剤の選択理由) を明らかにすることである。
その主な結果は以下の通りである。
1. 歯磨きの状況は, 新潟市群, 村部群とも全年齢層を通して, 「毎日する」と回答した者の割合が最も高かった。中学生以上の年齢層では, 「毎日する」と回答した者の割合が95%以上の値を示していた。
2. 歯磨剤利用者に占めるF歯磨剤利用者の割合に地域差は認められなかった。
3. 歯磨剤利用者に占めるF歯磨剤利用者の割合は, 年齢層が高くなるに従い利用率が低くなる傾向にあり, 80%以上から約40%程度まで推移した。
4. 歯磨剤の選択理由として, 歯磨剤の薬効性に関連すると考えられる項目を挙げた者は歯磨剤利用者の45.9%であり, 36.8%の者は「特に理由はない」と回答していた。
5. F歯磨剤利用者の内, 「フッ素が入っている」ことを選択理由とした者の割合は, 13.2%であり, また, 非F歯磨剤利用者の内, 1.6%の者が「フッ素が入っている」を選択理由としていた。
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