口腔衛生学会雑誌
Online ISSN : 2189-7379
Print ISSN : 0023-2831
ISSN-L : 0023-2831
23 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 大谷 広明, 大西 正男, 石田 篤郎, 天羽 中
    1973 年23 巻1 号 p. 1-12
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    歯磨剤と歯ブラシを用いて歯口清掃を適正に行なう事は, 歯周疾患の第二次予防に極めて重要である。この観点から, 歯肉疾患の予防や治療に効果が期待されるAluminium Chlorhydroxy Allantoinateを0.30%歯磨剤に添加し, 上記薬剤を含有しない歯磨剤を対照として, その薬剤の効果について比較検討した。検査法として上顎前歯部唇面歯肉の炎症症状をPMA-lndexを用いて評価した。又同時に同部位の石膏模型を採得し, 模型上の乳頭部形態 (P-Index) , 及びStip Plingの分布状態 (S-Index) , を観察評価する新しい手法をも用いた。さらに止血効果については自覚的に比較検討した。
    その結果, 対照歯磨を使用しても歯肉炎症の軽減作用が若干は認められたが, これにAluminium Chlorhydroxy Allant Oinateを添加した歯磨剤はさらにすぐれた止血効果と歯肉炎症の軽減効果を示し, 口腔粘膜や歯肉への悪影響も特に観察されないので, 歯周疾患の第二次予防用歯磨剤として効果が期待できるものである事を認めた。又模型を用いた2評価方法はPMA-Indexとの相関性が良好であり, 歯磨剤使用前後に於ける歯肉炎症の形態的経時変化を並べて客観的に比較評価が可能である事などに鑑み, この種の試験には有用な手法と考えられた。
  • 雫石 聰, 佐治 靖介, 常見 琢夫, 松村 敏治
    1973 年23 巻1 号 p. 13-18
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    唾液抗菌因子 (S. A. Factor) の本態は過酸化酵素である. しかしネズミ唾液腺に含まれる過酸化酵素は一種類でなく, 抗菌性の有無や等電点の差により少なくとも二種以上存在することが明らかにされている。そこで本研究においては, これらの過酸化酵素について細胞内分布がどのように異なるかを検討した。まずネズミ耳下腺細胞を分画し, 各画分における過酸化酵素, S. A. Factorおよびα-アミラーゼの分布を追求した。その結果, 過酸化酵素は他の臓器と同様に軽ミトコンドリア画分 (Lm画分) に多く分布し (30%) , 分泌顆粒画分 (G画分) には少なかつた (6%) 。これに対してS. A. FactorはG画分に多く分布し (18%) , Lm画分には少なく (9%) , その分布はα-アミラーゼと類似していた。次にGおよびLm画分について等電点分画を行ない, 二種以上存在する過酸化酵素の各々がどのように分布しているかについてさらに詳しく検討した。その結果, G画分には抗菌性の強い過酸化酵素 (Fr. 1, 等電点6.41) と弱い過酸化酵素 (Fr. 2, 等電点7.25) の2つが存在しているのに対して, Lm画分には抗菌性の弱い過酸化酵素 (Fr. 2, 等電点7.12) のみが存在した。これらの事実から, S. A. Factorは代表的な唾液腺分泌酵素であるα-アミラーゼとともに分泌顆粒画分に局在しているものと結論される。
  • 桜庭 幸夫, 馬越 章夫, 岡田 治夫, 森本 基, 木所 正直
    1973 年23 巻1 号 p. 19-31
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    歯科用エァータービンによつて歯を切削した際の切削粉塵が, 診療室の環境汚染を大とすることについては従来2~3の人々によつて検討されてきた。吾々は今回A. T. E. による切削粉塵の飛散浮遊する粉塵の大きさ, 経時的および距離による減少率等について知見を追加するための実験を行なつた。
    1. 切削点より近い位置に多く飛散しており, 切削点の直前方及び歯科医師の診療位置に最高濃度があり, その値は30秒の歯の切削直後空気1ml中975個であつた。
    2. 粉塵は時間とともに落下するが, 静穏な状態でも切削前値に戻るには15~25分を要する。
    3. 粉塵の粒度分布は2~20μの間にあり5μ以下が半数を占める。
    4. 切削点より距離が遠くなるに従って, 大きな粒子は減少し, 次第に微細粒子が残留する。
  • 桜庭 幸夫, 竹内 貢, 小林 義彦, 榎並 秀栄, 西方 雄三, 長谷川 汎
    1973 年23 巻1 号 p. 32-38
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    歯科用真空吸引器 (DVA) はメーカーによつて種々なものが市販されている。これら市販のDVA. を用いてその効果について検討した。
    1. DVA. を使用することによつて用いない場合の25~87%の減少率を示した。
    2. DVA. の種々なタイプのAdapterによつて吸引効果に差があり口径の大なるもの程その吸引効率は良い。診療動作上口径の大きさには限界があることが考えられるが口径10.2mmが最良であつた。
    3. DVA. を用いた際の飛散粉塵の粒度分布は, 用いない場合に比して小さい粒子が吸引されず微細粉塵が多い。DVA. の機能としては, これら微細粉塵の吸引効果をあげられるよう改良する必要がある。
    4. 切削時にadapterの位置は切削部位にできる限り近くすることが必要であり, 不適当な場合は効果を期待し得ない。
  • 山田 茂, 難波 彰, 岡田 圭二, 八巻 麗子, 広田 幹哉, 宮沢 正臣
    1973 年23 巻1 号 p. 39-44
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    従来児童生徒などの歯垢沈着状態を前歯部だけの検査成績で示す例をみるが, 前歯部と臼歯部とでは歯垢沈着状態が違う場合があるので適当でないと考えられる。われわれは中学校2校の2学年生153名を対象として, 全顎28歯の状態を少数の歯で代表せしめるにはどのような方法が適当であるかを検討し, 66 66 または 21 12 の唇面の状態をもつて代表せしめることが適当であると考えられるに至つた。この方法を歯垢指数AM法と称して推奨したい。
  • 近藤 武, 矢崎 武, 奥寺 元
    1973 年23 巻1 号 p. 45-51
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    日本の代表的産地の緑茶について, その浸出液中フッ素濃度を測定した結果, 一般的に高級茶 (玉露) に高濃度のフッ素を認め, さらに1回目の浸出で比較的多量のフッ素が浸出され2回目以後は少ない傾向がみられた。これらはお茶のおいしさを決める一つの科学的方法となるかもしれない。日本人のお茶からの平均的フッ素摂取量は0.48~0.97mg/日と計算され, 1日の食品よりのフッ素摂取の主要な部分を占るものと考えられた。成人男子について飲用実験を行つたところ, 緑茶浸出液中のフッ素の吸収はNaF溶液にくらべ遅れるが, 排泄は比較的速かに行なわれる傾向が認められ, NaFと緑茶中のフッ素との代謝のちがいを思わせた。また, この実験中, 尿中に排泄されるフッ素量について検討したところ, 尿中フッ素濃度 (ppm) は採尿量, 採尿時間により変動が大きいために, 尿中フッ素の測定と評価は一定時間内の蓄尿中のフッ素量 (μg) をもつて行なわれるべきものと考えられた。
  • -衛生教育の資料-
    増田 勝美, 遠藤 哲雄, 善本 秀知, 山本 茂樹, 古井 博仁, 原田 奈緒
    1973 年23 巻1 号 p. 52-71
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    医療とは医学と社会とを結ぶパイプであると教えられた。さすれば, 私どもは常に幅と深みのある臨床家でなくてはならない。
    また, 臨床家がこの医療に対処するには医療行為そのものと患者あるいは社会教育との2面があることも常に忘れることができないが, これが教育に関しては患者の無知か, 術者の怠慢か, 患者に対する適切な時期の適切な指導がしばしば多忙を理由に省略されがちであり, この点私どもは大いに反省している。
    そこで, このたび, 先ず患者とのコミュニケーションの正常化を意図し, 口腔衛生をはじめ矯正, 補綴, 外科, 小児歯科そして保存の各分野における患者教育の資料をまとめているが矯正教育の資料に関しては一先ず完了し, 本衛生に関するデータも第5報でそのアウトラインを得ることができた。
feedback
Top