【目的】本調査は冷え症者の性別と冷え行動因子、 健康関連QOL尺度SF-8 (以下、 SF-8) のサマリ-スコア、 Body Mass Index (以下、 BMI) との関連性を模索し、 鍼灸治療の方向性を検討した。
【方法】対象は本調査に同意した753名であった。 調査は直接配布形式で2008年9月に実施し、 解析は有効回答者629名 (男538名、 女91名、 平均年齢27.4±6.8歳) で行った。 調査票は年齢、 性別、 身長、 体重、 冷え症状の有無、 先行研究による自覚的冷え症状の行動パタ-ン24項目およびSF-8から構成した。 SF-8による8尺度は専用スコアリングソフトで国民標準値得点を算出し、 今回はそれらを2つの因子にまとめあげたサマリ-スコアである身体的健康度 (以下、 PCS) と精神的健康度 (以下、 MCS) を用いた。 解析にはAmos Ver.7を用い、 冷え症状の行動パタ-ン合計点 (以下、 冷え得点)、 サマリ-スコア、 BMI、 性別について多母集団による構造方程式モデリングにより因果関係を検討した。
【結果】本調査のモデル適合は比較的適合度指標 (CFI) 1.00、 赤池情報量基準 (AIC) 75.886、 平均二乗誤差平方根 (RMSEA) 0.00で高い適合度を示した。 自覚的冷え症者について男性では冷え得点からPCS (β=-0.175、 p<0.01) とMCS (β=-0.179、 p<0.001)、 PCSからMCS (β=-0.089、 p<0.05) と影響を示し、 一方、 女性では冷え得点からMC (β=-0.601、 p<0.001)、 PCSからMCS (β=-0.244、 p<0.05) と影響を示した。
【考察】冷え症者について男性ではQOLへの影響は低く、 女性では精神的因子への影響が伺われた。
【結語】冷え症に対する鍼灸治療は性別を考慮する必要性が示唆された。
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