【目的】コミュニケーション・スキルは、 近年、 鍼灸師にとって重要な能力と認識されるようになった。 本研究の目的は、 鍼灸師の医療コミュニケーション・スキルを測定する尺度を開発することである。
【方法】質問紙調査の対象は、 鍼灸専門学校生、 鍼灸教員養成科学生及び鍼灸師の合計 522 名であった。 鍼灸師の医療コミュニケーション・スキルを測定するための質問項目は先行研究の概念分析より抽出された要素を参考にして 20 項目とした。
尺度の信頼性は、 Cronbach のα係数を用いて検討した。 また、 尺度の妥当性は、 相関分析と重回帰分析を用いて日常的なコミュニケーション・スキル尺度 (ENDCOREs) 下位尺度得点あるいは日本語版状態-特性不安尺度 (STAI) の特性不安尺度得点との比較により検討した。
【結果】質問紙調査の有効回答者 443 名の回答を主因子法プロマックス回転による因子分析を実行した。 その結果、 20 項目から 3 因子 16 項目が抽出された。
3 つの因子は、 Ⅰ. 「患者受容と自己統制」、 Ⅱ. 「患者への適切な説明」、 Ⅲ. 「患者の心情理解」 と命名した。 すべての因子において高い内的一貫性が確認された (alpha = .872 ~ .892)。
医療コミュニケーション・スキル尺度 3 因子と日常的なコミュニケーション・スキル尺度 6 因子との間に有意な相関関係がみられた。
重回帰分析の結果では、 特性不安尺度得点が医療コミュニケーション・スキル尺度 3 因子に影響を及ぼさなかったのに対して、 日常的なコミュニケーション・スキル尺度の各々の因子は医療コミュニケーション・スキル尺度 3 因子を説明した。 医療面接自己評価得点は医療コミュニケーション・スキル尺度 3 因子との間に有意な相関関係を有していた。 加えて、 それら 3 因子は臨床的経験の程度に影響を受けていた。
【結論】以上の結果から、 作成した尺度は鍼灸師の医療コミュニケーション・スキルを評価するための有用な尺度であることが示唆された。
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