全日本鍼灸学会雑誌
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64 巻 , 4 号
全日本鍼灸学会雑誌
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
巻頭言
基調講演
  • 山岡 傳一郎
    原稿種別: 基調講演
    2014 年 64 巻 4 号 p. 190-196
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/06
    ジャーナル フリー
     患者は、 個人・家族の複雑な歴史をもって私共の前にあられる。 医療現場で最初に行われる医療面接ではこのような時間的認識が不可欠である。 このような時間的認識のための方法として、 私共は時系列分析法を開発してきた。 一方で、 穴位の変化を詳細観察すると、 5パターンにすることができる。 各々に対応した鍼灸治療があり、 穴位変化は全身の空間的認識に不可欠である。 この二つの視点、 時間的認識としての時系列分析と、 空間的認識として穴位分析を運用することによって、 こころとからだの癒やしを求めることが、 伝統的治療の根幹であることを報告する。
報告
  • 高梨 知揚, 西村 桂一, 辻内 琢也
    原稿種別: 報告
    2014 年 64 巻 4 号 p. 196-203
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/06
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は、 在宅療養支援診療所の医師を対象として、 在宅緩和ケア領域における鍼灸師との連携の実態を明らかにすることを目的とする。
    【方法】在宅でのがん緩和ケア実績のある在宅療養支援診療所 297 施設を対象とした。 郵送法による自記式質問紙調査を行い、 回答は診療所所属の医師に依頼した。 質問紙は、 鍼灸師と連携をして在宅緩和ケアを実践している施設数、 連携の現状、 および情報共有の実態と方法を把握する内容とした。
    【結果】294 施設中 98 施設から回答を得た (回答率 33.3%)。 現在鍼灸師と連携して末期がん患者のケアを実践しているのが 14 施設 (14.3%)、 過去に連携をしたことがあるのが 9 施設 (9.2%) であった。 鍼灸師と連携してケアする患者の症状は、 疼痛、 吃逆、 浮腫、 腹水、 便秘等が挙げられていた。 鍼灸師と連携することによるメリットについては、 「症状の緩和」、 「患者の満足度の向上」、 「患者のモチベーションの向上」 などの記述が見られた。 鍼灸師との情報共有の有無について、 「必ず共有する」 が 7 施設 (50%)、 「状況に応じて共有する」 が 7 施設 (50%) で、 「情報共有しない」 施設は無かった。 今後の在宅緩和ケアにおける鍼灸師との連携についての考えを尋ねたところ、 全体のうち 「積極的に連携したい」 が 9 施設 (9.2%)、 「状況によっては連携を考える」 が 65 施設 (66.3%) であった。
    【結論】本研究より、 在宅緩和ケア領域において、 在宅療養支援診療所医師と鍼灸師とが連携している施設が 14.3%存在することが判明した。 また、 連携により症状緩和だけではない患者ケアが実践できる可能性が示唆された。 一方で、 鍼灸師が在宅緩和ケアの現場に関わるためには、 患者情報やチームとして行われているケアの状況を適切に把握する必要があり、 医師をはじめとした他職種と連携を図り情報共有する為の環境整備を推進すべきであると考えられた。
  • 奈良 雅之, 戸村 多郎, 小島 賢久, 福田 文彦, 中村 真通, 藤田 洋輔
    原稿種別: 報告
    2014 年 64 巻 4 号 p. 204-211
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/06
    ジャーナル フリー
    【目的】コミュニケーション・スキルは、 近年、 鍼灸師にとって重要な能力と認識されるようになった。 本研究の目的は、 鍼灸師の医療コミュニケーション・スキルを測定する尺度を開発することである。
    【方法】質問紙調査の対象は、 鍼灸専門学校生、 鍼灸教員養成科学生及び鍼灸師の合計 522 名であった。 鍼灸師の医療コミュニケーション・スキルを測定するための質問項目は先行研究の概念分析より抽出された要素を参考にして 20 項目とした。
     尺度の信頼性は、 Cronbach のα係数を用いて検討した。 また、 尺度の妥当性は、 相関分析と重回帰分析を用いて日常的なコミュニケーション・スキル尺度 (ENDCOREs) 下位尺度得点あるいは日本語版状態-特性不安尺度 (STAI) の特性不安尺度得点との比較により検討した。
    【結果】質問紙調査の有効回答者 443 名の回答を主因子法プロマックス回転による因子分析を実行した。 その結果、 20 項目から 3 因子 16 項目が抽出された。
    3 つの因子は、 Ⅰ. 「患者受容と自己統制」、 Ⅱ. 「患者への適切な説明」、 Ⅲ. 「患者の心情理解」 と命名した。 すべての因子において高い内的一貫性が確認された (alpha = .872 ~ .892)。
     医療コミュニケーション・スキル尺度 3 因子と日常的なコミュニケーション・スキル尺度 6 因子との間に有意な相関関係がみられた。
     重回帰分析の結果では、 特性不安尺度得点が医療コミュニケーション・スキル尺度 3 因子に影響を及ぼさなかったのに対して、 日常的なコミュニケーション・スキル尺度の各々の因子は医療コミュニケーション・スキル尺度 3 因子を説明した。 医療面接自己評価得点は医療コミュニケーション・スキル尺度 3 因子との間に有意な相関関係を有していた。 加えて、 それら 3 因子は臨床的経験の程度に影響を受けていた。
    【結論】以上の結果から、 作成した尺度は鍼灸師の医療コミュニケーション・スキルを評価するための有用な尺度であることが示唆された。
臨床体験レポート
  • 福田 晋平, 江川 雅人
    原稿種別: 臨床体験レポート
    2014 年 64 巻 4 号 p. 212-218
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/06
    ジャーナル フリー
    【目的】鍼治療による歩行障害の改善が携帯型歩行計 (PGR) により客観的に示されたパーキンソン病 (PD) の 1 例を報告する。
    【症例】症例:72 歳女性。 主訴:歩行困難、 頸肩部の重だるさ、 大腿前面部のこわばり感。 現病歴:64 歳時に右手の振戦が出現し、 PD と診断された。 抗 PD 薬の服薬によって症状は軽減したが、 71 歳時に頸肩部の重だるさや大腿前面部のこわばり感を自覚し歩幅が狭くなったため鍼治療を開始した。 現症:歩行は小刻みですくみ足、 日に 5 回の転倒を認めた。 頸肩部の重だるさは、 頸部から肩甲上部に認め、 重だるさが増悪すると前傾姿勢となり歩幅も狭くなった。 こわばり感を自覚する両側の大腿四頭筋に筋緊張亢進を認めた。 [鍼治療]後頸部や両側の大腿部の筋強剛に伴う筋緊張の緩和を目的に、 筋緊張亢進領域で圧痛の認めた経穴 (天柱、 風池、 伏兎、 血海、 梁丘等) に鍼治療を行った。 治療頻度は 1 回/週とした。
    【評価】歩行は PGR で 「歩行の力強さ」 「歩行速度」 「歩幅」 を測定した。 歩行バランス機能は TUGT で、 PD 症状は UPDRS で評価した。 評価は初診時と鍼治療期間終了時に行った。
    【結果】鍼治療は 12 週間に 12 回行った。 4 診時より、 頸肩部痛や大腿部のこわばり感は軽減し、 転倒回数は 1 日 5 回 (初診) から 3 回 (4 診)、 1 回 (7 診) と減少した。 歩行の力強さは 0.15 から 0.17 (m/sec2)、 歩行速度は 49 から 53 (m/分)、 歩幅は 47 から 49 (cm) となり、 TUGT は 11.8 から 9.5 (秒) と短縮し、 歩行障害の改善が客観的に示された。 UPDRS は 41 点から 28 点と低下し、 PD 症状の改善を認めた。
    【考察と結語】鍼治療により、 筋強剛に伴う筋緊張による頸肩部の重だるさの軽減が姿勢を改善させ、 下肢の筋緊張の緩和が歩行機能の改善に寄与したと考えられた。 また、 本症例は、 歩行障害以外の PD 症状に対しても改善を認めた症例であった。
国際部報告
編集者への手紙Letters to the Editor
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