全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
Print ISSN : 0285-9955
ISSN-L : 0285-9955
70 巻 , 4 号
全日本鍼灸学会雑誌
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
追悼
巻頭言
原著
  • 林 侑里
    原稿種別: 原著
    2020 年 70 巻 4 号 p. 288-299
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/28
    ジャーナル フリー
    【目的】鍼灸治療の基礎研究にて酸化ストレス度や抗酸化力に対する鍼治療の影響が報告されている。しかし、アトピー性皮膚炎の鍼灸治療の評価に酸化ストレス度・抗酸化力を用いて検討した報告は無い。本研究では健常成人とアトピー性皮膚炎における酸化ストレス度・抗酸化力の違いを比較し、アトピー性皮膚炎に対する鍼治療の影響について酸化ストレス度・抗酸化力を指標に用い検討した。 【方法】同意を得た森ノ宮医療大学学生を対象にアトピー性皮膚炎患者5名と健康成人5名に行った。研究1はアトピー性皮膚炎患者と健康成人の酸化ストレス度と抗酸化力の比較を行った。研究2は鍼治療効果について一事例条件反転法ABABA法を用いて行った。A:無治療期間、B:鍼治療期間とし各10週実施した。評価は酸化ストレス度 (d-ROMs)、抗酸化力 (BAP・OXY-absorbent)、皮膚の水分量と掻痒感の程度とした。鍼治療は40 mm ・16号、ステンレス製ディスポーザブル鍼を用い、左右の尺沢・三陰交・足三里と補助穴 (2穴) に置鍼術 (10分) を行った。 【結果】アトピー性皮膚炎患者は健康成人に比べ酸化ストレス度は増加しており 「ボーダライン域」 の状態であった。一方、抗酸化力は不足している状態であった。アトピー性皮膚炎患者に鍼治療を行うことにより酸化ストレス度は有意に低下し、正常値になった。一方、抗酸化力においては、鍼治療期間だけでなく無治療期間においても増加を認めた。皮膚水分量、痒みの程度には変化が無かった。 【考察・結語】アトピー性皮膚炎患者は酸化ストレス度が増加し、抗酸化力が不足している状態であったが、鍼治療を繰り返し行うことにより酸化ストレス度は正常値になった。一方、抗酸化力は鍼治療以外の要因も加わった可能性があり、鍼治療のみの効果を確かめることが出来なかった。鍼治療により皮膚水分量が変化しなかったため、痒みが軽減しなかった。
  • 吉原 央恵, 大内 晃一, 橋本 厳, 芳野 智秋
    原稿種別: 原著
    2020 年 70 巻 4 号 p. 300-307
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/28
    ジャーナル フリー
    【目的】鍼灸師養成施設教員の臨床及び教育における銀鍼に対する意識調査を実施した。 【対象と方法】全国の鍼灸師養成施設 (専門学校) 87校の教員を対象に無記名式アンケート調査を郵送法により実施し、各施設につき2名の回答者を依頼した。回収データの統計解析としてFisherの直接確率検定及び単純集計を実施した。 【結果】調査票回収率は67.8%であり回答者数は118名であった。臨床で銀鍼を使用する者は35名 (29.7%) であり、そのうちディスポーザブル鍼のみを使用する者が28名 (80.0%) と最多であった。臨床での銀鍼の使用状況と治療法 (P<0.01) との間に有意な関連性が認められた。使用理由の最多は、気などの概念を用いた 「東洋医学」 によるものであった。一方、使用しない理由で最多は 「経済面」 であった。銀鍼の教育の必要性を認識している者は93名 (80.9%) であった。必要とする理由は技術向上によるものが最多であった。必要としない理由は、臨床での銀鍼の必要性が低いことによるものが最多であった。 【考察】銀鍼使用者のうち、ディスポーザブル鍼の使用者が多かったのは、銀鍼特有の衛生管理の困難さによると考えられる。銀鍼の使用理由は、「気」 など東洋医学的概念によるものが最多であることから、銀鍼の使用状況と治療法との間に関連性が認められた可能性がある。銀鍼の欠点として認識されている 「経済面」 等の要因が臨床における銀鍼の使用低下につながっていることが示唆された。一方で技術向上の為、銀鍼教育の必要性を認識している者が多かったものの反対意見もあり、銀鍼教育の実態調査が課題であると考える。 【結論】調査の結果、臨床において銀鍼を使用している者は少ないが、銀鍼教育の必要性を認識している者は多いことが明らかとなった。今後、教育現場における銀鍼教育の実態を明らかにする必要がある。
報告
  • 米国、 韓国、 日本
    安藤 文紀, 鶴 浩幸, 北小路 博司
    原稿種別: 報告
    2020 年 70 巻 4 号 p. 308-318
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/28
    ジャーナル フリー
    【目的】先進国の鍼の利用や制度を調査し、我が国で鍼が発展する課題を検討する。 【方法】米国・韓国・日本について、pubmed.gov、scholar.google.com、google.comで acupuncture 、regulation、educationなどのキーワードを用いて英語文献と日本語文献を検索した。 【結果】日本の年間鍼灸受療率は減少傾向にあるが、米国の鍼受療者の割合は増加し、韓国は鍼灸を最も利用していた。米国では47州とコロンビア特別区で鍼の法規制が有り、43州と特別区で鍼を医師の業務範囲としていた。2020年から連邦政府は高齢者の医療保険制度で鍼の費用を補償するようになった。韓国では伝統医学である韓医学の制度が法制定され、韓医師が鍼を含む韓医学の保険診療を行っていた。米国では医師1万人が鍼の講習を受け、医師の鍼の学会会員は1,300名以上、2018年の鍼免許保有者は37,886人。2016年の韓医師は23,845人。米国連邦政府は医療保険の適用のため、鍼施術者に鍼の修士課程修了以上の学歴を求め、13州と特別区で医師が鍼を実施するには200時間以上の教育が必要。韓国では高卒後6~7年等の教育により韓医師を育成し、国家試験後4年間の専門医研修プログラムにより鍼灸科専門医を養成している。 【考察・結語】前報を含め調査した6か国の内、医療施設での医行為として鍼を提供しない制度は日本だけであった。海外に比べ日本は医療としての鍼の情報が少なく、国民から鍼が医療として認知されないことが、鍼受療率低下傾向の一因と考えられる。日本の鍼が発展するには次の4つを検討することは重要と考える。1. 医療施設でも鍼を提供し、国民に鍼が医療として認知されること。2. 医療施設で鍼が提供される未来に向けてのはり師の対応。3. 医療施設での鍼の役割。4. 医師・はり師のはり教育。
feedback
Top