全日本鍼灸学会雑誌
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43 巻 , 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 山崎 茂明
    1993 年 43 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1993/03/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    学会は情報システムとみなすことができ, 会員によって生産された研究成果の発表の場と流通のための情報メディアを持っている。学会誌をどのように編集していくかは, 学会の運営と発展のためのキーポイントになる。過度の業績主義から脱却し, 記録するためのメディアでなく, 情報や知識を伝達し共有していくための動的なメディアとして編集されなければならない。とくに, 情報の品質管理をおこなうレフェリーシステムは, 学会と学会誌にとり重要なサブシステムとなる。
  • 久住 武, 久住 真理, 羽賀 隆之, 渡辺 尚彦, 三辺 武幸, 浅賀 英世, 岡本 途也
    1993 年 43 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 1993/03/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    【目的】頭痛は「健康成人の約75%が経験したことがある」とする報告にみられるように, 鍼灸臨床の場においてもよく経験する症状である。頭痛に対する鍼灸治療の効果は, 既に多くの報告がある。しかし, 鍼刺激を検査目的で用いた報告は少ない。我々は, 過去15年来, 耳鳴りや頭痛に対して鍼刺激を検査目的に用い, その意義について検討してきた。
    今回, 耳鼻咽喉科から検査目的で紹介された痛み患者に対し, 痛みが鍼刺激で再現できた例について検討したので報告する。
    【対象及び方法】昭和57年4月から平成2年10月までの間に, 痛みを主訴として昭和大学病院耳鼻咽喉科から同院東洋医学診療室に依頼されたもののうち, 顔面の痛みを訴えるものを対象とし, 耳鼻科的, 眼科的検査にて異常を認めないことを条件とした。
    刺鍼はステンレス鍼 (50mm 20号鍼) を用いて, 大後頭神経ブロック点に刺入し, 刺鍼時の痛みとひびき感の関係を観察した。
    【結果】1) 大後頭神経ブロック点への刺鍼で, 眼の奥や内眼角部にひびき感が生じることを再度確認した。2) 三叉神経痛や原因不明の眼痛として治療されてきた患者の中に, 鍼のひびき感が (1) 痛みの性質と似ている, (2) 部位が一致, (3) 鍼の操作に同期して痛みが再現できるなど, 痛み症状と一致する例がいた。3) 痛みを鍼刺激で再現できた例は, 鍼治療の有効率も高かった。
    【まとめ】大後頭神経ブロック点への刺鍼は, 眼の奥にひびき感を生じ, この感覚を検査目的として応用することによって, 診断が可能になった例を認めた。このことから, 本法による鍼刺激は痛みの診察に際して, 結果2) (1)~(3) と,結果3) の治療的に意味があることから, 治療手段としても, 観察検査法の1つとしても有用であると考える。
  • 大山 良樹, 佐々木 和郎, 渡辺 勝久, 北小路 博司, 石丸 圭荘, 木下 緑, 岩 昌宏, 山際 賢, 北出 利勝
    1993 年 43 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 1993/03/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    臨床教育の立場から眼科疾患における鍼灸臨床の一つとして近視に対する鍼治療を中心にビデオ教材を制作した。ビデオ教材の内容は, 学生レベルでも容易に受け入れやすい顔面部への浅刺による刺鍼法のテクニックを中心に, 置鍼法と低周波置鍼療法の2方法を紹介するとともに, 顔面部刺鍼法に対する注意点について解説した。また, 鍼治療による近視の効果について, 全日本鍼灸学会 (第38・39回) で発表した内容の一部と最近の近視に対する学会報告について紹介した。これらの内容を実際の臨床教育の場に導入することで, 3年次後半からの明治鍼灸大学鍼灸センターで行われる臨床実習に役立てることが十分可能であると考える。
  • 川喜田 健司
    1993 年 43 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 1993/03/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    鍼灸の研究方法における種々の問題を検討するために, 仮想実験を行なった。その結果, 鍼通電刺激群の方が置鍼群に比べて統計学的検定から有意に効果が高いことが明らかとなった。この仮想実験の結果に基づき作成された簡単な論文を材料として, その中に見られる記載の不備, 実験計画法の欠落, 統計上の種々の誤りなどを具体的に指摘し, 解説を加えた。さらに, 多標本実験計画法とそれに基づく統計学的評価法の鍼灸研究における問題点も併せて考察した。
  • 桑田 繁
    1993 年 43 巻 1 号 p. 28-35
    発行日: 1993/03/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本論文は, 実験心理学領域の新しい実験計画法である, 単一被験者法の論理と適用方法を, 従来の群間比較法と対比させながら紹介した。単一被験者法は, 個体内比較によって個体行動の制御変数を同定することを目的としており, その特徴として, (1) 行動の測定の繰り返しによる安定データの獲得, (2) ベースラインと実験条件の反復による, 実験変数と従属変数の関数関係の同定, を指摘した。AB法, 反転法, 多層ベースライン法, 条件交替法, の各方法について, その適用方法と長所・問題点を論じた。あわせて, 群間比較法の問題点, 鍼灸学への適用の可能性についても論述した。
  • 桑田 繁
    1993 年 43 巻 1 号 p. 36-43
    発行日: 1993/03/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本論文は, 単一被験者法におけるデータの分析評価法について論述することを目的とした。統計的有意性よりも臨床的有意性を重視するという基本的考え方について論じたのち, 第1に, もっとも多用されている視覚的精査の方法を紹介した。第2に, 系列依存性の可能性を有する個体データの分析評価には, 時系列分析法が適していることを指摘し, その簡便な方法としてC統計を紹介した。第3に, 母集団の分布型を考慮しなくてもよいノン・パラメトリックな検定法の有用性を論じた。第4に, 探索的データ解析法が単一被験者法の基本的考え方に適合することを示唆し, 今後の適用を推奨した。単一被験者データに適合する検定法の同定と開発が急務であるが, 同時に, 個体データに対する視覚的精査を併用することの重要性を強調した。
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