【目的】本研究の目的は、鍼治療がスポーツ選手の競技活動に及ぼす影響について調査することである。
【方法】対象となったスポーツ選手は、合計1,804名であった。方法は、集合調査法とし研究の主旨に同意したスポーツ選手に対して、質問紙もしくはWebアンケートを配布し回答を得た。項目は、①プロフィール(性別、年齢)、②鍼治療を受けた直後に動かした感覚、刺激感覚の残存期間、刺激強度、刺激感覚と治療効果、③鍼治療を受けるタイミング、④鍼治療を受けてプレー(動き)に支障をきたした、もしくは好影響があったかについての質問を設けた。
【結果】有効回答数1,525名のうち、鍼治療の経験があるのは、841名であった。鍼治療を受けて直後に動いた感覚は、軽くなった:43.9%と最も多かった。また、少数ではあるが、鍼の感覚(痛み)が残った:10.6%、力が入りにくかった:7.7%との回答もみられた。鍼治療の刺激感覚が残存したかについては、すぐに消失した:59.8%が最も多かった。鍼治療を受けた刺激感覚は、適度:58.6%が最も多く、鍼治療の刺激感覚と治療効果では、刺激感覚があり効果が実感できたは、48.3%であった。鍼治療を受けるタイミングとしては、練習や試合の後:21.8%が最も多かった。 鍼治療によりプレー(動き)に支障をきたしたかについては、75.0%が支障をきたさなかったと回答していたが、少し支障をきたした・支障をきたした・とても支障をきたした回答を合計すると4.0%であった。また、鍼治療はプレー(動き)に好影響があったかについては、あった・少しあったの合計は、60.1%であった。
【考察・結語】スポーツ選手を対象に鍼治療を行う際には、ガイドラインに準じた鍼治療を行うとともに、競技・試合日程や鍼刺激量を考慮し施術を行う事により、競技活動に支障をきたすトラブルを予防できるものと考えられた。
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