全日本鍼灸学会雑誌
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36 巻 , 4 号
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  • 木下 晴都
    1986 年 36 巻 4 号 p. 243-249
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    鍼灸医学は中国からわが国に渡来し, 1400年のあいだ鍼医によって伝承され, 最近100年間をかえりみても, はり師きゅう師, 以下鍼灸師と呼ぶが, これらの人びとによって, その技術は発展向上され, わが国の大衆に親しまれて, 保健衛生に役立ってきた。
    そこで, 21世紀を迎えるにあたり, 鍼灸の周辺にまつわる諸問題に関し, 早急に解決しなければならない点をあげると, a) 臨床効果の実証, b) 適応疾患の判別, c) 鍼灸師の教育改革, d) 鍼灸師の医療保険に対する立場, などは関心の高い事柄である。
    このうち臨床効果を実証することは, 該技術の存続性に意義を示すものであり, また適応疾患の判別は, 鍼灸師が治療対象を誤らないために重要な事項である。これは学会の主要テーマとして解決を急がねばならない。鍼灸師の教育改革は, 学識の高い治療家を養成することで, 患者の要請にこたえられる, 適格な技術者を世に送り出すことである。これは鍼灸業団が中心となり, 学会はこれに協力して改善策を早急に確立しなければならない。また鍼灸師の医療保険に対する改訂は, 国民が容易に鍼灸治療を, 受けられる方策を樹立することで, 鍼灸師会が主体性をもって, 検討しなければならない課題であり, 学会が主役を演じるのは不適である。ゆえに, あえて本シンポジウムのテーマからは除外する。
  • 田辺 成蹊, 山口 敬, 柴 紘次
    1986 年 36 巻 4 号 p. 250-253
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    顎関節症は, 顎関節部とその周囲組織の疼痛, クリッキング, 開口障害または顎運動障害の三主症状を伴う歯科領域で多くみられる疾患であるが, 一部には歯科的治療にても軽快しないものも存在する。そこで, 心因性を含む器質的障害の認められない顎関節症に対し鍼治療を試みた。対象患者は, 当院歯科・口腔外科から紹介された12例で, 男性1例, 女性11例である。風池・翳風・安眠・牽正・太陽・下関・頬車・天容・肩井・合谷に中国鍼にて15分間通電, 週2~1回施行した。その結果, 12例中4例に著効を認め, 有効2例, やや有効3例, 無効は3例で, 有効率は75%であった。
  • 森川 和宥, 豊田 住江, 河内 明, 兵頭 正義
    1986 年 36 巻 4 号 p. 254-260
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    「未梢性顔面神経麻痺」は, 一般に麻痺が起ってから2週間後に検査し, 変性反応が陰性なれば1~2ヵ月ぐらいかかって治るが, 完全陽性なれば半年以上かかるか, あるいは見込みうすであるといわれている。また, 麻痺が長期間存在すると, 麻痺筋の拘縮あるいは攣縮がくるようであるといわれている。
    今回取り扱った患者も, 来院までの期間が長く, 形成外科手術をしないと回復の見込みがないといわれた重症で, この類に入り症状の改善に不安を抱いた。
    しかし, 継続治療を行うことで症状の改善を, 客観的経時および主観的変化の推移で見られた。
    治療は, 全良導絡治療, 低周波置針療法, 電気ローラー針などを施し, 初診より3ヵ月間は週3回, 4ヵ月目より週2回, 6ヵ月目より週1回とした。
    その結果, 5回治療で一時的効果を発揮し, 以後ゆるやかな回復がみられた。
  • 沢田 寛, 竹之内 診佐夫, 竹之内 三志, 坂下 茂弘, 中澤 健次, 鳥山 稔
    1986 年 36 巻 4 号 p. 261-264
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    耳鼻科外来にてアレルギー性鼻炎と診断された患者二名 (男性34歳, 女性67歳) に対し週一回, 大椎穴の直接灸又は温灸15壮と鍼による全身調整を実施した。自覚症状の好転と共に鼻汁好酸球その他血液検査を実施し, 来院時と比較した。その結果, 鼻汁好酸球は消退し, 血中好酸球も平均値を示した。その後の沿革調査により, 個体差は有るが, 一定の持続効果が認められた。
  • 金子 佳平, 金子 文岳
    1986 年 36 巻 4 号 p. 265-268
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    癌患者に対する現代医学の方法は, 抗癌剤, 手術, 放射線等, 癌治療と同時に, 人間の体も弱まるであろうと思われる強い方法であると考えられます。この為か, 体力は衰弱し, 癌も又, 転移することもあり, まずい結果となるものもある様であります。長らく私は, この点を考察致して居りますが, 東洋医学による消炎, 止血, 硬結緩解。貧血状態の改善。体質の改善等, 自然に順応した方法で, 癌治療をしようと思うのが本研究の要点であります。
  • 高木 敏和, 伊藤 不二夫
    1986 年 36 巻 4 号 p. 269-273
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    薬物療法, リハビリテーションなど行うも症状改善みられない症例について1例ではあるが鍼の効果を多角度より計測した。方法は室温, 湿度とも一定の治療室にて鍼治療を行い,週に1度治療前後における効果を計測した。結果は接地跡面積や皮膚温など手に関連する事項には有意差が認められたが, 便通など全身症状には明確な改善はみられなかった。前田らと比較した場合, 選穴や測定法などに相違があり, 持続時間や作用機序の究明などとともに多くの課題が残された。臨床的には明確な治療法の確立されていない現在では症状の緩解のみられる鍼治療は試みる価値は充分あると考える。
  • 吉備 登, 北村 智, 森川 和宥, 左川 清次
    1986 年 36 巻 4 号 p. 274-280
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    著者らはいわゆる健康成人78名を対象にほぼ1年間を通じて良導絡代表測定点の皮膚通電抵抗電流量計測をおこない, 月毎にどの様に変化し, どの良導絡が月別集団の比較に関係するのかを多変量解析の1つである判別分析を用いて検討した。その結果第1判別関数は63.7%の変動を説明でき, F4に対するH4, H6等の割合に関係し, 第2判別関数では20.2%の変動を説明でき, H2に対するF2, F4等の割合に関係している。2次元散布図においては4月, 11月, 12月, 1月の寒期群は6月, 7月, 9月の暖期群と対立し, その間に5月, 10月の中間期群が位置する。しかし, 4月はやや特異で他の寒期群とは少し離れている。今後, 季節変化も考慮して良導絡特性を観察する必要がある。
  • 篠原 正明, 山内 教宏, 上村 浩一, 延原 弘明, 小田 博久, 佐藤 暢
    1986 年 36 巻 4 号 p. 281-287
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    我々は45名の患者でレーザー光線を星状神経節へ照射 (SGレーザー), または刺針 (SG刺針) を行なって, 心電図, R-R間隔, 深部温, 血圧を指標として, 自律神経系への影響を検討した。その結果, 心拍数の平均値は, SGレーザーは2回/分, SG刺針は3回/分減少した。R-RのCVは, SG刺針のみ1.1%増加した。刺激側の前腕深部温は, SG刺針では有意な上昇はなかったが, SGレーザーでは0.3~0.5℃上昇した。非刺激側ではSGレーザーのみ上昇傾向があった。収縮期圧は両群とも2~5mmHg上昇した。以上より, レーザー照射と刺針を比較すると, 深部体温の上昇はレーザーの方が, 心拍数の減少は刺針の方が強かった。
  • 千田 純子, 秋元 恵実, 木下 晴都
    1986 年 36 巻 4 号 p. 288-293
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    健康者16名を対象に, 握力を減弱させた筋肉に対し, 鍼の刺入方向による効果の相違を研究した。筋線維の走行に対し約45°に鍼を入れるものを交叉刺, 筋線維に平行に鍼を入れるものを平行刺とした。1) 握力計の連続把握で握力を減弱させ, これに対し, 交叉刺群と鍼をしない放置群を比較すると, 交叉刺群では握力の減弱が著明に少なく, 握力減弱に対する抑制効果に有意差が認められた。2) 同方法で交叉刺群と平行刺群を比べると, 交叉刺群では平行刺群より著明に握力減弱の抑制効果がみられた。3) 上記1) の放置群と2) の平行刺群を比べると, 両者には, ほとんど差がなく, 平行刺は鍼をしない場合と同様であった。したがって, 骨格筋に対する施鍼の方向は, 効果に重要な意義のあることが判明した。
  • 堀 茂
    1986 年 36 巻 4 号 p. 294-300
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    人体を陰陽二元論によって, 上下, 左右, 腹背の八つの分画に分け, 東洋医学研究所®を訪れた患者2200名に対し, 東洋医学的診断にによる証の決定と, 本山式経絡臓器機能測定器によって井穴の皮膚電気抵抗値の測定を行った。この抵抗値を各分画にあてはめ, 各分画毎の2200例の平均の比率をとって, この八綱が疾病あるいは証によって, どのように変化していくかを観察するため, その八分画の妥当性の検討を行った。その結果, 各分画毎の2200例の平均の比率は, 非常にバランスよく配分され, 陰陽のバランスが保たれた平衡状態が生理的状態であると見なしている陰陽論とよく対応し, 陰陽論の妥当性と重要性を示唆しているものと思われる。
  • 岡崎 健
    1986 年 36 巻 4 号 p. 301-304
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    昭和59年の大田区報によると, 大田区に住む40歳以上の男女の調査で7%がいわゆるリウマチ性疾患に罹っている。従って, これらリウマチ性疾患の1/10に過ぎない慢性関節リウマチ (RA) の正確な断が, ある治療法の効果を評価する際, 最も重要である。
    私の経験では, 最新の抗リウマチ剤を含む大部分の治療はRAの関節破壊の自然経過を変えられないと思われ, 我々はRA患者の管理しか手段がないと認めざるを得ない。
    RAの保存的療法は, 抗炎症剤の効果的な投与だけでなく, 四肢変形や拘縮の予防も必要とする。
    RA患者の各関節について, 変形や拘縮を防ぐためのリハビリテーションプログラムを示した。疼痛の精神的軽減法は, 東洋医学では効果的に使われているが, RAの基本的な管理法を忘れてはならない。
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