全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
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72 巻, 3 号
全日本鍼灸学会雑誌
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巻頭言
ワークショップ報告
  • 菅原 正秋, 古瀬 暢達, 新原 寿志
    2022 年 72 巻 3 号 p. 174-189
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル フリー

    安全性委員会では、 これまで学術大会におけるワークショップの定例開催、 「鍼灸の安全対策サイト」 の運営、 鍼灸有害事象の文献調査および多施設前向き調査、 国内で発生した鍼灸の医療事故の情報収集、 並びに、 鍼灸の安全性に関する誤情報に対するマスコミ対応、 鍼灸安全対策ガイドラインの作成などの活動を行ってきた。 第71回学術大会 (東京大会) のワークショップでは、 過去10年の活動について総括した。  鍼灸有害事象の文献調査については、 2004~2019年に国内外で出版された鍼灸の有害事象に関する論文の文献レビューを紹介した。 また、 安全性委員会が行った多施設前向き調査研究の結果についても紹介した。 鍼灸安全対策ガイドラインについては、 ガイドラインを紹介すると同時に、 ガイドラインの認知度を調査する目的で実施したアンケートの結果を報告した。 また、 今後の展開として、 鍼灸安全対策マニュアル (仮称) を作成・出版する予定であることも報告した。  ワークショップの後半では 「折鍼・伏鍼に関する注意喚起と予防策」 と題して、 これまでに報告されている折鍼・伏鍼事例の文献を紹介した。 また、 鍼灸師賠償責任保険における折鍼の発生件数についても報告した。 これらの内容からは、 単回使用毫鍼が普及している現在においても折鍼事故が発生していることが明らかとなった。 最後に、 抜鍼困難や折鍼を予防するための方策などについてまとめ、 参加者と意見交換を行った。

原著
  • 曽根原 容子, 谷口 博志, 藤本 英樹, 松浦 悠人, 村越 祐介, 安野 富美子, 坂井 友実
    2022 年 72 巻 3 号 p. 190-202
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は一般女性の美容鍼灸に対しての意識や認識等の現状について調査することである。 【方法】対象は国内テストマーケティング好適地といわれる静岡県に在住する一般女性1000人。 方法は質問紙法。 県内の商工会議所を介して人口比率に応じ年代別にアンケートを配布し回答を得た。 項目は①基礎情報②顔の美容上の悩みの有無、 種類③鍼灸治療の経験の有無、 美容鍼灸の認知度、 認知媒体、 効果のイメージ、 美容鍼灸の経験の有無④美容鍼灸の効果、 種類、 マイナス効果の有無、 現在の受療状況、 受療希望とその理由、 治療院に求める要素、 施術者に求める要素⑤1ヶ月の美容に対する投資の質問を設けた。 【結果】 回答率56.2%。 91.8%が顔に対する美容上の悩みを感じていた。 鍼灸治療経験者は28.8%。 美容鍼灸の認知度は42.0%。 認知媒体はテレビ45.3%が最も多く、 美容鍼灸に対する効果のイメージはリフトアップ44.8%が最も多い。 未経験者521人に対する受療希望は43.2%。 理由はなんとなく興味を持った45.3%で最も多かった。 受療を希望しない理由は痛そうが52.6%で最も多く、 美容鍼灸の経験者では効果を感じたと60.0%が回答し、 その効果は対象者が持つイメージと同じくリフトアップが62.5%と最も多い。 しかしマイナスを感じたとの回答も45.0%みられ、 さらに2度以上受けたが今は受けていないとの回答が47.5%と最も多かった。 治療院には清潔感を求める人が多く、 施術者には優れた技術を求める人が多い。 1ヶ月の美容にかける費用は3,000~5,000円未満28.5%が最も多い。 【考察・結語】多くの女性が顔に対して美容上の悩みを持っており、 その中でもリフトアップに美容鍼灸への期待を向けていることが示唆された。 認知度に対する受療率の低さや治療を継続しない理由、 美容鍼灸を展開していく上での問題点が明らかとなった。

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