AUDIOLOGY JAPAN
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52 巻, 2 号
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総説
第53回日本聴覚医学会主題演題特集号
「感音難聴とフリーラジカル」 「聴性定常反応 (ASSR) の臨床的意義」
  • 菊池 淳, 大塚 尚志, 山崎 一春, 佐藤 宏昭
    2009 年 52 巻 2 号 p. 106-111
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    突発性難聴患者39例の酸化ストレスについてFRAS4を用いて測定し検討した。健聴対照群13例に比べ突難群の酸化ストレス度は高く, 抗酸化力は低値だったが, いずれも統計学的有意差は認めなかった。対照群・突難群ともに酸化ストレス度・抗酸化力の正常な例が最も多く, 次いで酸化ストレス度は高いものの, 抗酸化力は正常である例が多かった。酸化ストレス度について突難の重症度別に検討した結果, Grade1では酸化ストレス度が有意に高値だったが, 他のGradeでは有意差を認めなかった。また聴力改善度別の検討において, それぞれの改善度群と対照群の間に有意差は認めなかった。さらに突難群において基礎疾患の有無で検討を行ったが, 有意差は認めなかった。今回の検討方法で得られた結果からは, 突発性難聴の発症に全身の酸化ストレス度や抗酸化力は関与しないことが示唆された。ただし聴力障害の軽度な突発性難聴例においては酸化ストレスが発症に関与している可能性も示唆された。
  • 寺岡 正人, 兵頭 純, 高橋 信雄, 暁 清文
    2009 年 52 巻 2 号 p. 112-119
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    小児のASSR閾値と幼児聴力検査およびABR検査の結果とを比較し, ASSRの他覚的聴力検査としての有用性について検討した。平成17年3月から平成20年8月にASSRを施行した難聴児39例 (0~75ヵ月) を対象とし, 1) ASSR閾値と幼児聴力検査閾値との相関, 2) ABR両側無反応例のASSR閾値の2項目について検討した。
    いずれも幼児聴力検査閾値に比べASSR閾値のほうが15~22dB高く, 全周波数で有意な相関がみられた。ABR両側105dB無反応でASSRを施行した10症例では, 全例にASSRの反応がみられ, 特に500, 1kHzでは半数以上で反応がみられた。
    以上の結果より, ASSRはオージオグラムの推定や重度難聴の評価への有用性であること示唆された。一方, ASSR閾値と幼児聴力検査閾値が乖離する例があり, 難聴の診断においては従来の検査法の結果と合わせて総合的に判断することが肝要である。
  • 阿部 靖弘, 伊藤 吏, 渡辺 知緒, 窪田 俊憲, 千葉 寛之, 鈴木 豊, 青柳 優
    2009 年 52 巻 2 号 p. 120-125
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    成人のMASTER® において, より純音聴力レベルに近いASSR閾値を得るための測定条件を導出するため, 聴力正常成人6名12耳を対象にMF: 32~46Hz・覚醒時, MF: 82~98Hz・覚醒時, MF: 82~98Hz・睡眠時の3条件でASSRを施行し, ASSR閾値と純音聴力レベルとの差 (DS) をそれぞれ比較検討した。MF: 32~46Hz・覚醒時とMF: 82~98Hz・睡眠時の条件では, DSの平均値は, それぞれ, MF: 82~98Hz・覚醒時の平均値より, 4周波数いずれのCFでも有意に小さい値を示した。また, MF: 32~46Hz・覚醒時とMF: 82~98Hz・睡眠時のDSの平均値はいずれのCFにおいても有意差がなかった。MF: 32~46Hz・覚醒時とMF: 82~98Hz・睡眠時検査はともに有用と考えられた。
  • 伊藤 吏, 渡辺 知緒, 阿部 靖弘, 窪田 俊憲, 千葉 寛之, 青柳 優
    2009 年 52 巻 2 号 p. 126-132
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    聴性定常反応 (ASSR) を利用した聴力検査ソフトMASTER® は周波数特異性の高い検査結果が得られ乳幼児の聴力評価に有用であるが, 検査には長時間を必要とする。今回我々は検査時間の短縮と精度の向上のための至適な検査条件を設定するためにASSR閾値に対する加算回数と背景ノイズの影響について検討した。自然睡眠の聴力正常成人と鎮静小児に対し加算回数を16sweeps (5分), 24sweeps (7.5分), 32sweeps (10分) として検査を行ったところ, 成人では加算回数の増加により背景ノイズは減少し, 有意な閾値の改善を得ることができた。これに対し小児では加算増加によりノイズは減少したものの, 閾値の精度向上には寄与しなかった。鎮静小児におけるASSR検査では加算回数は16sweepsで十分であり短時間で精度の高いASSR反応閾値を得ることができると考えられた。
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