小児のASSR閾値と幼児聴力検査およびABR検査の結果とを比較し, ASSRの他覚的聴力検査としての有用性について検討した。平成17年3月から平成20年8月にASSRを施行した難聴児39例 (0~75ヵ月) を対象とし, 1) ASSR閾値と幼児聴力検査閾値との相関, 2) ABR両側無反応例のASSR閾値の2項目について検討した。
いずれも幼児聴力検査閾値に比べASSR閾値のほうが15~22dB高く, 全周波数で有意な相関がみられた。ABR両側105dB無反応でASSRを施行した10症例では, 全例にASSRの反応がみられ, 特に500, 1kHzでは半数以上で反応がみられた。
以上の結果より, ASSRはオージオグラムの推定や重度難聴の評価への有用性であること示唆された。一方, ASSR閾値と幼児聴力検査閾値が乖離する例があり, 難聴の診断においては従来の検査法の結果と合わせて総合的に判断することが肝要である。
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