手取川橋は石川県中央部を流れる手取川の河口に位置する橋りょうである。本橋は日本海からの飛来塩分により10数年前から塩害による損傷が多くなってきたため, 昭和58~60年の3カ年にかけて表面被覆を行った。しかし, コンクリート中に浸透した塩分を全て除去していない等が原因で再び損傷が多くなってきたため, 原則として許容塩分量を越えている部分を除去するなど早急な対策が必要とされた。この補修工の特徴は, (1) はつり箇所が上部工の全面積であり, 手ばつりでは多くの労力と時間が必要なこと, (2) 打ち換えの厚さが薄く, 補修部に鉄筋が存在せず, 付着性の問題から剥落の恐れがあること, (3) 原則として供用中 (交通振動作用下) での工事であること, (4) 箱げた橋の補修のため逆打ち部が多いことである。このため, 工事に先立ち, 前述の (1) については, 超高圧ウォーター・ジェットによる全面はつり/管理システムによる省力化工法を開発し, (2), (3), (4) については, 逆打ち振動下での材料選定手法を開発, 実用化するとともに, 補修材の耐荷力の試験と補強工法を開発した。本報告は, これらの概要と工事への適用結果を報告するものであり, 今後の塩害補修工事の参考になるものと考えられる。
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