平成16年9月から平成17年8月までの1年間に昭和大学歯科病院顎関節症科に来科した顎関節症患者404名について, 臨床統計的分析を行った. (1) 男女比は1 : 2.8で, 女性に多かった.患者の年齢分布は2峰性を示し, 第1のピークは20歳代 (23%) に, また第2のピークは50歳代 (13%) にあった.どの年代でも女性の方が多かった. (2) 主訴は痺痛が最も多く単独の痺痛が39%, また他の症状を合併するものが60%を占めていた.関節雑音は単独では9%であり, 他の症状を合併するものは17%であった.開口障害の単独は7%であったが, 他の症状を合併していたものは21%であった. (3) 症状発現から来科までの期間は, 1年以上が42%と最も多かった. (4) 日本顎関節学会の症型分類に従うと, I型とIIIa型が24%と最も多く, 次いでIIIb型の21%であり, その他は10%前後であった. (5) 初診時のHADSの結果から, 全患者のうちの28%に不安の充進が疑われ, また10%に抑うつ状態が疑われた. (6) 実施された治療法は, 認知行動療法を応用した口腔悪習癖の是正が最も多く (75%), 次いで, 理学療法 (開口訓練) (65%), 薬物療法 (29%), スプリント療法 (26%), 外科的療法 (3%) の順であった
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