昭和歯学会雑誌
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9 巻, 4 号
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  • II.初期の歯石の構造と組成
    王 郁輝
    1989 年 9 巻 4 号 p. 395-407
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    ヒト10人の下顎前歯部の舌側面にレジン床を10日間装着し, 床の舌側面と粘膜面に付着した歯石について, その構造を走査電顕的に観察し, エネルギー分散形X線マイクロアナライザを用いて歯石の元素分析を行った.初期の歯石は, 表面に多数の細菌の鋳型をもち, 直径が約2-50μmの塊状構造物や広い範囲に渡って様々な外形と隆起を示すもの (A型) と, 角柱状を基本とした多面体から板状まで形と大きさが変化に富む結晶の集塊 (B型) の2型に大別された.A型の歯石はレジン床10例中8例に観察され, 厚さは20-80μmを示した.一方, B型の歯石はA型の歯石をもつ8例中4例のレジン床に観察され, A型の歯石中に散在, あるいは単独に認められた.なお, A型の歯石に含まれる石灰化した菌体の集塊は, 8例中6例に観察された.A型の歯石は微細な砂粒状結晶から比較的密に構成され, Ca濃度の平均は27.8%, P濃度は15.2%を示し, 古い成熟した歯石と比べるとCa濃度はやや低く, P濃度はほぼ同程度の値を示した.なお, 10日間口腔内に装着して, CaとP濃度がそれぞれ32%, 17%と高い値を示した個体における5日間の実験例では, A型の歯石のCaとP濃度は, 最高でそれぞれ30%と16%を示した.A型の歯石のCa/P (モル比) は平均1.40で, 砂粒状結晶は不完全な水酸化アパタイト, あるいはアパタイトの前駆物質と考えられ, SchroederのいうA-centerの石灰化と一致した.一方, B型の歯石をつくる角柱状を基本とする結晶はCa濃度の平均が20.2%, P濃度が16.3%を示した.Ca/Pは平均0.96で, 角柱状と多面体状の結晶は, その形状も考慮して初期の歯石に特徴的なブルシャイトと同定され, SchroederのいうB-centerの石灰化と一致した.また, 少数例に観察された板状や棘状, フレーク状の結晶はその形状から不完全なリン酸オクタカルシウムの可能性も考えられた.
  • 歯列弓形態観察における有用性の検討
    鈴木 康生, 向山 賢一郎, 藤原 理彦, 中原 敏光, 佐々 竜二
    1989 年 9 巻 4 号 p. 408-418
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    石膏模型にて歯列弓形態を観察, 計測する方法としては, 従来より計測ノギス, 顎態模型計測器, 定規などが用いられてきた.また研究を目的として三次元計測機を使用することもあるが, 臨床的なものとはいえない.また計測ノギスなどによる測定だけでは歯列弓形態の特徴を把握するのは困難である.今回, 簡便に歯列弓形態の客観的把握ができ, 計測も可能な『簡易歯列計測器』を試作し, 従来の計測器による測定と比較検討して, その臨床的実用性を評価した.その結果, 『簡易歯列計測器』は特に左右非対象な歯列でより実態に即した測定ができること, 計測値の変動幅は他の計測器に比較し同様ないしは小さいこと, さらには計測時間がかなり短縮されること, などの点からも臨床的には有用で, 実用性が高いものと考えられた.
  • 美濃部 浩久, 若月 英三, 伊藤 浩昭, 大野 二朗, 浜田 立太, 吉田 佳子, 石森 幹淑
    1989 年 9 巻 4 号 p. 419-429
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    頭顔面形態は, 人種や生活環境によりさまざまな特徴を示すことが従来より言われている.今回著者らは, マニラ在住フィリピン成人男性の頭顔面形態の計測を行う機会に恵まれ, 若干の知見を得た.なお計測はマルチソの計測法に準じ, 最大頭長, 最大頭幅, 頭耳高, 頬骨弓幅, 下顎角幅, 形態顔面高のほか, 著者らが考案した顔面厚を加えた7項目である.計測の結果, 日本人および周辺地域の国と比較して, フィリピン成人男子の頭部は, 小さい傾向を示し, 顔面部では, 側方への発育が特徴的であった.
  • 大草 信人, 江川 薫, 瀬川 和之
    1989 年 9 巻 4 号 p. 430-436
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    軟骨様骨組織は, 成長期の胎児における顎骨の歯槽縁や長骨の筋付着部, カワスズメ科の魚類の咽頭骨部に観察されている.そこで今回は, カワスズメ科の魚類のブラックバンデットcichasoma nigrofasiatum の上咽頭骨部に発生する, 軟骨様骨組織を構成する骨細胞の立体超微形態を高分解能の走査電子顕微鏡と, 透過電子顕微鏡によって観察した.軟骨様骨組織は, 光顕切片においては, 骨組織と軟骨組織との中間的な染色性を示した.軟骨様骨組織を構成する細胞は, 軟骨様骨の表層に渡って積層された細胞群と, 軟骨様骨中に近接して存在する細胞群に区別できた.細胞周囲の基質には, 軟骨で通常観察されるような小腔周囲の異染性の領域は認められなかった.走査電顕観察においては, 軟骨様骨細胞は骨細胞よりも細胞体が大型で, 相互に密に存在していた.細胞表面には軟骨細胞の細胞質突起に類似した微細な細胞質突起が多数観察された.細胞内部には粗面小胞体やミトコンドリアが豊富に存在しており, ゴルジ装置も観察され, 基質形成が活発な細胞であることが示唆された.また軟骨様骨基質は密で不規則なコラーゲソ細線維で形成されていた.魚類の咽頭骨は成長過程において三次元的に急速に形成される部分であり, その形成様式は胎児の歯槽縁の軟骨様骨組織と同様であると考えられるが, 魚類の場合, 軟骨様骨組織は骨に置換されずに残留するものと思われる.
  • 五郡 由佳里, 真鍋 真人, 平山 雅仁, 原木 隆, 木村 義孝, 南雲 正男
    1989 年 9 巻 4 号 p. 437-440
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    口腔領域の感染症の中でも舌膿瘍は比較的稀な疾患であり, 近年特にその報告例は少なくなっている.今回われわれは, 38歳の男性に発生した片側性舌体部膿瘍の一例を経験した、初診時, 舌に急性炎症症状は強かったものの波動は触知せず, 一見舌腫瘍を思わせる所見も見られた.しかし, 試験穿刺を行うことにより舌膿瘍と診断し, 切開排膿および化学療法を行ったところ症状は急速に改善した.この症例の概要を若干の文献的考察を加えて報告する.
  • Hidehiko MATSUMOTO, Yoichi KURACHI, Masao NAGUMO
    1989 年 9 巻 4 号 p. 441-445
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    Cheilitis glandularis is a rare disorder characterized by swelling of the lip with hyperplasia of labial salivary glands, typically in the lower lip of adult males. A definitive cause and treatment for this disorder have not yet been established. Herein is reported a case of cheilitis glandularis affecting the upper lip with nodules, treated by surgical excision with good post-surgical results.
  • 山縣 健佑
    1989 年 9 巻 4 号 p. 447-449
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 積田 正和
    1989 年 9 巻 4 号 p. 451
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 1989 年 9 巻 4 号 p. 452-465
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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