人工臓器
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18 巻, 2 号
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  • ―先天性、後天性および使用人工弁からみた成績と問題点―
    安倍 十三夫, 木村 希望, 渡辺 祝安, 浅井 康文, 数井 暉久, 小松 作蔵
    1989 年18 巻2 号 p. 782-785
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1977年1月~1988年7月末まで、三尖弁位に弁置換(TVR)症例は、先天性心疾患(CHD)12例(手術年令: 9~48歳、疾患別Ebstein病6例、VSD閉鎖術後TR4例、TOF根治後2例)、後天性心疾患(AHD)12例(手術年令: 38~69歳、MVR+TVR5例、ReMVR+TVR5例、AVR+MVR+TVR2例)であった。弁種別では生体弁15例(Hancock T6弁8例、Liotta弁3例、Hancock弁2例、Carpentia-Edwards弁1例、Intact弁1例)、機械弁10例(Duromedics弁7例、SJM弁3例、)である。手術成績ではCHDでは手術および遠隔期死亡は認めていない。1例に生体弁機能不全(術後116カ月)で機械弁(D-M弁)で再TVRを施行し症状改善を得た。AHDでは手術死亡及び遠隔死(術後5カ月)を各1例(心不全)に認めた。術後の血行動態、NYHA重症度分類および心胸郭比の変動でCHDの改善度は良好である。弁種別では生体弁の1例に弁機能不全、2例に軽度逆流を認めるも他は良好で、機械弁2例に血栓弁を認めた。
  • 秋山 一也, 沢谷 修, 天野 茂夫, 遠藤 真弘, 橋本 明政, 小柳 仁
    1989 年18 巻2 号 p. 786-789
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    当施設で15年間に三尖弁置換を行った35例中機械弁を用いたI群, 20例と生体弁を用いたII群, 15例の臨床成績を比較検討した。I群は男10例, 女10例で平均年齢は40.8歳, II群は男9例, 女6例で平均年齢は33.7歳であった。弁はI群はBjork-Shiley弁が3個, SJM弁17個, II群は異種大動脈弁9個, 牛心膜弁6個であった。手術死亡はI群がDICと敗血症が各1例で, II群でLOSで2例を失った。遠隔死はI群の4例に認め脳梗塞2例, 多臓器不全1例, 置換弁心内膜炎1例であった。術後14年の実測生存率はI群が66.3±31.3%, II群が86.7±8.8%であった。三尖弁位人工弁に起因した合併症は置換弁心内膜炎をI群の2例(0.2%/患者・月), 血栓弁をI群の1例(0.1%/患者・月), 人工弁機能不全をII群の1例に(0.08%/患者・年)に認めた。II群の1例に分娩例が存在した。機械弁, 生体弁とも三尖弁置換の遠隔成績は良好で, 生体弁は抗血栓性も高く左心系に比し耐久性も期待できる。
  • 下山 嘉章, 井野 隆史, 椎原 秀茂, 高木 洋行
    1989 年18 巻2 号 p. 790-793
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    当施設において1976年から1987年の間に使用したHancock弁(H弁), Carpentier-Edwards弁(CE弁), Ionescu-Shiley弁, Xenotech弁につき僧帽弁位及び三尖弁位の耐久性について成人例につき検討した。累積観察期間は僧帽弁位613例, 2535 patient-years, 三尖弁位96例, 334p-yであった。耐久性の大部分をしめる人工弁機能不全(PTF)について詳しく検討し, 僧帽弁位H弁, CE弁の5年, 10年のPTF非発生率がそれぞれ97.5%, 72.6%; 97.5%, 50.8%との結果を得た。三尖弁位生体弁にはPTF症例は認められず, 僧帽弁位とは体内動態の違う事が示唆された。僧帽弁位生体弁の成人例における年代別のPTF非発生率は全期間を通じて考えると有意差はなかった。PTF非発生率からみた僧帽弁位生体弁の好ましい適応は70才以上, 三尖弁位は全成人例に使用可能と考えられた。
  • 森川 雅之, 数井 暉久, 中西 克彦, 柳谷 晶仁, 塚太 勝, 伊藤 敏行, 山田 修, 小松 作蔵
    1989 年18 巻2 号 p. 794-799
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    stent高の異なる2種のブタ異種生体弁, Hancock弁及びLiotta弁による僧帽弁置換術後遠隔期のprimary tissue failure (PTF)症例におけるevent free rate, 超音波ドプラ法による弁機能評価, 摘出弁の肉眼所見および軟X線所見に関し検索し両弁で比較検討した。
    Liotta弁はHancock弁に比し, 高度の硬化狭窄性病変の出現以前の早期から弁尖破壊によるPTFの発生が高率であった。その原因としてstentのlwo profile化による弁尖のstressの増加が示唆され, low profile弁の耐久性に問題を残した。またstent creepingはHancock弁において弁機能不全の要因となりえ, stent改良の余地を残した。超音波ドプラ法による弁機能評価において, Hancock弁の血行動態はLiotta弁のそれに比し不良で, peak MNGよびMVAの両指標で有意差を認めた。なおpeak MVGは弁逆流に鋭敏に反応し, MVAは弁硬化狭窄性変化により相関する指標であることが示唆され, 本法の有用性を認めた。
  • ―SJM弁, B・S弁との比較―
    有川 和宏, 森下 靖雄, 湯田 敏行, 山下 正文, 下川 新二, 橋口 雅彦, 福田 茂, 木佐 貫彰, 平 明
    1989 年18 巻2 号 p. 800-803
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    僧帽弁位Duromedics (DM)弁単独使用例20例を経験した。術後追跡期間は5.5-21.5ケ月、平均12ケ月と短期であるが、手術死亡、遠隔期死亡あるいは人工弁由来の合併症は1例も経験していない。DM弁評価のため、僧帽弁単独使用でのSt. Jude Medical (SJM)弁30例、Bjork Shiley (B・S)弁24例との比較を試みた。臨床上問題となるような溶血性貧血は対象例中1例もみられなかったが、血清LDH値、総ビリルビン値はSJM>DM>BS群の順で高値を呈し、SJM-B・S間では有意差がみられた。超音波連続波ドップラー法による弁機能評価では、各人工弁最大血流速度は1.4m/sec程度で差はなく、最大圧較差も同様と考えられた。しかし有効弁口面積に反比例するPressure Half Timeでは3群間に差がみられ、B・S>SJM>DM群の順で高値を示し、DM群はB・S, SJM群に比し有意に低値を示した。従って有効弁口面積からはDM弁がB・S, SJM弁に比し有利であると考えられた。
  • 松本 昭彦
    1989 年18 巻2 号 p. 804
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 西義 勝, 青柳 成明, 平野 顕夫, 麻生 公, 田中 攻, 楊井 剛, 小須 賀健一, 大石 喜六
    1989 年18 巻2 号 p. 805-808
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1980年5月より1988年6月までの9年1カ月の間に624個のSt. Jude Medical弁(SJM弁)を用いて人工弁置換を行った。そのうち急性期55例、慢性期75例を対象に各種指標を用い、溶血の程度について検討した。僧帽弁置換術(MVR)についてはBjork-Shiley弁(BS弁)、Carpentier-Edwards弁(CE弁)と比較した。また同期間に12例の急性期溶血性貧血を認め、これらに関して溶血の増強および予後を左右する因子の検討を行った。1. SJM弁はBS弁、CE弁と比べ急性期にLDHが高値を示し、12例の溶血性貧血を認め6例を重症性溶血性黄疸にて失った。2. 慢性期に臨床上問題となる溶血はなかった。3. 二弁置換は単弁置換に比べ急性期および慢性期にLDHが高値を示した。4. 溶血増強因子として大量輸血、残存大動脈弁閉鎖不全、弁縫着方向、などが考えられた。5. 術前ICG15分値は溶血の予後を左右する因子で特に20%以上の例は予後不良であった。
  • 益子 健男, 松井 道彦, 堀越 茂樹, 佐々木 達海, 宮沢 総介, 古川 仁, 森田 紀代造, 鈴木 和彦, 若林 研司, 小柳 勝司, ...
    1989 年18 巻2 号 p. 809-812
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    重篤な合併症である人工弁機能不全を引き起こす血栓弁の発生は大動脈弁位の場合、抗凝固療法下では極めて稀であるといわれている。しかしながら、われわれは過去15年間に246個のBjörk-Shiley (B-S) spherical, monostrut type弁を使用した大動脈弁置換術を施行し4例に血栓弁の発生をみた。4例いずれも女性で生理出血に対して抗凝固療法を緩和したことが血栓弁発生の最大の原因と考えられた。再手術は全例、血栓除去およびパンヌス切除術を行い弁の開放方向は1800転換させた位置とした。1例を術後3ケ月目に縦隔炎による偽性大動脈瘤破裂で失ったが他の3例は再手術後5年2ケ月、3年3ケ月、7ケ月を経過しているが順調である。これらの経験から今後は人工弁置換術後の女性例に対しては婦人科的治療を積極的に行い安易に抗凝固剤を減量することなく管理すべきであると考えられた。
  • ―人工弁置換後合併症を中心に―
    足立 孝, 大滝 正己, 山口 明満, 田村 栄稔, 北村 信夫
    1989 年18 巻2 号 p. 813-815
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国立大阪病院心臓血管外科では3年間の間に72個のDuromedics弁(DM弁)を使用し、その内、単独僧帽弁置換術で使用したものが36例あった。僧帽弁位単独使用DM弁に生じた合併症に対して使用経験より報告する。われわれの経験した人工弁置換後の合併症としては、(1) 人工弁機能不全、(2) 置換弁心内膜炎、(3) 人工弁周囲逆流、(4) 溶血などであり、それらを弁由来および生体由来のものとして検討を行った。人工弁機能不全は血栓弁によるディスクの開放不全1例と弁の挿入方向の問題と考えられる不完全閉鎖を1例認めた。置換弁心内膜炎および大動脈炎症候群症例の弁周囲逆流を各1例づつ経験した。溶血に関しては、同時期に使用した単独僧帽弁置換術のSJM弁12例と術後1カ月でのLDH値を比較したが有意な差は認めなかった。急性期に対しては良好な経過をとっているが、術後遠隔期に対しては今後検討を加えていきたい。
  • 坂本 滋, 清水 健, 会田 博, 金戸 善之, 白川 尚哉, 豊田 恒良
    1989 年18 巻2 号 p. 816-819
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    PVEで再弁置換術を施行した5症例について術前状態および大動脈弁位、僧帽弁位での再弁置換術における手術手技と問題点について検討した。PVEの発症は初回手術より3週間から3.5年で、全例Perivalvular-leakageによる心不全の進行で再弁置換術を行った。僧帽弁位での再弁置換術の3症例は弁輪部への人工弁の再固定は可能であったが、大動脈弁位の2症例はAortic root abscessを形成していて弁輪部への人工弁の再固定は不可能であったためTranslocation法による再弁置換術を行った。IEで高度に弁輪部組織が破壊され、人工弁の再固定が不可能な症例にはTranslocation法による人工弁の再固定は有用な方法である。しかし、本法は冠動脈血行再建における静脈グラフトの長期開存性と遠隔期成績について未解決の点もあり今後の充分な検討が必要である。
  • 木下 和彦, 田中 二郎, 川内 義人, 益田 宗孝, 麻生 俊英, 真弓 久則, 徳永 皓一
    1989 年18 巻2 号 p. 820-823
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    当教室において開心術が施行された自己弁感染性心内膜炎(IE)37例を、活動期(A群)15例と非活動期(I群)22例に分け、IEに対する人工弁置換術とその術後成績について比較した。早期死はA群1例、I群0例であったが、晩期死はA群で5例認められ、その死因のほとんどは人工弁に由来するものであった。actuarial survival rateは術後1年でA群72.4±11.7%、I群100±0%(P<0.01)、5年でA群21.1十24.8%、I群100±0%(p<0.001)であった。再手術はA群で5例(人工弁周囲逆流3例、人工弁IE 1例、血栓弁1例)、I群で1例(primary tissue failure)であり、A群では再手術後3例を失った。再手術からのevent free rateは術後5年でA群64.3±12.8%、I群で947±5.1%(p<0.02)であった。このように活動期IEに対する人工弁置換術後の早期死は少なかったが、遠隔期成績に関しては未だに問題点が多いと思われた。
  • 小長井 直樹, 清水 剛, 日野 宏, 工藤 龍彦, 古川 欽一
    1989 年18 巻2 号 p. 824-827
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工弁置換術後に使用される抗血小板剤の一つにアスピリン(以下ASA)があるが, 従来の投与量ではaspirin dilemma現象による抗血小板作用の低下が指摘されている。そこで人工弁置換術症例(A群)と他の開心術症例(B群)に, 一日81mgの少量ASAを投与して, 出血時間・血小板凝集能・Thromboxane-B2(TXB2)および6-ketoPGF(6KP)値を測定した。出血時間は両群ともに正常範囲にあり, 出血症状も認めなかった。ADP凝集能には有意な効果はなく, コラーゲン・アラキドン酸凝集能で両群ともに有意に抑制され, 特にアラキドン酸では著名な抑制効果を認めた。TXB2および6KP値は個人差が大きく有意な変化はないが, TXB2値の上昇や6KP値の有意な低下は認めなかった。TXB2/6KP比はB群で安定した低値を示し, A群では術前にやや高値だったが退院時にはB群に近い低値となり, aspirin dilemma現象はみられなかった。
  • ―Sonoclotを用いた血小板機能を中心に―
    陸川 秀智, 長谷川 隆光, 北村 信三, 大平 政人, 進藤 正二, 塩野 元美, 折目 由紀彦, 畑博 明, 羽賀 直樹, 山田 太郎, ...
    1989 年18 巻2 号 p. 828-831
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工弁に生じる血栓は, 血小板の関与が重要視され, 抗血小板剤が併用投与されるようになってきた。しかし血小板機能評価に確実な指標はなく, 投与量のコントロールに, 簡便で確実な評価法が望まれている。今回我々は精密で再現性の良い凝固過程解析装置であるSonoclot Coagulation Analyzer (Sonoclot)を用い人工弁置換患者の血小板機能を検討した。
    血小板機能は術後第1病日には術前と同程度に回復し, 早期の抗血小板剤の投与の必要性が示唆された。SonoclotのShoulder-peak時間から, 抗血小板剤の有効性が示され, 凝集能, 粘着能が抑制された症例でもSonoclot検査で血小板機能の抑制が不確実な症例もあり, 抗血小板剤の増量, アスピリンの併用等を考慮される症例も認められ, Sonoclotは簡便で抗血小板療法の指標となることが示唆された。
  • ―とくに機種別よりみた問題点について―
    大平 政人, 長谷川 隆光, 北村 信三, 進藤 正二, 塩野 元美, 折目 由紀彦, 山田 太郎, 瀬在 幸安, Y. SEZAI
    1989 年18 巻2 号 p. 832-835
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    過去25年間に382例, 計469個の弁置換術を行なった。このうち再手術, 再々手術は21例, 26個で再弁置換率は5.6%であった。再手術の対象となった代用弁はStarr-Edwards弁(S-E)11, Carpentier-Edwards弁(C-E)6, SJM弁6が主であった。再弁置換の部位別ではMVRが13例とAVR 7例の約2倍と多かった。初回手術より再弁手術までは平均6.8±4.4年でありSJM弁が, 生体弁, S-E弁よりも早期に再手術となった。再弁置換となった理由は生体弁では全てprimary tissue failureであった。一方, S-E弁ではcloth wearによるものが殆どで, S-E弁全体の8%の頻度にみられた。血栓弁はSJM弁に特異的にみられたが, その頻度は1.3%と低かった。また再弁置換時に使用した代用弁はSJM弁が全体の76%を占めた。死亡率は28.6%(6例)であり, 術後合併症としてLOSが多くIABPの使用も7例(35%)と多かった。現時点で再弁置換におけるSJM弁の使用は最も信頼し得る人工弁の1つと思われる。
  • 平 明
    1989 年18 巻2 号 p. 836
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 杉浦 敏文, 水品 静夫, 木村 元彦, 福井 美仁, 原田 幸雄
    1989 年18 巻2 号 p. 837-840
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ヒト・フィブリン糊とカーボンブラックを用いて接着性と導電性を兼ね備えた電極を製作し、横隔神経刺激用電極として植込み、諸特性の観察を行った。植込み直後のインピーダンス(20Hz)は200~300Ωであったが、1週間後では約300Ω、2週間後で約400Ωと徐々に増加し、12週後には約500Ωであった。横隔神経刺激閾値は、植込み直後では約3mA(ペースメーカ出力値、以下同様)、1週間後では約0.7mA、6週間後で約0.5mA、12週後では0.5~0.7mAであった。最大下刺激電流は植込み直後の8~10mAから、1週間後では約4mAに低下し、以後多少の変動はあるものの3~4mAの範囲であった。両側の電極間インピーダンスを正弦波(100μA)を加えて測定した結果、10Hz以上では約1kΩであり、以下では徐々に増加し2Hzでは約4kΩであった。電極1個当りのインピーダンスは数百Ωであり、刺激電極として充分な値が得られた。
  • 木村 元彦, 福井 美仁, 杉浦 敏文, 原田 幸雄
    1989 年18 巻2 号 p. 841-844
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    横隔膜筋内電気刺激による横隔膜ペーシングを試みた。体温によるペーシングレートの制御機構を有する筋内刺激装置を試作した。雑種成犬を用いて、動物の横隔神経が横隔膜に付着する点から10mm外側の筋内部で左右1ヵ所ずつユニポーラ電極を装着した。cathodal, anodal及びbidirectional波形を用いて筋内刺激の特性を調べた。cathodal波形を用いると、滑らかな一回換気量の制御が容易にできることが判った。動物の代謝を発熱物質を経口投与して亢進させ、右房血液温によるレートの制御を試みた。筋内刺激においても、神経刺激と同様に、体温による制御は比較的中程度―高度の代謝亢進に対して有効な制御が得られることが判った。
  • 会田 博, 清水 健, 坂本 滋, 金戸 善之, 白川 尚哉, 豊田 恒良, 志波 知彦
    1989 年18 巻2 号 p. 845-848
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    4社6機種のprogralnmerを使用し、3社8機種のmuitiprogrammable pacemaker (MPM)に対しcross-progranmling(CP)現象の発生に関し検討した。Pacesetter Programalith IIIがSiemens progralnmer 600、600AV、700によりoutputの変更が生じた。CP現象発生のためにはprogrammerとgeneratorとの間に一定の角度を必要とした。CP現象発生の原因として、(1) 他機種のprogranmlerによってもpacemakerのsecurity codeを満足する伝送が行われたか、(2) 他機種のprogrammerの電磁波によりpacemaker内の回路が不安定となり、programmingのparameter値の変動が生じた可能性が考えられた。電磁波を利用しprogrammingを行うMPMにおいては、CP現象の発生や、他の電磁波によるreprogrammingの発生にpacelnaker clinic上十分注意が必要である。
  • ―特に初期閾値の変動からみたレート可変モード可動時期の決定
    進藤 剛毅, 松永 仁, 関口 昭彦, 守月 理, 古瀬 彰
    1989 年18 巻2 号 p. 849-852
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Real time telemetry機能を備えたレート可変ベースメーカーの登場により, 従来経験的に決めていたレート可変モードの可動時期を決定する手段として, telemetry機能の1つである電圧閾値, 刺激閾値の有用性を検討した。◆初期閾値の変動を心内膜リード, 心筋リードにっき各々新規植込症例, 電池交換症例につき植込時から術後8週間に渡り実測したところ1) 新規心内膜リードでは, 術後1週間で, 電池交換例では術直後より閾値の安定化をみた。2) 心筋リードでは, 少数例ではあるが, 新規植込例では2週間を越える不安定期が存在すること, 又電池交換例では心内膜リードと同様, 術直後より閾値の安定をみた。以上の安定化時点がレート可変モードの可動時期として望しい。即ちtelemetryによる閾値の測定は, レート可変モードの可動時期決定の有力な手段となることが明らかとなった。
  • 横山 正義
    1989 年18 巻2 号 p. 853
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 白川 尚哉, 清水 健, 会田 博, 坂本 滋, 金戸 善之, 豊田 恒良, 志波 知彦, 知久 田博, 洞庭 政幸
    1989 年18 巻2 号 p. 854-857
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    VVIペースメーカーよりDDDペースメーカーへの再植込み症例の検討を行なった。対象は18症例(男5例、女13例)で、平均年齢56.7歳(39~70歳)であった。モード変更理由は、電池消耗によるもの16例、ペースメーカー症候群のため1例、リード断線によるもの1例であった。術後のNYHA心機能分類および心胸郭比は有意な改善を示した。しかし、合併心疾患を有する3例(心臓弁膜症、サルコイドーシス、拡張型心筋症)は心胸郭比の改善は得られなかった。今後の方針として、房室ブロック、洞不全症候群の電池消耗によるジェネレーター交換に対して積極的にDDDペースメーカーへの変更を行う方針である。しかし合併心疾患を有するVVIペーシング症例においてはペーシングモード変更手術に際し慎重な検討を考慮する必要があると思われた。
  • 小池 龍, 佐々木 学, 黒田 克彦
    1989 年18 巻2 号 p. 858-861
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    DDDペースメーカー植え込み静脈の変化を検討する目的で、術後平均12ケ月後に21例の静脈造影を行った。鎖骨下静脈に陰影欠損や側副血行を認めない正常例は8例(38%)のみで、陰影欠損を7例(33%)に、陰影欠損と側副血行の両者を6例(29%)に認めた。血栓を示唆する陰影欠損は鎖骨下・内頸静脈合流部に好発し、同部はコントロール50例の検討でも10例(20%)に狭窄を認めた。以上からDDDペーシング患者では無症状の場合といえども、比較的高率に植え込みリードに起因する静脈の変化を来していることが判明した。また我々は、経静脈ペーシング(AAI、VVI、DDD)総数137例中、2例のDDD患者に鎖骨下静脈完全閉塞を経験した。DDDペースメーカー植え込み時には、リードの愛護的操作(特に鎖骨下・内頸静脈合流部通過時)が要求され、また術後の抗凝固療法を徹底させるなど、静脈血栓症の予防に留意すべきである。
  • 寺田 康, 高木 洋行, 下山 嘉章, 井野 隆史
    1989 年18 巻2 号 p. 862-867
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    慢性期の抜去困難な心内膜電極に感染をきたし, 敗血症へ移行した3例を経験した。【症例1】三弁置換術後で, 感染した心内膜電極の他に人工弁があり, 人工弁感染を引き起こしている可能性も否定できず内科的治療中である。【症例2】感染した遺残心内膜電極を静脈内へ落し込んだが, 術後一過性の敗血症を経過し抗生剤投与により治癒した。【症例3】感染した遺残心内膜電極を静脈内へ落し込んだ後, 敗血症となったが抗生剤投与で治癒せず, 体外循環下に開心抜去を施行し治癒した。術中所見で三尖弁にvegetationを認め, この症例の如く, 敗血症ばかりでなく感染性心内膜炎を呈する症例には, 電極の開心抜去が必要である。
    感染の予防が大切で, ジェネレーターの埋込み, 遺残電極の断端処理の際には細心の配慮を要するとともに, 心内膜電極の感染から敗血症へ移行した症例は, 早期の, 積極的な治療が重要と考える。
  • 三井 利夫
    1989 年18 巻2 号 p. 868
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 進, 風間 茂, 佐々木 章, 涌井 好二, 冨澤 康子, 西田 博, 遠藤 真弘, 小柳 仁, 副島 健市, 殿倉 英次
    1989 年18 巻2 号 p. 869-872
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    冷温水槽内蔵コンポーネントタイプの小型一体型人工心肺装置を開発した。冷温水槽の内蔵および冠灌流ポンプを組み込んだ人工心肺装置はすでに開発されているが、かなり大型である。本装置は狭い手術室での使用およびICU、カテーテル室などの狭い場所での緊急手術時などを考慮し、移動設置が容易であるよう小型一体化に努めた。冷温水槽は本体ベース内とした。ポンプはスリーブ径150mmの送血用ポンプ、スリーブ径120mmのベント、吸引および心筋保護液注入用ポンプを本体正面から見て右から左へこの順序に配列した。限外路過用ポンプは左側マストに装着した。よって本装置は人工心肺装置、冷温水槽装置、冷却機能付き冠灌流装置および限外濾過装置の4点をコンポーネントとし、一体化が可能であった。装置の大きさとしては収納時で幅855mm、高さ800mm、奥行き680mmとなった。一体化することで移動設置が容易であり、また操作性も改善され、体外循環時の安全管理も向上した。
  • 幕内 晴朗, 田中 公啓, 松永 仁, 岡部 英男, 川内 基裕, 関口 昭彦, 進藤 剛毅, 古瀬 彰
    1989 年18 巻2 号 p. 873-876
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    最近13年間に17例の「エホバの証人派」信者に対する無輸血開心術を行った。年令は6才から51才, 男女比は3:14で, 成人例は全て女性であった。体重は21.5~51.0kg, 術前Ht値は35.1~53.7%であった。使用した人工肺は気泡型13例, 膜型4例で, 体外循環時間は死亡例(340分)を除くと最長222分であり, 体外循環中の最低Ht値は18~31%であった。術前後における体重増加率は-0.8~+9.6%と開きが大きく, 体外循環時間とは正の相関が認められたが, 最低Ht値や希釈率とは相関しなかった。二弁置換術の一例は不十分な心筋保護により心蘇生が得られず台上死したが, 他は全例生存した。Ht値は術後除々に低下し, 2~14日で最低(16.0~32.6%)となり, 以後上昇に転じた。術後24時間の胸部ドレーンの排液量は5.5~25.6ml/kgであり, 内2例に再開創・止血を行った。膜型肺の使用, 術中Cell-Saverの使用, 術後自己血返血システムの併用および術後出血に対する再手術の迅速な決断が無輸血手術の成功に委要と考えられた。
  • 国吉 幸男, 古謝 景春, 伊波 潔, 赤崎 満, 久員 忠男, 玉木 正人, 島袋 正勝, 山内 米邦, 喜名 盛夫, 草場 昭
    1989 年18 巻2 号 p. 877-880
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血奨浸透圧(POP、mOsm/l)、血奨膠質浸透圧(COP、mmHg)を、体外循環(ECC)前.、ECC中10分、30分、ECC後30分、4時間、8時間、24時間、48時間で経時的に測定しその推移を検討するとともに、POP値、COP値を規定する諸因子、また術後腎機能、術後血管外肺水分量(EVLW、ml/Kg)等との関連について検討した。POPは経時的にそれぞれ283.4、320.2、319.2、315.2、315.7、3141、305.1、2920と変動しその値はマニトール添加率、血糖値と相関を示した。また、ECC中のPOPの高低で分けた、2時間に術後自由水クリアランス(-CH2O)に差は認めなかった。一方、COPは24.2、12.4、13.2、25.3、32.5、34.6、34.8、33.5と変動し、ECC中より、後30分までは充填液中のCOP、血液添加率と良い相関を示し、また術前前後を通じてAlubmin、Globlinが主要構成因子であった。COPと術後EVLWとの関連は得られず、高いCOPが必ずしも低いEVLWを示すとは限らなかった。
  • 猪狩 次雄, 星野 俊一, 岩谷 文夫, 阿部 俊文, 萩原 賢一, 丹治 雅博, 渡辺 正明, 佐戸川 弘之, 緑川 博文, 佐藤 勝則, ...
    1989 年18 巻2 号 p. 881-884
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    polypropylene(PP)膜とcellulose acetate(CA)膜のhemoconcentratorを二重濾過の形で体外循環に応用し、PP膜単独例、CA膜単独例と比較検討した。PP膜の濾液をCA膜に灌流させ、その濾液は人工心肺充填液として再利用することし、CA膜の濾液は廃棄することした。PP+CA膜例では追加充填液量が減少(685.0±527.0ml、PP:1591.4±1401.8ml、CA:1321.3±1763.3ml)した。体外循環中の総蛋白量はPP+CA膜例で低い(60分時4.06±0.64g/dl、PP:4.81±0.73g/dl、CA:5.06±0.48g/dl)が、体外循環終了後60分時にはほぼ補正された。体外循環中の血小板減少率は2つの膜を灌流させても他の単独例と同等(60分時60%台)であった。二重濾過の形をとることで充填液として追加する液量は減少し、より多くPP膜を灌流させることが可能となった分だけ体外循環中の蛋白の漏出量が増加した。蛋白の漏出に対する配慮は要するが有用の方法と考えられた。
  • ―特に適応の縮小とその後の使用血液削減の工夫について―
    仲田 勲生, 斉藤 学, 高原 善治, 須藤 義夫, 村山 博和, 中村 常太郎, 長野 敏昭
    1989 年18 巻2 号 p. 885-888
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環中の限外濾過の適応について検討した。対象は成人の開心術中24例である。まず限外濾過併用の効果について検討した。I群は限外濾過併用群, II群は非併用群で, 両群間の術後臨床経過に差は認められなかった。次に使用血液削減の目的で回路内希釈残血を全量点滴返血し, この効果について初期充填量がI, II群と同じ2440mlのIII群, 初期充填量が1920mlと減少したIV群を検討した。術後心, 肺, 腎機能では4群間に差は認められなかった。総使用血液量は平均I群10.4本, II群14.5本から, III群4.9本, IV群3.0本と有意に(p<0.01)減少した(200ml/本)。さらに体外循環中使用血液量はIV群が他の3群に比し有意に(p<0.05)減少した。使用血液量の削減は, 限外濾過ではなく, 充填量の削減・回路内残血の返血などによると考えられた。限外濾過の適応は(1)体外循環中の尿量2ml/kg/hr以下(2)体外循環中ヘマトクリット20%以下(3)術後十分な尿量が期待できない場合に限定した。
  • 阿部 稔雄
    1989 年18 巻2 号 p. 889
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 永田 昌久, 塩井 健介, 三枝 裕幸, 加藤 眞司, 朴 一彦, 浅井 忠彦, 寺沢 栄一, 土岡 弘通
    1989 年18 巻2 号 p. 890-893
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ローラーポンプ駆動による拍動流体外循環において送血ラインに膜型肺を置くone pump systemでは膜にかかる圧負荷, 圧損, ガス交撫能等問題が多い。そこで積層型膜型肺であるShiley M-2000と外部灌流ホローファイバー肺であるMAXIMAを使って上記問題点を臨床的に検討した。人工肺流入部圧は流量とともに増加し両肺とも4L/minで500mmHg前後にあったが6L/min以上では限度圧近くになるのではと推察された。圧損は4L/minのときM-2000で90mmHg, MAXIMAで50mmHgとMAXIMAのほうが小さかった。人工肺流出部における脈圧が必ずしも末梢動脈圧に反映されず, その原因としてカニューレサィズ, 回路抵抗等のほか生体側の要因も考えられた。両肺とも良好なガス交換能を有し, 溶血も許容範囲にあり拍動流体外循環は臨床的に十分利用可能と思われた。
  • ―血液成分保護の観点より―
    岸崎 邦昭, 益田 宗孝, 戸嶋 良博, 中村 祐一郎, 小江 雅弘, 三谷 淳夫, 深町 清孝, 坂本 真人, 川内 義人, 木下 和彦, ...
    1989 年18 巻2 号 p. 894-897
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    低容量、低有効膜面積のSarns社製外部灌流式ホローファイバー膜型肺(以下S肺)を臨床使用し、同じ外部灌流式膜型肺Maxima(以下M肺)と比較した。両肺とも気泡除去などの操作性は良好であったが、Sarns肺は、320mlという人工肺容量の小ささが体外循環回路充填量に反映され、希釈率も低く、その結果体外循環終了時まで全例無輸血体外循環が施行できた。血液ガス交換能に関しては、両者とも安定した経過を示した。血液成分保護に関して、血小板保存率はS肺にて体外循環開始時において良好であったが、体外循環終了時にはほぼ同等値をとった。溶血の点で、S肺は体外循環時間当りの遊離ヘモグロビン増加量がM肺に比し、やや高い傾向にあった。補体系の活性化により産性されるアナフィラトキシンのC3aはS肺にて低く抑えられた。以上より両肺とも臨床使用上充分有用な人工肺であるが、体外循環回路充填量節減と血中補体活性化の点で、S肺がやや有利であると思われた。
  • 田中 利明, 杉本 智, 数井 暉久, 小松 作蔵
    1989 年18 巻2 号 p. 898-901
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    シリコン膜を用いたコイル型人工肺SM-25を15例に臨床応用した。シリコン膜ではガスの透過性は多孔質膜より劣るが, Blood-Gas interfaceが全くないため, もっとも生理肺に近い形でガス交換を行っていると考えられる。本肺のガス交換能は良好でかつ安定しており, 血流量4l/minの時の肺内圧損が210mmHgと高値であるにもかかわらず, 血液成分に対する損傷は軽微であった。またCO2 flushにより除泡は容易であり, 操作性も良好であった。現在もっとも多く用いられている多孔質膜を用いた人工肺に比較し, シリコン膜を用いた本肺は,より長時間にわたる使用に耐えられると考えられる。以上より, 本肺は臨床応用に十分耐えうる人工肺と思われる。
  • ―特にHF-4000, Silox, Capiox IIとの比較―
    石井 良幸, 大森 一光, 名取 宏, 西村 理, 堀越 衛, 瀬在 幸安, 桑名 克之
    1989 年18 巻2 号 p. 902-905
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環においては血液がガス及び人工材料と接することは避けられずそれにより補体の活性化がおこリアナフィラトキシンが出現し, 生体に種々の悪影響を及ぼす。今回, 我々は外部灌流型膜型肺(polypropylene hollow fiber oxygenator, HF-4000)と内部灌流型膜型肺(Silox, Capiox II)とにおいて白血球, 免疫グロブリン(IgG, IgM), 補体(C3, C4)を経時的に測定し比較した。
    4種類の膜型肺ではSiloxが最も白血球, 免疫グロブリン, 補体等の高分子蛋白に対する影響は少なく優れていた。これはSilicone膜の材質に負うと考えられる。灌流方式の違いでは差はなかった。
    我々の開発した外部灌流研膜型肺(PHO)はSiloxには劣るがHF-4000, Capiox IIとは差はなかった。
  • 椎原 秀茂, 井野 隆史
    1989 年18 巻2 号 p. 906-909
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    外部灌流型膜型人工肺(キャピオックスE)を成人開心術30症例に使用し, ガス交換能, 操作性共に良好な結果を得た。内17症例を気泡型人工肺DIDECO D700 8症例と比較評価した。遊離ヘモグロビンは両群に差がなく, 血小板数, 凝集能はキャピオックスEが有意に高値を示した。凝固因子として, 第VIII因子は術後キャピオックスEが高値であったが, フィブリノーゲン, 第X因子, 第XII因子はおいてICU入室時D700が高値を示した。AT II, プラスミノーゲンは差を認めなかった。落差脱血を可能とした外部灌流型膜型人工肺キャピオックスEは臨床において十分な有用性があると思われる。
  • 林 孝二, 須磨 幸蔵, 城間 賢二, 井上 健治, 小山 雄次, 金子 秀実, 河合 靖, 今西 薫, 鳥井 晋造, 伴 哲雄, 竹内 靖 ...
    1989 年18 巻2 号 p. 910-913
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来の膜型人工肺の欠点と言われていた操作性の向上を主な目的として開発された外部灌流方式ポリプロピレン中空糸人工肺テルモ社製キャピオックスIII (CX-III), キャピオックスE(CX-E)を35例の開心術症例の体外循環に用いた。全例, 終始本人工肺のみで体外循環をおこなうことができ, 本人工肺に起因すると考えられる合併症は経験しなかった。
    体外循環低体温時送血側血液分析結果は, CX-IIIでは, V/Qが0.62±0.18でFiO20.86±0.17の条件下でPO2386±73mmHg, PCO227±4mmHg。CX-Eでは, V/Qが0.53±0.12でFiO20.63±0.07の条件下でPO2373±79mmHg, PCO235±5mmHgであり, 良好なガス交換能を示した。
    血漿遊離ヘモグロビン値の増加は軽度であった。
  • 高場 利博
    1989 年18 巻2 号 p. 914
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―TATおよびPlm. α2PI complex測定の有用性―
    田中 國義, 片山 芳彦, 下野 高嗣, 水谷 哲夫, 矢田 公, 湯浅 浩, 草川 實
    1989 年18 巻2 号 p. 915-919
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    成人開心術症例14例に対し、術中経時的に採血し、凝固線溶動態の解析を行なった。凝固線溶系パラメータとして、従来のfibrinogen, ATIII, FPA, plasminogen, α2PI, FPBβ15-42の他に、最近新しく開発されたELISA法を用いたThrombin-antithrombin complex(TAT)およびα2PI・Plasmin complex(α2PI・Pm complex)の測定を行なった。体外循環に伴ないFPAの上昇、ATIIIの低下が認められ凝固機転の発現が、また、α2PIの低下、FPBβ15-42の上昇より線溶活性の発現が推察された。さらに、TATおよびα2PI・Pm complexも体外循環開始後上昇し、体外循環開始120分後にはそれぞれ前値の11倍、3.2倍に達し、体外循環に伴なうthrombinおよびplasminの生成が確認された。TATおよびα2PI・Pm complexの測定は従来の間接的指標に比べ鋭敏であり、測定方法も容易である事から、今後開心術に伴う凝固線溶系の各種病態の解析、各種薬物の効果の解析に有用であると考えられる。
  • 鎌田 聡, 川田 忠典, 保尊 正幸, 阿部 裕之, 三枝 隆, 舟木 成樹, 岡田 忠彦, 稗方 富蔵, 山手 昇
    1989 年18 巻2 号 p. 920-923
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    術前抗血小板剤であるticlopidine 200mg/dayを投与し術後の血栓形成傾向を血小板機能より検討した。コントロール群, 術後抗血小板剤投与群, 術前抗血小板剤投与群に分類し, 血小板数, 凝集能, 血小板特異蛋白, 術後出血量, 術後血栓症例より検討した。
    この結果, 術前抗血小板剤投与によって術後出血量を増加させることなく, 他群に比し術前及び, 術後, 凝集能を抑制し, 血小板特異蛋白の放出を抑制する傾向にあり, 術後血栓症症例を合併しなかったことから, 血栓形成傾向防止に有用と結論した。
  • 三枝 隆, 岡田 忠彦, 鎌田 聡, 日向 三郎, 保尊 正幸, 阿部 裕之, 川田 忠典, 山手 昇
    1989 年18 巻2 号 p. 924-927
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Iloprostの体外循環中の血小板保護効果について成人無血充填体外循環開心術症例13例を対象に、1群Iloprost非投与群5例とII群投与群8例とに分けて検討した。IloprostはHeparin投与10分前に2ng/kg/minで開始し、体外循環終了時まで持続投与を行ない、血小板系各指標、凝固線溶系因子、溶血度指標について経時的測定を行なった。Iloprost投与によりHeparin投与後の血小板活性化を充分に抑制し得なかったものの、20μM ADPに対する凝集能は抑制された。血小板数はI群は体外循環中減少傾向を示したのに対し、II群では体外循環終了直前まで低下傾向が認められず、30分値ではI群80.2±13.7、II群99.7±5.7%とII群が有意に高値を保った。体外循環中のβTG、PF4の上昇はIloprost投与により有意に抑制された。凝固線溶系に及ぼす影響は明らかにし得なかった。以上により2ng/kg/minのIloprostの持続投与は体外循環中の血小板の量的保護、血小板放出反応制止に有用であると結論された。
  • 伊藤 恭子, 田中 志信, 山越 憲一, 神谷 瞭
    1989 年18 巻2 号 p. 928-931
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環中の溶血量(血漿遊離ヘモグロビン(Hb)濃度)連続計測を目的とした非容積式血液ポンプ内蔵型溶血センサのプロトタイプシステムを試作し、in vitro試験下に性能評価を行った。試作システムは血液ポンプに内蔵された血漿分離部及び血漿成分の吸光度を測定するセンサ部から構成されている。吸光度測定の為の光源にはピーク波長560nm高輝度LED, 受光素子にはPhotodiodeを使用し、センサ部の簡易構造化を図った。さらに酸素分圧変化の影響を取り除く為、干渉フィルタにより測定波長を等吸収点である540nm(半値幅: 12nm)とした。血漿分離にはディスク型フィルタを用し、非容積式血液ポンプ内の速度勾配を利用した簡便な分離法を考案し、最適フィルタ孔径の決定を行った。その結果、赤血球除去能、血漿分離速度及び吸光度測定の精度から、0.45μmが本システムに適した孔径であると考えられた。試作システムより得られたHb濃度を従来法との比較により精度検討を行ったところ、良好な相関関係が得られ体外循環中の溶血量測定システムとしての有用性が確認された。
  • 清水 健
    1989 年18 巻2 号 p. 932
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 田中 志信, 伊藤 恭子, 山越 憲一, 神谷 瞭
    1989 年18 巻2 号 p. 933-936
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    全血及び血漿電気インピーダンスを同時測定することにより、体外循環中のヘマトクリット(Hct)値を連続的に計測する方法を考案し、試作システムの性能評価を行なった。Hct値算出にはMaxwell-Frickeの式を用い、これに測定値から得られる全血・血漿抵抗率比(ρb/ρp)を与えることにより、輸液等によるρp変動の影響を受けにくいシステム構成とした。また血漿成分の連続的分離のために、非容積式血液ポンプ内の速度勾配と圧力分布を利用した簡便なディスクフィルタ型血漿分離法を新たに考案し、試作システムに応用した。本システムによる計測値(Hctc)と毛細管法による値(Hctm)との比較により精度検討を行なったところ、回帰直線式:Hetc=1.00Hctm-0.002、相関係数:r=0.996を得、本システムにより良好な精度でHct値が測定可能であることが確認された。また犬左心バイパス実験によるin vivo試験の結果、長時間安定してHct値が連続測定可能であり、体外循環中のHct連続計測システムとして充分適用可能であることが確認された。
  • 箱島 明, 阿久津 博美, 長田 一仁, 長田 鉄也, 藤川 正, 末定 弘之, 矢尾 善英, 石丸 新, 古川 欣一
    1989 年18 巻2 号 p. 937-940
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液中へのbubblingとローラーポンプおよびメチルプレドニゾロンの赤血球変形能へおよぼす影響を実験的に検討した。赤血球変形能は微小循環の重要因子であり、その測定法としては赤血球濾過率を測定した。血液中への酸素bubblingで赤血球濾過率は84.5±2.5μl/秒より30分後に72.5±4.0μl/秒と低下した。ローラーポンプを使用した血液回路では93.2±2.9μl/秒より30分後には81.6±3.0μl/秒と低下した。メチルプレドニゾロンはローラーポンプによる赤血球濾過率の低下を抑制した。この作用は濃度依存性であり、100μg/ml投与群では120分間、500μg/ml投与群は180分以上赤血球濾過率の低下を抑制した。以上により、体外循環時における気泡型人工肺の使用は赤血球変形能の保持、つまり、微小循環の立場からは勧められない。メチルプレドニゾロンの投与は体外循環後の微小循環維持に有効であると考えた。
  • ―赤血球変形能について―
    阿久津 博美, 長田 鉄也, 末定 弘行, 土田 博光, 箱島 明, 山口 寛, 石丸 新, 古川 欽一
    1989 年18 巻2 号 p. 941-944
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    心・大血管手術症例11例に対して, 術野出血, 体対循環回路残血をHaemonetics Cell Saver IVRを使用して回収し自己輸血を行った。平均出血量3804mlに対し, 平均輸血量は1377mlであった。Cell Saver非使用群23例では, 平均出血量2755mlに対し, 平均輸血量は3160mlであった。回収処理血の性状は, 赤血球数477±185(×104/dl), ヘマトクリット値455±128%, 血小板数5.3±51(×104/ml)であった。輸血前動脈血, Cell Saver処理血, 処理血輸血後動脈血の赤血球変形能は54.82±21.04(μl/sec), 52.84±11.08, 53.65±19.10(Reid法の変法で測定)であり有意差を認めなかった。またProstaglandin E1(PGE1)投与群と非投与群の処理血変形能は, PGE1投与群が有意に高かった。以上よりCell Saverを用いた回収式自己輸血は回収操作による赤血球の損傷が少なく, 同種血輸血量の節減に有効な手段であると考えられた。また術中PGE1の投与は回収血の変形能を良好に維持すると考えられた。
  • 工藤 龍彦, 清水 剛, 小長井 直樹, 日野 宏, 古川 欽一
    1989 年18 巻2 号 p. 945-947
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    長時間の体外循環に伴う溶血は、開心術後の合併症として知られるが、治療上、溶血の程度、つまり血中の遊離ヘモグロビン(F-Hb)値を正確に把握する必要がある。そこでわれわれは簡便な検査法である簡易定量用カラムによるカラム法を臨床に用いて、F-Hbの一定量的検査法である分別定量法と比較し、その実用性について検討した。
    対象は、弁膜症手術(11例)、CABG(9例)の計20例で、体外循環時間の平均値は168±56分であった。なお、採血は溶血の程度が強いと思われる体外循環終了時に施行した。分別定量法によるF-Hb値は0~120.0mg/dl、平均42.6±29.2mg/dlであったが、カラム法では0~109.0mg/dl、平均49.1±31.7mg/dlであり、両者の測定値はr=0.871(P<0.001)と良い相関を示した。したがって、カラム法は臨床上、溶血の迅速な診断法として有用であると思われた。
  • 大島 宣雄
    1989 年18 巻2 号 p. 948
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 西村 理, 大森 一光, 石井 良幸, 名取 宏, 堀越 衞, 瀬在 幸安, 桑名 克之
    1989 年18 巻2 号 p. 949-952
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    肺胞低換気(T, V. 10ml/kg, R. R. 5/min)による急性呼吸不全犬を作製し, これに対しわれわれが開発した小型で圧力損失も少ない外部灌流式ポリプロピレン製膜型肺(充填量約60ml, 膜面積約0.7m2)を用いたpumpless ECMOによる比較的長時間(24時間)にわたる呼吸補助を施行した。実験は肺胞低換気のみの群(G-1)とECMO群(G-2)の2群に分け検討した。G-1は著明な高炭酸ガス血症および低酸素血症を示し全例(5例)4時間以内に死亡した。G-2は高炭酸ガス血症および低酸素血症がECMO開始により改善され9例中4例が24時間生存し得た。血液学的検査ではHb値の経時的低下傾向を認めたが試作肺の炭酸ガス除去能は24時間後においても良好に保たれ, 急性呼吸不全特に高炭酸ガス血症の一治療法として比較的長時間の使用に耐えうる可能性を有する人工肺と思われた。又, 肺胞低換気時の骨格筋細胞を電子顕微鏡で検索し若干の知見を得たので報告した。
  • 堀越 衛, 大森 一光, 石井 良幸, 名取 宏, 西村 理, 瀬在 幸安
    1989 年18 巻2 号 p. 953-956
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    雑種成犬を用い肺胞低換気による急性呼吸不全モデルを作成し、新たに開発したポリプロピレン製外部灌流型膜型肺を用い、AVバイパス ポンプレスECMOによる比較的長時間呼吸補助を行い、呼吸補助施行前後の生体肺、低換気型急性呼吸不全モデルの生体肺を、それぞれ透過型電子顕微鏡により観察し比較検討した。その結果、本法による呼吸補助は肺の超微細構造面においても、呼吸不全による肺組織障害の進行を阻止する所見を認め、特にsurfactantの産生分泌に関与するとされるII型肺胞上皮細胞においては、比較的長時間の呼吸補助を施行することにより、その修復効果をも有するものと思われた。
  • ―RVADシステムを用いた性能評価のための慢性動物実験モデルの確立―
    巽 英介, 高野 久輝, 妙中 義之, 野田 裕幸, 木下 正之, 関井 浩義, 矢倉 明彦, 佐々木 栄作, 阿久津 哲造
    1989 年18 巻2 号 p. 957-962
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工肺の長期間評価を目的として、右心補助人工心臓(RVAD)システムを用いた性能検定のための慢性動物実験モデルを作成し、これを用いて実際の長期間検定を施行した。成山羊3頭を用い、右心房―肺動脈間にRVADを装着し、約2週間の安定期間をおいた後、送血コンデュイットに評価目的の人工肺を挿入、装着した。検定中は抗凝血療法を施行したが、局所出血等の実験動物に起因する合併症を認めることなく、6個の人工肺に対して11~191時間(平均88.7時間)の長期間検定を施行し得た。拍動流であるVADシステム使用下で、最高バイパス血流量2~4L/minを得ることが可能で、人工肺ガス流出側の酸素および炭酸ガス濃度の持続的分析により、容易に人工肺ガス交換能の経時的推移を評価することができた。また、他の評価因子に関しても安定して検定し得た。本検定方法は再現性、安定性に優れ、長期間使用人工肺の総合的評価方法として極めて有用な手段になり得るものと考えられた。
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