【目的】山形県における胃がん死減少を図るため地域住民検診と職域検診それぞれで胃がん検診の精度管理および課題を検討した。
【対象と方法】県,市町村,検診機関それぞれの“事業評価のためのチェックリスト”を用いて,2016から2018年度における精度管理体制の改善の有無を評価した。また2018年度の胃がん検診受診者207,341名を対象としてプロセス指標を評価した。さらに年齢階層別の胃がん死亡数と検診受診率を比較した。
【結果】県と市町村の精度管理体制では改善が見られた一方で検診機関では停滞していた。また地域住民検診におけるプロセス指標は全て許容範囲を満たしたが,職域検診では満たしておらず特に精検受診率が低かった。地域住民検診と職域検診を合わせるとがん発見率で許容値を満たさなかった。年齢階層別の検討では特に75歳以上の高齢者で胃がん死亡数とその割合が高かったが,検診受診率は低かった。
【結語】山形県における胃がん死減少のためには,職域検診では精検受診率向上に向けた取り組みの強化,また地域住民検診では75歳以上の高齢者に対する検診受診勧奨が望まれる。
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