【背景】質の高い大腸内視鏡検査の指標に, 十分な抜去時間がある。本検討は, 6分以上の抜去時間推奨と抜去時間のレポート記載を行った場合の, 抜去時間やポリープ発見率への影響を調査した。
【対象と方法】任意型大腸内視鏡検診受診者1,231例を, 抜去時間推奨前, 抜去時間推奨後, 抜去時間記載開始後の半年ごと3期に分け, 抜去時間, ポリープ発見率について検討した。
【結果】抜去時間推奨前における異常なし症例の平均抜去時間(以下抜去時間)が3分13秒の医師Aは, 3分48秒, 4分19秒と順に有意に延長, 医師Bは推奨前後で4分0秒から5分49秒に有意に延長した。推奨前の抜去時間が6分台の医師C~E, 8分台の医師Fは, 有意な抜去時間の変化はなかった。医師Gは抜去時間推奨前後で9分13秒から7分22秒に有意に短縮した。医師全体だと推奨前後で5分35秒から6分26秒へ有意に延長していた。ポリープ発見率は各医師および医師全体において有意な増加はなかった。
【結語】抜去時間6分以上の推奨の効果は限定的で, ポリープ発見率は改善しなかった。精度向上には, より長い抜去時間推奨, 具体的観察方法の教育, フィードバックといった対策が必要と考える。
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