遺伝子多型の検索が, 胃癌のハイリスク群の選定に用い得るかどうかについて, 過去のメタ解析論文のレビューを通して検討した。文献は2008年6月までにMedlineで検索可能な, 遺伝子多型と胃癌発生リスクに関してメタ解析が行われたもので, 英語で発表されたものとした。該当する研究は25あった。複数の研究で統計学的有意差が報告されたものは,
TNFA -308,
MTHFR 677,
IL1B -511,
IL1B VNTRの4領域あった。単独で
H. pylori感染に匹敵するほどORの高い遺伝子多型は報告されていないものの, 複数の遺伝子多型の組み合わせで,
H. pyloriに匹敵するORは得られる可能性が考えられた。また,
H. pylori感染の有無の検索に加えて, 遺伝子多型の検索を加えることで, より詳細な胃癌発生のリスク評価が可能となることから, 遺伝子多型の検索は, 胃癌のハイリスク群の選定に用い得ると考えられた。
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