【背景】質の高い胃がん検診を行うには, 新・胃X線撮影法ガイドラインで提唱している撮影の手順を守り, 造影効果を上げ, 適切な体位で撮影する事が重要であるが, その一方で, 胃形は大きな問題の一つと言える。
【対象と方法】今回我々は, 精度向上を目的に, 独自に作成した異なる胃形の自作胃ファントムを用いた教育効果を検討した。対象症例は2019年1月1日から2019年9月30日までに実施された胃がん検診受診者400名で, この400名を胃の形状から鉤状胃, 下垂胃, 横胃に分類し, A:造影効果, B:描出範囲, C:ポジショニングの3項目において, 胃がん検診専門技師を含む診療放射線技師5人で視覚評価を行った。さらに, 胃がん検診を担当した技師5名に対し, 自作胃ファントムを用いて教育を行った。教育後に2019年11月から2020年1月に実施された胃がん検診受診者108名の胃X線画像を用いて, 教育前と同様に視覚評価を行い, 教育による効果を評価した。
【結果】教育前での視覚評価は, 鉤状胃, 下垂胃, 横胃の順に低い結果であったが, 教育後では, いずれの胃形においても視覚評価の向上を認めた。
【結語】胃ファントムを作成し教育する事で, 撮影技術の向上だけでなく, 診断に適切な胃X線画像を撮影する事ができ, 病変の拾い上げの向上につながると推測された。
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