日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
Print ISSN : 1880-7666
ISSN-L : 1880-7666
61 巻, 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
巻頭言
総会長報告
原著
  • 西大路 賢一, 釜口 麻衣, 小林 正夫, 竹下 訓子, 真田 香澄, 萬代 晃一朗, 河村 卓二, 宇野 耕治
    2023 年 61 巻 6 号 p. 943-955
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/15
    [早期公開] 公開日: 2023/07/04
    ジャーナル 認証あり

    【背景(目的)】細径内視鏡による内視鏡検診で発見した表在型非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(superficial non-ampullary duodenal epithelial tumor:SNADET)の臨床的特徴を明らかにする。

    【対象と方法】当院ドック16年間のべ73,959例(経口69,478例, 経鼻4,481例)中, 発見したSNADET36例について, 年齢, 性別, 内視鏡機種, 内視鏡検診時の病理所見, 治療法, 最終病理診断, SNADET発見率, がん発見率, 早期がん比率, 生検正診率, 内視鏡的胃粘膜萎縮評価, ヘリコバクター・ピロリ菌感染既往と除菌歴, 3年以内の内視鏡検査既往を検討した。

    【結果】SNADET発見率は0.049%, 経口32例0.046%, 経鼻4例0.089%で細径内視鏡の経鼻挿入は経口挿入に劣らなかった。最終病理診断は腺がん16例0.022%で全例早期がん, 生検正診率は46.7%, 4例が生検後線維化で内視鏡治療に支障を来した。

    【結語】細径内視鏡はSNADETの早期発見に有用と考える。今後内視鏡検診において, 十二指腸下行部の観察と内視鏡治療を考慮する場合の生検について検討が必要である。

調査報告
  • 大泉 晴史, 名木野 匡, 武田 弘明
    2023 年 61 巻 6 号 p. 956-969
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/15
    [早期公開] 公開日: 2023/07/04
    ジャーナル 認証あり

    2000年11月Helicobacter pylori(H.pylori)感染消化性潰瘍に対する除菌治療の保険適応と同時に山形県臨床H.pylori研究会を設立し, 県内の除菌治療の普及と標準化を図ると共に, 除菌症例登録制度による胃がん発生抑制効果について8年間の前向き研究を行い, 非除菌群に比し, 除菌群で約40%の胃がん発生抑制効果があることを示した。また2010~2011年山形市医師会と山形大学との共同研究で, ABC分類併用胃X線検診を行い, 胃がん発見がABC分類併用群でX線検診単独群の3倍あり, その有用性が確認された。これらの結果を受けて, 山形市は2017年度からABC分類検査費用を予算化, 除菌までを考慮したABC分類併用胃X線検診を継続事業として導入, 4年間でその有用性とH.pylori感染者の多くが除菌に繋がっていることを再確認した。加えてこれに関して現状を検討したうえで課題を抽出した。また2014年WHO/IARC発出の胃がん予防にH.pylori除菌を推奨するレポート, 2016年2月の厚労省「がん検診実施のための指針」改訂版の公示をうけ, 県医師会消化器検診中央委員会では, 各検診機関から日本消化器がん検診学会が策定した「胃X線検診のための読影判定区分(カテゴリー分類)」におけるカテゴリー2「慢性胃炎」の被険者に対し, 除菌への行動誘導を促すべく, H.pylori感染の可能性と除菌による胃発がん抑制効果の情報と共に結果を通知する体制の整備を進めており, 更なる胃がん死減少に繋げたい考えである。

  • 馬嶋 健一郎, 島本 武嗣, 村木 洋介
    2023 年 61 巻 6 号 p. 970-983
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/15
    [早期公開] 公開日: 2023/09/22
    ジャーナル 認証あり

    【背景】大腸がん検診の精検受診率は低く, 理由の一つに大腸内視鏡検査の受容性の問題があり, 大腸CT検査導入による精検受診率改善が期待されている。

    【対象と方法】大腸CT検査を精検方法に追加して受診勧奨を行い, 精検受診者へのアンケート調査により大腸CT検査追加による精検受診増加について推定した。また, 第一選択となる大腸内視鏡検査がどのように受けとめられているかを調査した。

    【結果】精検受診増加の推定値は4.7%(25/533, 95%信頼区間3.1~6.8%)であった。精検受診者には大腸内視鏡検査を第一選択として強く推奨したが, 2.0%が大腸CT検査を受けた。受診者の37.6%が大腸内視鏡検査に悪いイメージを持って来院しており, 内視鏡検査歴がない者は52.8%とより多く悪いイメージを持っていた。検査後アンケートでは安楽な大腸内視鏡検査を行う頻度が上位の医師が内視鏡検査を提供すると, 下位の医師が検査を提供した場合に比べて, 今後も内視鏡検査を受けたいと答えた受診者が多かった(81.6%, 65.9%, P<0.001)。

    【結語】精検方法への大腸CT検査追加で一定数の精検受診増加が見込まれる。大腸内視鏡検査を頑なに拒絶する者がおり代替手段として大腸CT検査は有用である。大腸内視鏡検査に悪いイメージを抱くものは多く, これを安楽に提供することは後の受容性に関わるので重要である。

feedback
Top