日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
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ISSN-L : 1880-7666
62 巻, 1 号
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巻頭言
大会長 報告
原著
  • 安田 耕平, 珍田 大輔, 藤原 沙映, 下山 克
    2024 年 62 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/15
    [早期公開] 公開日: 2023/11/22
    ジャーナル 認証あり

    【目的】Helicobacter pylori(H. pylori)除菌後の血清抗体価を4つのキットで同時に測定し, それぞれの陽性率の経時的変化を検討して, 胃癌リスク者の選別に際しての既感染者拾い上げにおける有用性, H. pylori除菌成功者に対する不必要な除菌治療に繋がる危険性について明らかにする。

    【対象と方法】2013年7月からの1年間で青森県の多施設共同研究に登録され, 除菌成功後6年間に3回以上血清を採取された239症例を対象とした。各血清について4キットで抗体価を測定し, 比較検討を行った。

    【結果】除菌成功1年後から6年後の抗体陽性率は栄研Latex agglutination(LA)では58.9%, 45.1%, 45.0%, 35.5%, 38.7%, 40.4%, デンカLAでは63.9%, 52.4%, 39.6%, 36.2%, 35.1%, 27.7%, Wako LAでは75.7%, 61.6%, 55.0%, 53.9%, 48.8%, 40.4%であった。一方, Eプレートはカットオフ値 3.0 U/mLの場合, 72.8%, 62.2%, 48.6%, 45.4%, 38.7%, 34.0%であったが, 10.0 U/mLでは10.4%, 4.3%, 4.5%, 5.7%, 4.2%, 2.1%であった。

    【結語】LA法はEnzyme immunoassay法と比較すると除菌後も血清抗体陽性が持続しやすい傾向にあった。LA法は胃がんリスク者の拾い上げには有用であるが, 除菌後例で血清抗体が測定される場合がしばしばあり, こうした際はLA法では特に, 他の検査や画像診断を組み合わせるべきと考えられた。

  • 浅野 道雄, 金岡 繁, 吉川 裕之, 幸田 隆彦
    2024 年 62 巻 1 号 p. 9-19
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/15
    [早期公開] 公開日: 2023/11/22
    ジャーナル 認証あり

    浜松市における対策型大腸がん検診において, 検診事業を受託している浜松市医師会は, 2019年, 大腸がん検診委員会を発足させ精度管理を始めた。その一環として, 2015~2020年のデータの解析と検診実施施設, 便潜血検査受注検査会社への調査を行った。その結果, 要精検率7.4~8.3%, 精密検査受診率53~63%で, いずれも許容値に達していないことが分かった。また, 要精検率は施設によるばらつきが大きく, その主たる要因は, 便潜血のカットオフ値が, 50~150ng/mLと統一されていないことにあると考えられた。そこで, 大腸がん検診票の便潜血検査結果の記載を従来の定性から定量値に変更し, カットオフ値を130ng/mLに統一し, 2022年4月から運用を開始した。1年間実施した結果, 要精検率が6.0%となり, 初めて許容値の7.0%を下回ったことが明らかとなり, 一定の成果が確認できた。新しい検診票では, 要精検となった場合に大腸内視鏡検査を受ける意思を確認する欄を設け, 受診者にチェックを求めるようにするなど, 精密検査受診率向上のため方策も含まれており, 今後の適切な大腸がん検診の運用が期待される。

委員会報告
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