日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
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61 巻, 5 号
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巻頭言
原著
  • 三好 広尚, 片野 義明, 小林 隆, 山本 智支, 舘 佳彦, 乾 和郎
    2023 年 61 巻 5 号 p. 518-527
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/15
    [早期公開] 公開日: 2023/03/29
    ジャーナル フリー

    【目的】腹部超音波検査で良悪性の判定困難な胆嚢疾患に対して, 周波数3.5MHzと7MHz(高周波数)の超音波プローブを用いて両者の診断能を比較した。

    【対象と方法】腹部超音波検診で良悪性の判定が困難なため要精検となった胆嚢疾患58例に, 3.5MHzと7MHzの超音波プローブを用いた超音波検査を行い, 腹部超音波検診判定マニュアル改訂版(2021年)のカテゴリー(C), 判定区分, 超音波画像所見の画質を単施設で後ろ向きに比較した。判定者は, 日本超音波医学会超音波指導医1名により行った。統計学的分析はt検定, χ2検定を用いた。

    【結果】3.5MHz群と7MHz群の比較を行った。カテゴリーはC2(19% vs 72%), C3(17% vs 12%), C4(64% vs 16%)であり, C2(良性)は, 7MHz群で有意に高率に判定された(P<0.001)。判定区分はC(26% vs 79%), D2(74% vs 21%)であり, 判定区分D2(要精検)は, 7MHz群で有意に低率に判定された(P<0.001)。7MHz群は周波数3.5MHz群の画像と比較して71%で2(良好), 3(非常に良好)であった。

    【結語】胆嚢疾患において, 高周波プローブ(周波数7MHz)を併用することにより明瞭な超音波画像所見が得られ, 腹部超音波検診においてより正確な判定ができると考えられる。

経験
  • 萩原 廣明, 茂木 文孝
    2023 年 61 巻 5 号 p. 528-536
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/15
    [早期公開] 公開日: 2023/06/28
    ジャーナル フリー

    前橋市では2014年度から大腸がん検診精検未受診者に対して郵送による精検再勧奨を行っている。今回はその効果と課題とともに, 検診参加施設のプロセス指標と免疫便潜血検査(fecal immunochemical test:以下FIT)の調査から, 前橋市大腸がん検診の問題点を検討した。精検再勧奨後に精検受診を確認できたのは精検未受診者全体の17.4%~25.6%だったが, そこから3~12例の大腸がんが発見された。検診実施施設の精検受診率には大きな施設間格差が見られた。FITのcut-off値も自院検査と外注検査センターで統一されていなかった。大腸がん検診の目的と検査方法を検診対象者に周知徹底するとともに, FITのcut-off値を統一して要精検率を適正化し, 精検再勧奨も利用した要精検者への精検受診指導の徹底によって, より効率的な大腸がん検診を行っていくことが求められる。

調査報告
  • 村上 晶彦, 神谷 亮一, 長澤 茂, 中居 賢司, 菅原 将人, 石田 由貴, 山下 純一, 永井 謙一, 狩野 敦, 永塚 健
    2023 年 61 巻 5 号 p. 537-546
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/15
    [早期公開] 公開日: 2023/07/04
    ジャーナル フリー

    岩手県地域胃がん検診受診者は, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で, COVID-19前の2019年88,534人から2020年78,621人(11%減少), 2021年82,450人(7%減少)と有意に減少し, 全く回復していない。

    発見胃がん数について, 2019年102人のうち早期胃がん70人, 2020年は101人のうち早期がん72人, 2021年は95人のうち早期がん55人と進行がん・早期がん別では, 有意差はなかったが, 発見胃がん数は有意な減少をみた。

    受診者の減少で岩手県対がん協会の検診の収支もマイナスとなった。最近の3年間の岩手県の地域胃がん検診の成績から85歳以上の受診者数, 胃がん発見率, 早期胃がんの発見率を検討し, 85歳以上の胃がん発見数は5,761人中30例(早期胃がん18例), 85歳未満では, 243,844人中268例(早期胃がん179例)であり, 有意に85歳以上の高齢者で胃がん発見が多い。早期胃がんの発見には有意差はなかった。85歳以上の高齢者の胃がん検診について, 韓国では推奨されないと報告されているが, 岩手県では一概に受診を制限することはできないと考える。重篤な偶発症を防ぎながらCOVID-19禍でも安心安全な胃がん検診を心がけたい。

有賀学会賞受賞者の声
学術奨励賞受賞者の声
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