【はじめに】藤枝市では,2013年度から胃がんリスク判定(独自基準を設けた修正ABC分類)と胃内視鏡検診を行っている。修正ABC分類の結果をもとにした効率的な胃がん検診の対象集約について検討した。
【方法】リスク判定は2013-2017年度に39-75歳であった者に1人1回のみ通知・施行した。ペプシノゲン法陽性(PG(+))基準をPG I≦70 ng/mLかつPG I/II≦3.0としたうえで,修正ABC分類の定義を,A群:Helicobacter pylori(H. pylori)抗体<3 U/mLかつPG(-)で,さらにPG I/II>4かつPG II<15 ng/mLを満たす者。A':「3 U/mL≦H. pylori抗体<10 U/mLかつPG(-)で,3<PG I/II≦4」,「3 U/mL≦H. pylori抗体<10 U/mLかつPG(-)で,PG II≧15 ng/mL」のいずれかを満たす者。B1群:H. pylori抗体≧10 U/mLかつPG(-)かつPG II<30 ng/mLを満たす者。B2群:H. pylori抗体≧10 U/mLかつPG(-)かつPG II≧30 ng/mLを満たす者。C群:H. pylori抗体≧10 U/mLかつPG(+)を満たす者。D群:H. pylori抗体<10 U/mLかつPG(+)を満たす者とした。リスク判定後にA,A'群は公費助成による,B-D群は保険診療による内視鏡を施行した。その後も定期的な内視鏡フォローを行った。
【結果】リスク判定胃がん発見率:0.27%,各群胃がん発見率:A 0.0081%,A' 0.18%,B1 0.43%,B2 0.26%,C 1.22%,D 1.23%。内視鏡フォロー胃がん発見率:0.53%(41/7,700;A 0,A’2,B1 4,B2 5,C 26,D 4)。内視鏡フォロー中に発見されたA'群の胃がんの発見時期は全てリスク判定受診4年以降であった。
【結語】修正ABC分類によるA群からの胃がんは極めて少なく胃内視鏡検診の対象から除外も検討できる。またA'群への検診間隔は延長が許容されうる。
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