第1報において,自然の場合の流れと風洞中の模型の流れが相似になるためには,両者の時間スケールの間には〓〓
なる関係がみたされ風速の縮率と模型の縮率との聞には, 〓〓
なる関係がみたされなければならないことを導いたが,この結論を導き出すまでの過程からみて必然的に
(i) 現地と模型の対応する場所の乱れの強さが等しい,
(ii)現地に対応する模型上の各場所における,x,y,z方向の各々の平均渦の大きさは,いずれも模型の縮率に応じて小さくなる,
(iii)x,y,z各方向における各々の平均渦は,その大きさを異にし,見掛上の inertial subrange の範囲も方向別に異つているが,いつれも乱流の相似理論によつて得られた関係が適用されるinertial subrangeにある。という条件が満足されなければならない。従つてこれを実験的に確めるために,江の島灯台において平均風速の高度分布および各高度における風速変動を測定し,一方模型実験で同様の測定を行い,上述の条件について調べた。その結果,充分とはいえないが10分前後の比較的短い観測時間に対しては,ほぼこれらの条件が満足されることがわかつた。なお,簡単な二次元の模型として,寸法の違つた二枚の衝立を用い,その背後の各点における wind prfiles を測定し,相互に比較した結果によつても,風速の縮率と模型の縮率との間に前述の関係がみたされるとき,よい相似が得られることがわかり,更に,模型の縮率が水平方向と垂直方向とで異なつている場合についても,平均の垂直流が無視出来るような場合には,同じく上述の関係を用いて実験風速より現地風速をよい近似で推定することが可能であることがわかつた。
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