Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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43 巻, 1 号
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原著論文
  • 吉川 澄夫, 小泉 岳司, 古屋 逸夫
    1992 年 43 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 1992年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     南部フォッサマグナの破砕帯中に30mの間隔で設置した2台の埋込式体積歪計による観測に基づいて歪ステップの調査を行った。設置直後から約1年間の長期的な歪変化は概してモルタルの冷却化による見かけの膨張と周囲の応力集中の緩和を示した。この間、歪ステップの発生頻度は徐々に減少した。歪ステップの発生と降雨、気圧変化、地下水位、そして地下水温のような環境条件との間に明瞭な関連性はない。2台の体積歪計で見られる歪ステップには相関がなく、その現象の規模は2本の体積歪計の設置間隔よりも小さいことが判る。歪ステップの振幅別頻度分布は地震や岩石のアコースティックエミッションで見られるものと類似しており、破壊過程が関与していることを示唆する。歪ステップの発生数の時間変化は余震系列と同様改良大森公式によって表現できる。室内実験では歪ステップの発生頻度が歪センサー周辺の媒質内の応力レベルに依存することが判った。以上の事から、体積歪計で観測される歪ステップはボアホール周辺の破壊過程で生じていると考えられ、その発生の推移は体積歪計の設置によって生じた初期応力の緩和過程を反映していると考えられる。
  • 塩原 匡貴, 浅野 正二
    1992 年 43 巻 1 号 p. 17-31
    発行日: 1992年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     赤外放射フラックスの測定に広く用いられるEppley社のシリコン製ドーム付赤外放射計 (PIR) について、ドームの射出効果を定量的に調べた。温度を室温から-25°Cまで制御できる黒体錐とドーム温度を変化させるための装置を有する検定用黒体槽を開発し、PIRの測器定数およびドーム係数を求めた。ドームの射出効果をドーム温度を用いて補正することにより、温度上昇・下降時に見られたPIR出力のヒステリシスが消失し、入射放射量対PIR出力の検定回帰直線が精度良く得られることが確かめられた。PIRを用いた下向き赤外放射フラックスの野外測定では、ドーム効果によって、それを無視した場合には晴天大気下の地上観測では20W/m2以上の過大評価、航空機観測では10~20W/m2の過小評価がなされることがわかった。ドーム温度を測定しドーム効果を適正に補正することにより、10W/m2前後の誤差で赤外放射フラックスが測定されることを示す。
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