Papers in Meteorology and Geophysics
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52 巻, 1 号
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原著論文
  • 堤 之智
    2001 年 52 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/25
    ジャーナル フリー
     1995年11月15日に富士山頂でトロポポーズフォールディングを観測した。このフォールディングは山頂で強い波状のオゾン変動を示したので、プランドルの混合長理論を用いて山頂高度でのオゾン波動中の鉛直混合距離をケーススタディとして見積もった。その結果、山頂での継続時間は18分と短かったものの、最大でオゾン振幅10.1ppbvという波が観測された。この波は、245.1mの鉛直混合距離に相当する。フォールディングの間中観測された他の波は、それぞれ鉛直混合距離が45.1、72.0、70.8、102.5mと見積もられた。観測したフォールディングはこれまで富士山頂で観測したフォールディングの中で珍しい波状構造を持っていた。そのためこのフォールディングの値をフォールディング一般の典型値とする事は出来ない。また、この見積もりはケーススタディであり、また多くの仮定を含んでいることにも注意しなければならない。しかし、東アジア域でのフォールディングの直接観測はほとんど無いので、この結果は意義があると考えられる。この解析に加えて、もしリモートセンシング法を含む何らかの手段でフォールディング中の波動の鉛直擾乱速度が判れば、今後富士山頂の個々のフォールディングに対して成層圏から対流圏へのオゾンフラックス量の見積もりが出来る可能性がある。
  • 岡田 菊夫, 池上 三和子
    2001 年 52 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/25
    ジャーナル フリー
     つくばにおいて、1991年2月5日の日中に発生した風塵を観測した。半径0.15から5μmのエアロゾル個数粒径分布の時間変化をオプティカルカウンターにより測定した。また、電子顕微鏡によって粒子組成を分析するため、エアロゾル粒子を電子顕微鏡グリッド上に採集した。
     風塵の発生は大気の激しい鉛直混合が起っている気象状態において認められた。その発生時におけるエアロゾル粒径分布は、半径1μm以上の粗大粒子の濃度が高かった。しかし、電子顕微鏡分析から、粗大鉱物粒子のモードだけでなく、半径0.5μmより小さい半径領域にも鉱物粒子のモードがあることが分かった。
     水平風速の増大による砂粒子のsaltationによるsandblastingとbombardment過程に加えて、塵旋風による鉱物粒子の巻き上げも風塵の発生にとって重要であることが示唆された。
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