南関東の4観測点にて得られた S波のスペクトルから震源特性、伝播経路特性、観測点近傍の増幅特性を分離して求めることを試みた。観測される S波のスペクトルは、震源スペクトル、S波の減衰特性 (
Qs-1値)、観測点の増幅特性の積で表されると仮定し、S波加速度スペクトルを対数で表現した後、線形インバージョンを行なった。関東平野の縁部に設置された観測点では高周波において大きな増幅特性が得られた。また、
Qs-1値は、3-20Hzで、-0.5乗に比例する結果となった。高周波や低周波が卓越する地震を震源スペクトルから定義して、その深さ依存性と地域依存性を調べた。深い地震の方が高周波が卓越するようであり、その傾向は太平洋プレートの地震に限れば顕著に見える。今回解析した地震からは、地域性に関してははっきりした傾向は得られなかった。
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