Papers in Meteorology and Geophysics
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32 巻, 2 号
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原著論文
  • 青木 孝
    1981 年 32 巻 2 号 p. 57-64
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     台風経路を統計的手法で解析・予測する方法について述べた。北太平洋西部における25年間 (1951~75) の台風について調べた。台風経路の主成分分析の結果によると、第2主成分までで総分散の75%を記述することができた。得られた2個の固有ベクトルに対応する係数を被予測因子、500mbの半旬平均高度と気候学的パラメータを予測因子として、重回帰分析により台風の発生時点でその台風のとる全経路の予測式を作成した。
  • 猪川 元興
    1981 年 32 巻 2 号 p. 65-78
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     浅い対流の方程式系において、エネルギーを保存するインヴァリアント形式の計算スキームが提案された。この計算スキームは、エネルギーを保存するフラックス形式の計算スキームと、その差分表現においてどう異なるかが調べられ、その結果、連続の式が計算誤差がなく正確に満足されている限り同一であることが明らかになった。又、このインヴァリアント形式の計算スキームは、乾燥対流の数値シミュレーションで実際にテストされ、その結果はフラックス形式の計算スキームによる結果と比較された。そしてインヴァリアント形式の計算スキームは、フラックス形式の計算スキームと同様に、運動量、エネルギーをよく保存することが確かめられた。
  • 小林 隆久
    1981 年 32 巻 2 号 p. 79-88
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     大気バックグラウンド観測における大気混濁度の測定は、主として簡易型のサンフォトメータにより行われている。このタイプは、コンパクトで安い反面、精度が悪く2~3%以上の誤差があると考えられ、この場合大気混濁度の誤差は10~15%にも達する。より精度のよい大気混濁度を得るために、温度補償や自動測定等の機能を備え、かつ1978年のWMOの基準仕様を満たすサンフォトメーターを試作し、乗鞍において検定を行った。このLangley検定では大気の安定性が求められるが、検定中に大気の消散係数が変化した場合の誤差を計算し、Langley plotの線形性が、特に長い大気路程で行った検定では必ずしも良い検定の指標にならない事を示した。さらに、大気の消散係数が、大気路程あるいは大気路程の2乗に比例して変化する場合には、Lambert-Beerの式を微分することにより消散係数を推定できることを示した。
  • 安田 延寿, 戸矢 時義
    1981 年 32 巻 2 号 p. 89-98
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     地表面湿潤度の概念を導入し、接地気層の気象資料からその値を求めた。この概念を用いる事により、不飽和地表面からの日平均蒸発量は、粗度高における気温と地表面近くの土壌水分量で非常に良くパラメーター化される事がわかった。地表面湿潤度と土壌水分量との関係は、我々のとは異る方法で得られた過去の結果とほとんど一致した。蒸発の日変化にも有効なパラメーター化を行うためには、地表面近くの土壌薄層内の水分移動について研究する必要性が示唆された。ある仮定の下で薄層内の土壌水分を推定してみたが、その値の日変化はもっともらしいものである。
  • 小西 達男
    1981 年 32 巻 2 号 p. 99-108
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     水波面上の風の構造を、ドライウェルのシャボン玉をトレーサーとする可視化法によって調べた。波面に沿って顕著な風速変化がみられる。特に、波の峰近傍では非常に強い風が吹いている。得られた結果をGent and Taylor (1976, 1977) の数値モデルの結果と比較した。プロフィルについて定性的には一致をみるが、乱れ強度は波面近傍で異なっている。また波によって誘起される攪乱はexp(-2πη/L) (Lは波長、ηは波面からの高度) で減衰し、η/L~0.25程度で0になる事が示された。
  • 西山 勝暢, 小長 俊二, 石崎 廣
    1981 年 32 巻 2 号 p. 109-117
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     本州南方を東に流れる黒潮の南側には常に高気圧性循環をともなう暖水域が存在している。ここでは1938年以降の海洋観測資料を解析して暖水域の挙動について調べた。
     その結果、北太平洋西部の海域では、帯状風の場と直接関係を持つような東西循環と、海底地形に平行するような南北に細長い循環が存在するように見える。
     北太平洋上の風場が強いと、東西循環が卓越し、弱くなると、南北循環に移行し、東海道沖は力学的に見て谷となり黒潮は南に偏って蛇行し、沿岸寄りには冷水域が出現しやすくなる。
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