Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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26 巻, 3 号
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  • 山岬 正紀
    1975 年 26 巻 3 号 p. 63-91
    発行日: 1975/11/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    積雲対流と大規模運動の相互作用を調べるひとつの方法として,個々の積雲の振舞いを記述できるような十分にこまかい格子を用いて数値実験を行なった。計算上の制約のために,一方向には一様であるような2次元モデルを用いた。また,積雲ができる大規模上昇域の水平スケールが数10km程度であるような小さな擾乱を扱かった。雲物理学的過程については,近年対流雲に関する多くの数値実験で用いられてきたパラメタリゼーションを用いてモデルにとり入れてある。初期条件としては浮力の擾乱を与え,積雲,従ってまた大規模循環が生ずるようにした。
    数値積分は18時間まで行なった。大規模収束場の中で積雲が次から次へと生成,消滅をくりかえし,この積雲の効果によって大規模循環は強まり,約15時間維持された。この大規模場の時間変化の様子や個々の雲の発生,成長,消滅の過程などについて論ずる。
  • 関原 彊
    1975 年 26 巻 3 号 p. 93-110
    発行日: 1975/11/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    要約:1971年,1972年における晴天日において輻射ゾンデ,オゾンゾンデ及び露点ゾンデがほぼ同時に観測された鹿児島,館野,札幌の36例について輻射の下向きと上向きのフラックスに関し理論と実測のつき合わせによる解析を試みた。尚目的とした高さの領域は下部成層圏である。その結果下向きフラックスについてはその垂直分布はほぼ理論値に平行であるが一般に実測値は常に理論値に比し大きいか又は等しく逆の場合はない。上向きフラックスについては成層圏においては常に実測値の垂直分布の高さによる増加率が著しく理論値を上廻っている。下向きフラックスの理論値との差に関しては一貫した緯度効果が見られ最近の他の報告などと照らしてオゾン,炭酸ガス,水蒸気以外の附加的輻射物質の存在を示唆している。上向きフラックスの増加率の著しい理論値との喰いちがいは理論的に説明しにくい。更に実測の勾配が気温と栢関が強いことにより測器の構造に基づく誤差である公算が強く今後の改良に関する問題点を提起している。
  • 嘉納 宗靖, 鈴木 正, 宮内 正厚
    1975 年 26 巻 3 号 p. 111-119
    発行日: 1975/11/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    昼間の天空長波長放射量の測定には,2通りの方法が考えられる。第1の方法は,全波長放射計を日射を通さない「黒い」ポリエチレンの球で覆い,その覆いを放射計の周りで回転させ,日射の影響を除去して測定する方法である。この場合,放射計の受感面と反対側で覆いのすぐ外に温度既知の標準黒体を置く必要がある.種々の天候を考えると,この方法は実際的でない。第2の方法は全波長放射計と日射計で同時に全波長(短波長+長波長)放射量と日射(短波長放射)量を測定し,前者から後者を差引いて求める方法である。この場合全波長放射計の感度が短波長域と長波長域とで異なるために,単純な差引操作は大きな誤差を伴う。当論文では全波長放射計の受感面の熱エネルギーの釣合いの式を基にして,短波長域と長波長域とで放射計の感度が異なることを考慮に入れ,全波長放射計と日射計による測定値より昼間の天空長波長放射量を正確に求める方法を提出する。実際の測定例より,この方法で求めた結果が妥当であることを示す。
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