積雲対流と大規模運動の相互作用を調べるひとつの方法として,個々の積雲の振舞いを記述できるような十分にこまかい格子を用いて数値実験を行なった。計算上の制約のために,一方向には一様であるような2次元モデルを用いた。また,積雲ができる大規模上昇域の水平スケールが数10km程度であるような小さな擾乱を扱かった。雲物理学的過程については,近年対流雲に関する多くの数値実験で用いられてきたパラメタリゼーションを用いてモデルにとり入れてある。初期条件としては浮力の擾乱を与え,積雲,従ってまた大規模循環が生ずるようにした。
数値積分は18時間まで行なった。大規模収束場の中で積雲が次から次へと生成,消滅をくりかえし,この積雲の効果によって大規模循環は強まり,約15時間維持された。この大規模場の時間変化の様子や個々の雲の発生,成長,消滅の過程などについて論ずる。
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