1985年8月より、日本電信電話会社 (NTT) の協力を得て、電話局の通信用アースとその間の地中埋設ケーブルを使って長基線地電位観測を行っている。電極の接地抵抗が低く、埋設深度が深いために長期的に安定した記録が得られている。地電位の原因には多くのものが考えられるが、地殻活動との関連を明らかにするためには、その特徴を調べることが必要である。
沼津付近の地電位差変化では継続時間が10分以下のスパイク状の変化が大きい。直流電化された電気鉄道や工場などの電気施設からの漏洩電流が原因と考えられる。スパイク状変化の振幅は降雨時に大きくなる。電気鉄道の線路の大地に対する漏洩抵抗が低下し漏洩電流が大きくなるためと考えられる。したがって1日の標準偏差は日降水量と相関がみられる。いくつかの測線では日平均値も日降水量と相関をもっている。ローパスフィルターを通すことによって地磁気変化による誘導電位変化を同定することができ、その変化が最大になるのはほぼ東西方向である。地電位差変化と潮位の関係は、ともに気圧あるいは降水との関連がみられるために明かではない。
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