Papers in Meteorology and Geophysics
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9 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 窪田 正八
    1958 年9 巻1 号 p. 1-14
    発行日: 1958/09/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    一番簡単なω-方程式にパラメーター衷示を採用してωの垂直分布をその都度きめることができる。これは空間統計的な性質をおびているから個々の問題を精密に解くには適しないがこれと渦度方程式とを組みあわせると,おおよその大気じよう乱の性質を調べることができる。1957年12月8日09時日本海南西部に発生し,24時間後北海道の南方海面でかなり発達した低気圧に適用してみた結果,次のことが明かになつた。
    1)地衡風近似をしても,かなりの程度発達が予想されるが,大きい低気圧については量的に不十分かもしれない
    2)こうした扱をしている限りではXの大いさは小さい
    3)起き上りの項も同様である
    4)発達の初期には少くとも700mbは考慮しなければならない
    5)発達の中期以後の500mbの変化には傾圧効果が大きい
  • 朝倉 正, 片山 昭
    1958 年9 巻1 号 p. 15-24
    発行日: 1958/09/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    太陽活動と大気環流との関係は古くから研究されているが,最近になつて太陽面現象の物理的意味が解明されはじめ,大気環流や超高層の構造も次第に分つてきたので新しい観点からこの問題が取上げられる傾向にある。1956年6,7月に米国コロラド大学で開かれたゼミナールによると微粒子輻射によつてオーロラ帯の上層では太陽常数に匹敵するエネルギーの授与があり,見積り方に問題があるが,1分間に1000℃の昇温の可能性が示された。また Solar flareが生ずると同時に紫外部輻射が強められ光化学的に生成されるナゾン層上部のオゾン量が変動する。このような一連の現象が80粁以上の大気環流を乱し,何らかの機構によつてこの影響が対流圏に伝播することが考えられる。SHAPIRO(1954,1956)は地上気圧を用い,WOODBRIDGE(1957)は300mbの天気図を用い,強い微粒子輻射があると地上では 10数日,300mbでは8日程度たつて影響があらわれることを統計的に確かめている。また,高橋(浩)博士は太陽活動によつてもたらされる温度変化を量的に説明するには太陽輻射の変化だけでは不充分で交換係数の変化を考えに入れる必要性を示した。熱の交換係数の変動は南北の乱れの度合によつて示すことができる。また南北の乱れの度合は緯度圏にそつて平均した南北流のエネルギー(A-index)や偏西風帯(50°N)の波数1,2の長波の振幅(A1, A2)によつてもあらわすことができる。太陽活動の指標として半旬平均地磁気活動度K-indexとCiを用い,大気環流の指標として冬期(1946-56年,12月-3月)半旬500mb天気図のA-indexや,A1,A2を用いて相互の関係を統計的にしらべつぎの結果を得た。
    強い微粒子輻射が太陽面から放出されてやく10日ないし15日たつと 1)A-index(Vg2)は増大し2)波数1の振幅A1は減少し 3)波数2の振幅A2は増大する。
    すなわち,強烈な微粒子輻射によつて上層にエネルギーがあたえられてやく10日もたつと対流圏の南北交換が旺になり,大気環流はいわゆる低示数型になる傾向が生ずる。かかる場合,半旬500mb天気図を用いて,key dayから10日後の高度傾向をしらべると,寒気の吹出しやすい東アジアや東部アメリカの高度は減少し,ブロツキング高気圧がしばしば発生するアメリカ西海岸と西ヨーロッパの高度は増加する傾向を示している。これも大気の流れが低示数型に変化することを物語るものであろう。
  • 荒川 秀俊
    1958 年9 巻1 号 p. 25-28
    発行日: 1958/09/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    最近,イギリス及びアメリカで経験されたクリア・エア・タービユレソスに関する事実は,RICHARDSONおよび著者によつて示された基準によつて説明できることを示そうとしたものである。RICHARDSONの基準によると鉛直方向の風のシアが大き熔ところで乱れがおこる筈であり,著者の基準によると(1)ジエツト気流の極側で,低気圧性の風のシアの強いところと,(2)最強風のあらわれる高さよりも高いところ,いわば負のシアが大きいところで乱れがおこる筈である.これらの三種のシアのつよいところでは実際にクリア・エア・タービユレソスは頻発しているようである。
  • 小林 正治, 北川 信一郎, 池田 虎之助, 佐藤 吉彦
    1958 年9 巻1 号 p. 29-34
    発行日: 1958/09/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    静電気力束計と空電波形記録器・を併用して,電光放電による電場変化を記録し,同時に二次電子増倍光電管と陰極線オツシログラフによつて放電による光の時間変化を記録した。
    対地放電の前駆は,その全期間にわたつて弱い連続的な発光を続け,帰還雷撃は最も明るい瞬間的な発光を伴う。雷撃間,雷撃後の期間には,持続時聞1~2msecの光度の急激な上昇が8~16msecの時間間隔で相次いであらわれる。
    雲間放電でも全持続時間にわたつて,同様な光度の急増がくりかえされる。雲間放電の電場変化に前駆型の変化が記録される場合には,その期間弱い連続的な発光が観測される。
    対地放電及び雲間放電に含まれる上記の光度の急増する現象は,著者がK-changeと名付けた小規模な電場の急激な変化を伴う放電過程に対応するものである。この種の放電過程では,電光の光度は放電電流によるだけでなく,放電電流の時間変化にも関係し,電流の時間変化及びその頻度の六きい場合程,光度が大きい。
  • 鈴木 栄一
    1958 年9 巻1 号 p. 35-39
    発行日: 1958/09/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    北半球における500mb等圧面高度とその高度における気温の空聞分布に関する標準偏差は平均気温が高い程大きく,とくに平均気温の自策と有意な相関を示していることを1951年3月について示した。(格子点の数は210)
    これを機構的に説明する方法はいろいろ考えられるが,その1つはR.FURTH流の彷径偏碕を考えることであろう。
  • 藤原 美幸, 戸矢 啓吉
    1958 年9 巻1 号 p. 40-47
    発行日: 1958/09/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    梅雨末期の豪雨をPPIレーダーの写真と雨量図について比較して局地的に降る豪雨の申で局地に集中して降る豪雨の一つの典型とみなされる例を示す.1957年7月上旬の脊振山のレーダーの観測(福岡管区気象台でレーダーを予報に応用する研究の一環として行われた)に基いて解析した結果 (1)低層の南西jet気流(2)暖域内の対流不安定の成熟が定着性レインバンドの発生,発達の主な原因であることがわかつた。また,自記雨量観測点ではこまかい等雨量線の模様が引けないので区内観測所の資料を用いて細かい日雨量パターンを引いてみたところ前線と定着性レインバンドの近くにその交点附近で狭いが非常に強い降雨域があることとわかつた。従つてこれら二つの結果は上述の二つの条件が前線の定常化は局地性の豪雨の予報にとつて非常に重要な要因であつたことを暗示している。
  • 三宅 泰雄, 杉浦 吉雄
    1958 年9 巻1 号 p. 48-50
    発行日: 1958/09/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    海水中の放射能を測定するには,多量にふくまれる塩類を放射性物質から分離しなければならない。著者らは硫酸バリウム,水酸化鉄をキヤリヤーとして放射性物質を共沈させる方法を,1954年に提案したが,アメリカでは,炭酸カルシウムや燐酸カルシウムをキヤリヤーとしている、これらの方法による人工放射能の回収率について比較検討し,その結果,水酸化鉄と硫酸バリウムをキヤリヤーとして,約90%の収率を得る方法を確立することができた。
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