Papers in Meteorology and Geophysics
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16 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 海水安定泡沫の風による飛散について
    阿部 友三郎, 渡辺 明
    1965 年 16 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    前報に続き,海水安定泡沫による災害の基礎的問題を述べる.今回は現場海岸にて安定泡沫が生成され,飛散される形態等を調べ,更にこれに関聯して泡沫密度が時間的に如何に変化するか,その機構,又安定化の要因と考えられる海産有機質と安定化状況との関係,尚これら物質の海水への溶解度等についても言及した.次に二,三をあげれば,現場における飛散時の風速と飛散の起るProbability(p)はTable 2の如く風速4.0~4.5m/secのときp=0.27,風速の増加と共にpは増加し,8.0~8.5m/secではp=1.00即ち必ず飛散が起っている.叉,飛散に関係する泡沫密度(d)は次の如く時間(t)の経過と共にexponentia1に減少する.即ちd=C1e-k1+C2,ここにC1, C2は泡沫に関する常数である.この機構としては,主に泡沫内を海水がdrainすることによると考えられる.
  • 佐貫 亦男, 木村 茂, 林 弘明
    1965 年 16 巻 2 号 p. 84-89
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    ゆきすぎ(オーバーシュートともいう)すなわち,真風向を横切って他側へ振動しない風向計が実現すると,風向指示計の読みとりや自記記録の解析に便利であろうと思われる.
    ゆきすぎ量というのは,初期振幅でそのつぎの振幅を割った比をいうが,普通の風向計は単純な減衰振動に近くて,ゆきすぎ蚤は相隣る振動についてほぼ一定である.このとき,ゆきすぎ量は減衰比だけで表わすことができる.
    減衰比を大きくすれば,ゆきすぎ量は減る[(4)式].減衰比は風向計の腕長の平方根に比例して増し,風速には関係しない.与えられた腕長の風向計では,油減衰器を装置すれば減衰(減衰比と非減衰固有周波数の積)を増すことができる.
    減衰器に満たす油量に応じて減衰は増すが,風速いかんにかかわらず,一定でかつ大きい減衰比すなわち小さいゆきすぎ量を実現するには,風速に比例して油量,正確には減衰油面積を増す必要があることを立証した.
    ただし,この実用的装置の詳細には触れなかった.
  • 市川 政治
    1965 年 16 巻 2 号 p. 90-103
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    気象庁地震課では1961年からIBM機械組織により地震資料の処理を行なっている.本論文では,現在このために使われているプログラム,処理手続などについて述べる.
    また,1963年2月から1964年2月にかけて日本付近に発生した地震について,本プログラムおよび米国沿岸測地局[USCGS]により与えられた震源事項の比較を行なつた.これから次のような事がわかった.
    1) 日本の海岸から400kmくらいはなれた海底に発生した地震は,気象庁の観測網を以ってしては規模m(ただし,USCGS発表の値)6以下ではほとんど震央がきめられない.
    2) 日本付近に発生した地震に対するUSCGSの資料から判断すると, USCGSにより震央が決定される地震の最低の規模Mはやく5である.
    3)気象庁およびUSCGS発表の震央の喰違いは平均して2/3° である.
  • 市川 政治
    1965 年 16 巻 2 号 p. 104-156
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1926年から1962年にかけて関東地方以西の各地に発生した小区域以上の階級の極浅発および浅発地震のメカニズムを解析し,これらの結果を統計的に研究し,次のことがわかつた.
    1)すでに本多・正務,その他により指摘されたように,やや深発および深発地震の起震歪力の1成分である主圧力の卓越方向はそれらの地震帯の走向に垂直であるのに対し,関東地方以西の各地の極浅発および浅発地震の主圧力の分布は地域毎に規則性を示しており,特に極浅発地震の卓越方向は日本海側の地震を除き各地震帯付近を通る島弧の走向に垂直よりはむしろ平行である.例外的地域である日本海側の地震の卓越主圧力方向は,北西-南東を示し,これは島弧の走向に平行ではなく垂直に近い.
    2)浅発地震の主圧力方向の分布には,場所によつては極浅発地震のような規則性はみられないが,関東地方南部の地震の卓越主圧力方向は見掛け上,本州の走向に垂直である.しかし,宮村によると,本州島弧は関東地方南部を北西-南東に走つているので,この卓越方向はこの弧の走向にほぼ平行である.
    これに対し,紀伊半島付近の地震の主圧力の分布は混乱しているが,2系統の卓越方向が存在するとすれば,混乱は多少なりとも救える.この地域の主張力は主圧力の分布に比して規則的で,ほぼ北東-南西方向を示している.
    3)関東地方南部および紀伊半島近傍の震源付近における断層運動は対照的である.すなわち,紀伊半島近傍の地震のそれは大部分が正断層的運動を示しているのに対して,関東地方南部の地震のうち茨城県南西部および千葉県北東域に発生したものは逆断層的運動を示している.また,千葉県の当該地震帯の南西域の地震は正断層的運動に起因しているようにみえる.とくに,千葉県下の正および逆断層的運動によると推定される地震震央の分布の境界は非常に明りようで,しかも,この境界線は1923年の関東地震による土地の隆起地域の縁辺部に位置していることは注目に値する.
    4)関東地方における主な浅発地震の時間的分布と,これらの地震を起こす歪力の状態には密接な関係があるようにみえる.すなわち,起震歪力分布に強い規則性のみられる茨城県南西部の地震発生は時間的にみて,単純かつ互に独立な現象であることが統計的に言える.これに対し,震源付近の断層運動の型の地理的分布から明らかに二つの相異なる起震歪力系が存在すると想像される千葉県の地震発生の時間的分布の統計によると,メカニズムの研究から得られた結果と同様,この地域の地震は活動度の異なる互に独立な2系統の地震系列の集まりであることがわかる.
    5)四国東部における極浅発地震の主圧力卓越方向は1945年ころを境として明らかに南-北方向から,東-西方向に変つている.この現象が東南海および南海道大地震ころに発生している事実は,非常に興味ぶかい.この地域ほど明りようではないが,瀬戸内海東部および兵庫県西部の地震にも,ほぼ同じころ類似の現象が発生している.
    6)極浅発地震の卓越主圧力方向の分布と,笠原・杉村が三角測量結果に基いて計算した土地の歪の最小軸の方向の分布は,中国地方中部および中部地方東部を除く各地方では大体において良い調和を示している.
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