Papers in Meteorology and Geophysics
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44 巻, 2 号
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原著論文
  • 金久 博忠
    1993 年 44 巻 2 号 p. 39-44
    発行日: 1993年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     Hoskins et al. (1978) は準地衡風系で非地衡風循環を考察し地衡風平衡が地衡風自身によって破壊される傾向性をQベクトルと名付けた。此の破壊的傾向性にも関わらず準地衡風的である為にはQベクトルによって非地衡風循環が惹起される事を示した。此のQベクトル方程式は準地衡風系で導かれたにも関わらず前線循環の診断に有効である事が謎であった。Davies-Jones (1991) はprimitive系で非地衡風循環を考察し準地衡風近似よりも弱い近似の下にQベクトル方程式と同様の非地衡風循環方程式を導いた。即ちQベクトル方程式を導くのに準地衡風近似と言う強い近似は必要ない事を示した。Qベクトルは水平ベクトルであるがXu (1992) は準地衡風系でQベクトルを3次元に拡張しそれをCベクトルと名付けた。此処ではDavies-Jones (1991) の弱い近似を3次元に一般化してSemigeostrophic系及びPrimitive系でのCベクトル方程式を導く。
  • 松枝 秀和
    1993 年 44 巻 2 号 p. 45-56
    発行日: 1993年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     米国大気海洋局 (NOAA/CMDL) と気象研究所 (MRI/GRL) で使用しているメタン標準ガスのスケールの違いを明らかにするため相互比較実験を実施した。相互検定用ボンベに充填された空気のメタン混合比をMRI/GRLのスケールを基準として測定した結果、1.7545±0.0015ppmの値が得られた。これは、NOAA/CMDLによって値付けされた混合比に比べ23.0ppb高いことがわかった。この実験を通じて、MRI/GRLのメタンのデータがNOAA/CMDLと同じスケールで比較することが可能になった。
  • 勝間田 明男
    1993 年 44 巻 2 号 p. 57-71
    発行日: 1993年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     伊豆半島の伊東市川奈崎沖では、1978年から群発地震活動が年1~2回程度の回数で活発化、沈静化を繰り返してきた。伊豆半島北東部を中心に1978年秋から異常隆起が始まり、ほぼ一様な隆起を継続してきた。1989年にも6月30日に群発地震活動が始まった。このときの地震活動は、それ以前の活動に比べても活動的なものであった。群発地震活動は7月4日にピークをむかえたが、そのピークを過ぎた7月11日に、1978年からの活動において初めて連続微動が観測され、7月13日には海底噴火が起きた。1989年6~7月の群発地震活動において最大の地震は1989年7月9日に起きたM5.5の地震である。この地震は噴火口である手石海丘に隣接して発生した地震である。群発地震活動はマグマの貫入によると考えられており、そのマグマの貫入がその周辺の応力場に影響を与えていたと推定される。7月9日の最大地震もそのような場において発生しており、火山活動地域における地震発生の場について検討する上でも重要と考え、この地震の破壊開始点について調べた。用いたデータは、気象庁87型電磁式強震計の記録及び周辺の高感度地震計により観測された波形記録である。P波の到着時刻、破壊開始点の位置と地震波形との関係、初動の振動方向等から破壊開始点の位置について検討した。その結果最大地震の震央は噴火地点から西側の離れた場所にあり、また、破壊は断層下部から始まったと推定した。
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