Papers in Meteorology and Geophysics
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41 巻, 3 号
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原著論文
  • 気象庁常時観測網データを用いた解析
    山里 平, 横田 崇, 柏原 静雄
    1990 年 41 巻 3 号 p. 83-95
    発行日: 1990年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     伊豆半島東方沖において1989年6月30日に群発地震活動が始まり、7月11日には火山性微動が観測され、13日には海底噴火が目視されるに至った。この間の火山性微動の諸性質について、気象庁の常時地震観測網のデータを用いて解析した。
     火山性微動は群発地震活動が鎮静化に向かっていた時期に発生した。そのスペクトルは1Hz前後の低周波の波動と3Hz以上の高周波の波動の2つから構成されている。低周波の波動は11日から12日にかけてその比率を次第に増大させ、13日の微動は11日、12日より低周波の波動が卓越した。13日の19時03~05分に連続的な1Hzの低周波の微動に重なって孤立的に発生した4つの特徴的なイベントは、13日の最盛期の微動とスペクトルが似ており、最盛期の微動にはこのようなイベントが連続的に発生する形で含まれていると考えられる。噴火中の微動に多く含まれている高周波の振動は爆発現象に伴うP波と考えられる。低周波の微動には爆発に励起された表面波と連続的に発生する1Hz程度の微動とがあり、鎌田の観測点における水平面での振動方向をみると、前者がRayleigh波とLove波の混在型であるのに対し、後者はLove波のみで構成されている。
     噴火の後、7月21日まで断続的に発生した小振幅の火山性微動は高周波の波動をほとんど含まない。また、その卓越周波数は17日の微動を境に1Hzから1.5Hzに変化した。
  • 小泉 岳司, 横田 崇, 山里 平, 吉川 澄夫
    1990 年 41 巻 3 号 p. 97-104
    発行日: 1990年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     パーソナルコンピュータのレベルで、長時間連続無人運転の可能な地震波形収録システムを製作した。観測可能時間は20Hz・4chの場合約70日に及び、また、収録後のデータ処理も、データファイルを10分毎にラベルのついたMS-DOS上のランダムファイルとしたことで大変容易となった。
  • 藤部 文昭
    1990 年 41 巻 3 号 p. 105-128
    発行日: 1990年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     Coastal frontとは海から吹きつける暖気と陸上の冷気との間にできる局地前線のことである。この論文では、関東平野に現れるcoastal frontについて典型例を紹介した後、その統計的性質を11年間のアメダス資料を使って解析した結果を示す。統計解析は沿岸地点 (銚子または館山) の風向が北東~南東~南西の範囲にある場合を対象としており、季節・天気 (降水の有無) ・時刻および沿岸地点の風速によって場合分けが行われている。
     風・気温のコンポジット解析によると、coastal frontは、(1) 沿岸の風向が北東風である場合よりも南東~南西風の場合に、(2) 暖候期よりも晩秋~冬に、(3) 降水がない場合には昼間よりも夜間に、それぞれ顕著である。晩秋~冬の南東~南西風の場合には、コンポジット場でも5°C以上の気温差を伴う明瞭な収束線が現れる。
     Coastal frontの位置を事例ごとに調べた結果によると、frontは多くの場合、沿岸に存在する。しかし、暖候期・強風時にはfrontが内陸寄りに位置する傾向があり、無降水時の昼間にもその傾向がある。Frontが時間とともに内陸へ侵入したり、frontの位置が日変化したりする事例もある。
     南東~南西風で降水がある場合には、front付近に多降水帯が現れる。空間平均値と比べた降水量の増加率は数十%である。
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