東京国際空港における卓越視程と相対湿度の関係をエアロゾル重量濃度を用いて調べた。解析に用いたのは1995年12月から1996年3月と1996年12月から1997年3月までのデータである。その結果、3つのパラメータα, β およびγを用いて消散係数 (卓越視程)、相対湿度およびエアロゾル重量濃度の関係を示す経験式を導いた。乾燥状態でのエアロゾル重量濃度に対する消散係数の比を示すのがα、その比の相対湿度ƒにおける増加率を示すα (1-ƒ)
γ の指数部がγである。β はエアロゾル重量濃度から消散係数を求める際に用いる重量濃度に対して行う補正量である。α、β およびγ がそれぞれ3.0m
2g
-1、32μgm
-3、-0.51となった。本研究ではWaggonerとWeiss (1980) が用いた半径 (1.5μm以下) より大きい5μm以下であるエアロゾル重量濃度を用いたにもかかわらず、彼らが報告しているα
-1の値0.32±0.02gm
-2とほぼ同じ値を示した。また、相対湿度に対するエアロゾル粒子の成長率を見積もると、Kasten (1969) が述べている “normal” の値と等しかった。パラメータを求めるのに用いなかった1994年2月15日から1週間のデータを用いて視程を比較すると、観測と経験式から求めた値はこの事例ではよく一致した。
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