Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
Print ISSN : 0031-126X
ISSN-L : 0031-126X
50 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
原著論文
  • A. Chandrasekar, D. V. Bhaskar Rao, 鬼頭 昭雄
    1999 年50 巻2 号 p. 65-80
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/07/25
    ジャーナル フリー
     MRI GCM-IIを用いてアジアの夏季モンスーンのシミュレーションに対する水平解像度の効果を調べた。低 (4°×5°) ・中 (3°×3.3°) ・高 (2°×2.5°) の3つの解像度でそれぞれ8年間の積分を行った。その結果、水平解像度の増加は海面気圧と降水量の分布パターンのシミュレーションを改善する効果をもたらした。高解像度モデルは観測と一致して熱低気圧とモンスーントラフをシミュレートしているが、低解像度モデルはインド北部に異常に強い熱低気圧をシミュレートした。また、高解像度モデルはベンガル湾と南インド洋の降水極大域とタリム盆地の乾燥域を再現している。一方で、アラビア海の降水極大域は低解像度モデルの方がよく再現していた。どの解像度でもモンスーン循環の強度は観測より弱いが、解像度を上げると下層モンスーン西風はさらに弱くなった。本研究の結果は、水平解像度の増加はアジアの夏季モンスーン循環の観測される特徴のシミュレーションを多くは改善するが、より悪くなる点もあり、モデルの物理過程の改良を伴う必要があることを意味している。
  • 岩倉 晋, 岡田 菊夫
    1999 年50 巻2 号 p. 81-90
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/07/25
    ジャーナル フリー
     東京国際空港における卓越視程と相対湿度の関係をエアロゾル重量濃度を用いて調べた。解析に用いたのは1995年12月から1996年3月と1996年12月から1997年3月までのデータである。その結果、3つのパラメータα, β およびγを用いて消散係数 (卓越視程)、相対湿度およびエアロゾル重量濃度の関係を示す経験式を導いた。乾燥状態でのエアロゾル重量濃度に対する消散係数の比を示すのがα、その比の相対湿度ƒにおける増加率を示すα (1-ƒ) γ の指数部がγである。β はエアロゾル重量濃度から消散係数を求める際に用いる重量濃度に対して行う補正量である。α、β およびγ がそれぞれ3.0m2g-1、32μgm-3、-0.51となった。本研究ではWaggonerとWeiss (1980) が用いた半径 (1.5μm以下) より大きい5μm以下であるエアロゾル重量濃度を用いたにもかかわらず、彼らが報告しているα-1の値0.32±0.02gm-2とほぼ同じ値を示した。また、相対湿度に対するエアロゾル粒子の成長率を見積もると、Kasten (1969) が述べている “normal” の値と等しかった。パラメータを求めるのに用いなかった1994年2月15日から1週間のデータを用いて視程を比較すると、観測と経験式から求めた値はこの事例ではよく一致した。
  • 金久 博忠
    1999 年50 巻2 号 p. 91-96
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/07/25
    ジャーナル フリー
     大規模の流れの中の孤立的中規模擾乱に対する平衡方程式を導く。これは中規模領域で平均した、水平速度ポテンシャルと流線関数およびエネルギに対する方程式である。これらの量から、中規模領域の丁度外側で平均した大規模の流れの量を差引いてある。以下これを平均差引量と言う。
     得られた結果は次の事を示す。中規模擾乱の移動速度はO(Ro)で(即ちO(Ro2)を無視して)中規模擾乱の丁度外側での大規模の流れの速度の平均値に等しい。但しRoは大規模の流れのロスビイ数である。平均差引エネルギはO(Ro) で保存する。平均差引速度ポテンシャルと流線関数はO(Ro)で振動数f (コリオリ因子) で振動する。特に初期に平均差引速度ポテンシャルが零で、流線関数が平均差引エネルギ/fに等しければO(Ro)でそうあり続ける。
feedback
Top