Papers in Meteorology and Geophysics
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35 巻, 3 号
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原著論文
  • 猪川 元興
    1984 年35 巻3 号 p. 71-79
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     変分客観解析の弱い束縛の別の定式化と解法を示す。この定式化による弱い束縛条件の場合のオイラー・ラグランジュ方程式は、強い束縛条件の場合のオイラー・ラグランジュ方程式に比して、一個の摂動項が付け加わっただけで少ししか違わない。一方従来の定式化による弱い束縛条件の場合のオイラー・ラグランジュ方程式は、強い束縛条件の場合と比して大きく違う。この性質によりここで示される弱い束縛の解法は実用上役に立つ。この定式化は、弱い束縛を、古い変数から新しい変数への変数変換とみなせることを示している。この定式化は強い束縛と弱い束縛との関係を従来の弱い束縛の定式化よりもはっきり示す。特に弱い束縛の加重が大きくなった場合の解が、強い束縛の場合の解に近づくことを容易に示す。
     この定式化は、弱い束縛と強い束縛とを統一的に表現することを可能にする。この弱い束縛と強い束縛の統一表現は、いくつかの問題を解く上で有効であり、この統一表現の中で、弱い束縛を強い束縛へ変換すること、又その逆も簡単におこなえる。
  • 第1部 離散表現
    猪川 元興
    1984 年35 巻3 号 p. 81-102
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     多変量最適内挿法を一般化した、統計的客観解析法が示される。一般化は二点で行なわれる。第一点は、斉次線形束縛条件が、その定式化の中に陽に組み込まれていること、第二点は、一般化された方法は、気候値及びその分散、予報値及びその予報誤差分散の両方を統一的に用いるが、従来の多変量最適内挿法は、それらの一方をファーストゲスとして用いるだけである。
     線形束縛条件と合致する共分散行列は、ちょうど変分客観解析における束縛条件と同様に、その線形束縛条件で束縛された空間への射影演算子として機能することが、Phillips (1982) とは異なる方法で示される。
     又、ここで示される方法は変分客観解析を次の二点において改良したものとみなせる。第一点は、この方法は統計的に最適な値を与えるが、変分客観解析は、その統計的意味があいまいであること、第二点は、この方法は、不規則に分布した観測点データから直接格子点上の解析値を与えるが、変分客観解析は変分法による修正を行なう前にあらかじめ観測値を格子点上に内挿する必要がある。
     この方法のいくつかの応用例が示される。例の中で、変分客観解析の弱い束縛の統計的意味が示される。又、高度場、風の場の多変量客観解析に適用できる、発散共分散モデルも議論される。
     この方法は、多変量最適内挿法と、線形束縛条件を課した場合の変分客観解析の両方をその特別な場合として含む。この方法を介して、多変量最適内挿法と、変分客観解析の間の関係が基本的に理解される。
  • 金沢 照子, 猿橋 勝子, 三宅 泰雄
    1984 年35 巻3 号 p. 103-107
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     降水のpH値を東京で995試料 (1973-1980)、筑波で736試料 (1980-1984) ついて測定した。両地点の全期間を通じてのpH値の荷重平均値は、東京も筑波も4.5であった。降水中の水素イオン濃度は対数正規分布をしていることが分った。pH4以下の酸性雨の出現率は東京で26%、筑波で10%であり、降水量ではそれぞれ7.0%と4.3%であった。東京での長期にわたるpH値の一定性は、硝酸等に対する炭酸カルシウム懸濁物等の緩衝作用によるものと考えられる。
  • 浜田 信生
    1984 年35 巻3 号 p. 109-167
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     気象庁で、日本付近の地震の震源決定に用いられて来た走時表を検討した結果、準拠した地殻構造と走時の適合が妥当でない部分があることが判明した。このことは震源計算に好ましくない影響を与えるので、同じ速度構造に基づき、かつ1/100秒の分解能を持つ83Aと呼ぶ走時表を訂正版として作成した。
     さらに、日本周辺の平均的な地殻構造をより適切に代表すると考えられる速度構造モデルに基ずき、83B, 83C, 83Dと呼ぶ3種の走時表を作成した。これらを実際の震源計算に適用してみた所、一長一短がありすべての地震に適した走時表は存在しなかった。
     しかし、内陸、海域に発生する地震に対して走時表を総合的に評価した場合、深さ30kmから40kmの間で地殻と上部マントルの構造を接続した、陸と海の中間的な速度構造に基ずく83Cが、83Aに比べやや良い結果を与えることが明らかとなった。
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