Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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27 巻, 4 号
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  • 斎藤 直輔
    1976 年27 巻4 号 p. 99-117
    発行日: 1976年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    i)二次元非圧縮仮定の海陸風数値シミュレーションモデルを作り,陸地の温度日変化が一様な場合の海陸風循環が,海岸線に沿った都市の熱的特性によっていかに変化するかを調べた。ここでは都市は郊外より日平均気温が高く,日変化の振幅は郊外より小さいとしてある。計算は水平間隔が6km,高さ1.8kmまでを15のレベルに分解した大きさ(35×15)の格子を用いた。前記の条件下では都市の存在は海風の内陸部への侵入をおくらせ,夜間の陸風を強化する。海岸線の近くと,都市と郊外の境界に収束場ができて,都市のない場合の単一の鉛直循環は二つの循環細胞に分れる。日中は都市の上空200m付近に発散場,夜間は都市の海岸寄りの部分の上空に収束,都市の郊外寄りの上空に発散が出来る。
    ii)二次元モデルを三次元に拡張し,関東地方を大きさ35×35×15の格子(水平間隔は同じく6km)でおおい,海岸線を近似して三次元の海陸風循環の数値シミュレーションを試みた。ここでは陸地の温度の日変化の振幅は一様とし,山脈や川河はなく陸地は一様と仮定した。積分は2日分行なった。海陸風の交替,海岸線の曲率に対応した陸風,又は海風の収束,発散,特に房総半島の海風の収束による渦の形成, 海風前線,陸風前線の形成,海風前線の内陸侵入に伴う内部重力波の発生等の結果を得た。本文では陸地の温位の日変化の振幅を6°Kとした場合の結果を示す。この場合,海岸線での海風の極大は1.5m/s,厚さは400mに達し,その上に極大0.5m/s,厚さ725mの反流がみられた。夜間は海岸線上で陸風の最大は0.5m/s,厚さ125m,陸風の極大は沖合20km前後にみられた。
  • 三宅 泰雄, 猿橋 勝子
    1976 年27 巻4 号 p. 119-128
    発行日: 1976年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    海洋中の二酸化炭素系は,イオンの解離平衡の法則によれば,重炭酸イオンが最も多く存在し,全炭酸の90%以上をしめる。重炭酸の含量は高いのみならず,特に深海においては,94%の一定値をしめす。この理由から,少量の炭酸イオン,または遊離炭酸が加えられた時には,これらの大部分は直ちに,重炭酸イオンに転換する。
    次に,全炭酸量(T),重炭酸イオン含量(B)および炭酸アルカリ度(CA),を説明するために,理論式をみちびいた。それは有機炭素の生産と分解,および固体炭酸カルシウムの溶解と生成を考慮に入れたものである。また海水中のカルシウム含量と炭酸アルカリ度の変化率の関係につき,理論的に考察した結果,両者の間には簡単な間係がないことを結論した。スクリップス海洋研究所がおこったAntipode 15 ExPeditionの間に得られた生化学的過程に関する測定値を用いて,上記のT,B, CAを定量的に求めた。計算の結果は,測定値と非常によい一致をしめした。
  • 松本 英照, 高橋 道夫
    1976 年27 巻4 号 p. 129-140
    発行日: 1976年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    変換器の固有振動数,減衰定数および電圧感度の従来の検定方法に加えて新しい検定方法を紹介し,それらを用いて実察に検定した結果とその検討を述べる。特筆すべきことは,新しい方法によると従来はその測定が困難とされた過減衰の状態にある振子でも固有振動数を容易に1%以下の誤差で測定できることが明らかになった。また臨界減衰に近い状態にある振子の減衰定数も,固有振動数をそのように正確にもとめた効果で,従来より精度よく測定できることを確認した。電圧感度の測定にはいろいろの方法が用いられたがそれらの結果は,振動台を用いる方法以外はよく一致した。このことは従来から裏付けなしに精度が低いと考えられている検定法でも充分利用できること,および振動台を利用する方法の精度は必ずしも高くないことを意味する。また定数を計算するときに必要となる機械量と電気量との間の変換は,常用単位系であるMKSA単位系を用いることによって桁数の取扱いの煩雑さから解放されることを併せて強調してある。
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