季節病の“冬季集中”の現象をさらに明らかにするために,日本の年令別季飾病カレンダーの研究を試みた.
まず,総死亡の年令別カレンダーは,5~9才,10~19才のほかはどの年代も冬季に見事な流行期を示している、死亡率は0~4才と,40代以降,年令の増加とともに高まっていく.5~9才,及び10~19才の年代は死亡率も極めて低く,その上流行期が夏季にみられる事は興味深い.
つぎに7種類の疾病死亡の季節変動をもとにして,年令別季節病カレンダーを作成すると,年令階級によりかなりの相違がみられる.0~4才のカレンダーは肺炎,腸炎が極めて高い死亡率で冬季に流行し,結核と心臓病も死亡率は最低だが,冬季に流行する.5~9,10~19,20~29,30~39才代は何れも腸炎が低死亡率で夏季に一寸みられるほかは冬季に流行して-低死亡率で-大体同じような姿を示すが,結核,心臓病等の死亡率の階級は年代と共に増加していく.そして50代からはカレンダーの姿もかなり変化してくる.どの死亡率も高くなるが,ことに成人病の増加は著しく,70代では何れも最高階級の12,13を示す.癌は50代,60代,70~代,何れも秋に高い流行期を示す.また腸炎は,60代,70代では夏,冬二つの流行期をみせる.このようにみてくると死亡率の冬季集中は高年令層において極めて著明なことがわかる.一方,0~4才の乳幼児のカレンダーも肺炎,腸炎は冬季に高く,ここでも冬季集中は見事である.
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