Papers in Meteorology and Geophysics
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14 巻, 3-4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 荒川 秀俊, 真鍋 大覚
    1963 年 14 巻 3-4 号 p. 127-143
    発行日: 1963年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    簡単な回転する水槽実験により,台風域内に出来るspiral raill bandsや,温帯低気圧域内に出来る前線のモデルを作ってみた. この実験を更に精密化することは他日を期したい.
  • 村上 多喜雄
    1963 年 14 巻 3-4 号 p. 144-150
    発行日: 1963年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    p座標の代りに,3=(p/p2)2を垂直座標として使う.s座標で三層とると等圧面ではp=28mb,p=250mb,p=694mbに相当する.s座標の運動方程式を線型化し,境界条件として地形を与えた場合の定常解を求めた.波数2~3の定常波が現われるがその振巾はp=250mbでもっとも大きい.上層ほど波数が小さくなる傾向がある.またp=28mbでも定常波(波数2)の振巾はかなり大きいことは地形の影響が成層圏まで達することをしめす.しかし成層圏における定常波の位置はかなり実測とくい違う.おそらく非断熱効果がきいているものと思われる.
  • 村上 多喜雄
    1963 年 14 巻 3-4 号 p. 151-172
    発行日: 1963年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    一般の三層モデルでは大気の運動を三つの等圧面高度における流線ψ135を用いて表わす.ここでは新しい三つの変数ψ=(ψ135)/3,Δψ=(ψ51),Δ2ψ=(ψ15-2ψ3)を導入した.これら三つの変数の運動を記述する式を導入した.つぎに線型化した式を用いて三つの変数間のエネルギー交換を初期値問題として求めた.この際平均シアー ΔU, 曲率 Δ2U,垂直安定度の上下差Δσをいろいろと変え,エネルギー交換がどのように変るかをしらべた.主な結果は
    (1)平均流ψ の運動エネルギーはポテンシヤルエネルギーからの転換によつてではなく,シアー流 Δψ,及び曲率流Δ2ψからのエネルギーの流れによつて変化する.ただし曲率流から平均流ψへのエネルギーの流れは一般に小さく,主としてシアー流 Δψ からの流れによる.
    (2)ポテンシヤルエネルギーの転換は大部分シアー流Δψとの間で起り,曲率流Δ2ψへの転換は一桁小さい.
  • 戸松 喜一, 村上 多喜雄
    1963 年 14 巻 3-4 号 p. 173-180
    発行日: 1963年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1961年一ヵ年について札幌,館野,名瀬,クラークの四地点で850mb,500mb,300mb及び100mbの運動量輸送 uv を毎日計算し,そのスペクトル解析を行なった.スペクトルの緯度による相違,高度による相違をしらべるのが目的である.札幌,館野では3日と6日周期が卓越する,3日周期は500mbで最も明瞭に現われ300mbでもみられるが100mbでは全く現れない, 6日周期は300mbで最も顕著で500mb,100mbでも明瞭である.
    低緯度の状況をみようとして名瀬,クラークを選んだ.3日周期は全然現われず,6~8日周期のみがみられる.大体において緯度が低くなるほど卓越週期が長くなる傾向がある.
  • 小平 信彦
    1963 年 14 巻 3-4 号 p. 181-189
    発行日: 1963年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    マイクロ波帯における降水粒子による減衰を種々の雨滴の分布について計算した.減衰定数は同じ降水強度に対してもその粒径分布により異ってきて,その分布の幅はX-bandの時に最大となる.10mm/hrの時の幅は波長0.86, 3.2, 5.6, 10cmに対してそれぞれ1.5, 6.2, 3.3, 0.6dbである.一方同じ粒径分布に対するレーダ反射因子Zの輻は約8dbであるから,K-bandの減衰から平均の降水強度を求めるのは雨滴分布の型による誤差を少なくする上に有効である.
  • 籾山 政子, 木藤 煕子
    1963 年 14 巻 3-4 号 p. 190-200
    発行日: 1963年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    季節病の“冬季集中”の現象をさらに明らかにするために,日本の年令別季飾病カレンダーの研究を試みた.
    まず,総死亡の年令別カレンダーは,5~9才,10~19才のほかはどの年代も冬季に見事な流行期を示している、死亡率は0~4才と,40代以降,年令の増加とともに高まっていく.5~9才,及び10~19才の年代は死亡率も極めて低く,その上流行期が夏季にみられる事は興味深い.
    つぎに7種類の疾病死亡の季節変動をもとにして,年令別季節病カレンダーを作成すると,年令階級によりかなりの相違がみられる.0~4才のカレンダーは肺炎,腸炎が極めて高い死亡率で冬季に流行し,結核と心臓病も死亡率は最低だが,冬季に流行する.5~9,10~19,20~29,30~39才代は何れも腸炎が低死亡率で夏季に一寸みられるほかは冬季に流行して-低死亡率で-大体同じような姿を示すが,結核,心臓病等の死亡率の階級は年代と共に増加していく.そして50代からはカレンダーの姿もかなり変化してくる.どの死亡率も高くなるが,ことに成人病の増加は著しく,70代では何れも最高階級の12,13を示す.癌は50代,60代,70~代,何れも秋に高い流行期を示す.また腸炎は,60代,70代では夏,冬二つの流行期をみせる.このようにみてくると死亡率の冬季集中は高年令層において極めて著明なことがわかる.一方,0~4才の乳幼児のカレンダーも肺炎,腸炎は冬季に高く,ここでも冬季集中は見事である.
  • 内藤 恵吉
    1963 年 14 巻 3-4 号 p. 201-213
    発行日: 1963年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    極超短波の見通し外伝搬が気象状態に大きく影響されることは周知のことであるが,伝搬機構としては大気の乱れによる散乱という説,回析に基づくという説,上層の不連続層の反射によるという説の三者が対立している.伝搬データを気象に応用する場合,この伝搬機構が明らかでないと困るが,今までこの三者に対し総合的に理論考察を行なったものがほとんどないようなので,ボルン近似を用いて,マクスウエルの界方程式を直接積分することを試みた.その結果,
    (1)マクスウエルの式は一階であるので,界ベクトル,たとえば電界ベクトルに対する二階の波動方程式を解くという通常の方法では,必ずしもマクスウエルの式の解ではないこと.正しい解を得るための一方法を考え,仮想的の荷分布の導入が必要であること.
    (2)同じ理論的近似で,乱れによる散乱,地球による回析,層反射が共存すること.ここで地球による回析は通常の滑らかな地球の回析ではなく,むしろ黒体回析的のものである.何れの機構が卓越するかは,そのときの大気構造による.
    以上の事柄が示された.
  • 川村 清, 桜井 澄子
    1963 年 14 巻 3-4 号 p. 214-224
    発行日: 1963年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1960年9月から1961年8月まで,気象研究所(杉並区)において地面近くの大気中に含まれるNO2濃度を,自動ガス採集器を用いて,測定した.
    その結果,NO2濃度は特に冬期において顕著な日変化をとることがわかった.すなわち,日出後約3時間と日入後約2時間においてそれぞれ極大値をま,た日出時と午後にそれぞれ極小値をとる.午後のNO2濃度極小が観測される時刻は日によつて大きく変化するが,日出時の極小,夕方の極大が観測される時刻はあまり変化しない.朝の極大出現時におけるNO2濃度は夕方のそれよりも本質的に低く,また夏の間および他の季節でも風の強い日には,しばしば朝の濃度極大が観測されなかつた.夜間時の月平均濃度は日中時のそれよりも高く,両者共に12月において極大で,それぞれ78および54μgNO2/m3であった.
    NO2濃度の日変化は気象条件とNO2を含む化学および光化学反応の影響とを考えることによって説明されるように思われる.
  • 石井 千尋
    1963 年 14 巻 3-4 号 p. 225-226
    発行日: 1963年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    電離函式宇宙線計の記録はエレクトロメーターを用い光学的に写真記録するのが普通であるが,記録を直視できない不便がある.
    そこで機械的に光を走査してこれをフオトトランジスターに受け,その出力で機械的に拡大したペン書き記録を作る装置を作った.
    これは常に変化を直視できる上非常に構造簡単なものであり,エレクトロメーターのみならず一般の鏡付ガルバにも利用できる.
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