機能性難聴21症例32耳について語音聴力検査, 自記オージオメトリー, Stenger法, ABR, CNV, SVR, 耳小骨筋反射, さらに両耳聴検査法として, 我々の開発した両耳間時間差音像移動弁別域値検査, 音像移動誘発電位測定, 正中音像形成域値測定法を施行し検査結果を比較検討した。 その結果, 両耳間時間差音像移動弁別域値の測定は, 機能性難聴において自記オージオメトリーと同等の鋭敏性を有しており, 検査の簡便性を考えると1次検査法として有用であった。 音像移動誘発電位は低音域聴力を他覚的, かつ, 定性的にとらえることのできる検査法であるため, 高音域を反映するABRと同時に施行することがより確実な診断のために重要であった。 正中音像形成域値は, 本来の聴力を周波数別, 定量的にとらえうる検査法であるが, 初診時聴力と比較すると, 有意に低値を示した。 また, 改善時聴力と比較すると, 8例中6例が同等の聴力域値を示した。
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