本研究は, 歯周疾患との関連性が注日されている偏性嫌気性のグラム陰性桿菌である
Fusobacteriumをヒト口腔から, 分離, 同定して得た43株の新鮮分離株を用いて, 抗生物質30種と化学療法剤4種に対する感受性を検討した。
Fusobacterium nucleatumおよび
Fusobacterium sp. に対する各種薬剤のMIC分布の様式は, ほとんどの供試薬剤で峰性を示し, 分布のpeak値は低かった。このことから
Fusobacteriumの供試薬剤に対する感受性は高いものと考えられる。しかし, アミノ配糖体系と化学療法剤に対する感受性は低かった。
供試薬剤の90%発育阻止濃度を求めて, 抗菌力を比較したところ, 90%発育阻止濃度が<0.1μg/mlは, PCG, CEPR, IPABPC, AMPC, ABPC, PIPC, CET, CEZ, 0.1~<1.0μg/mlは, MCIPC, DMPPC, CBPC, CER, CEX, CMZ, LCM, MINO, DOXY, TC, CP, 1.0~<10μg/mlは, MPC, EM, MC, PL, RFP, 10~100μg/mlは, CEG, CL,>100μg/mlは, GM, DKB, SM, FRM, NA, PA, PPA, STであった。MPCとCEGを除くペニシリン系とセファロスポリン系抗生物質は,
Fusobacteriumに対し, 著しく強い抗菌力を示し, ペニシリン系およぴセファロスポリン系以外では, LCMとテトラサイクリン系に強い抗菌力が認められた。
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