CHEMOTHERAPY
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30 巻, 11 号
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  • 渡辺 彰, 大泉 耕太郎, 佐々木 昌子, 青沼 清一, 大沼 菊夫, 今野 淳
    1982 年 30 巻 11 号 p. 1257-1269
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    難治性呼吸器感染症を主な対象としてMinocyclineとアミノ配糖体系抗生物質の併用療法を施行し, 臨床における併用療法に占めるその位置づけを試みた。
    呼吸器感染症16例, 尿路感染症1例の計17例を対象としたが, いずれもβ-ラクタム系抗生物質を中心とした前投薬が無効あるいは副作用を示して投与を中止された症例であり, 前投薬の臨床成績は著効0, 有効1, やや有効4, 無効12である。この17例にMinocycline 1回100mgを1日1~2回点滴静注し, 同時にアミノ配糖体系抗生物質 (Dibekacin, Amikacin, Gentamicin) の常用量を1日2回筋注投与した。臨床効果は著効5, 有効9, やや有効2, 無効1, と優れた成績を示した。全17例から得られた13株の分離株 (肺炎球菌3, インフルエンザ菌1, 大腸菌3, 肺炎桿菌1, セラチア1, 緑膿菌1, アシネトバクター2, アルカリジェネス1) に対して菌消失11, 菌数減少2 (大腸菌とアシネトバクター各1) という優れた細菌学的効果を示した。
    症例の分離株のうちセラチア1株に対するMinocyclineとGentamicinのin vitro併用効果を測定してFIC indexが0.094という著明な相乗作用を確認した。
    副作用としてトランスアミナーゼ値上昇3例, Al-P上昇1例がみられたがいずれも軽度であり, 投与終了後には正常化した。
    以上よりMinocyclineとアミノ配糖体系抗生物質の併用は併用療法における第2次選択としての位置を占める, と考えられた。
  • 小中島 諭一, 尾上 孝利, 梅本 俊夫, 谷 明, 行徳 友親, 河野 忠雄, 佐川 寛典
    1982 年 30 巻 11 号 p. 1270-1277
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 歯周疾患との関連性が注日されている偏性嫌気性のグラム陰性桿菌であるFusobacteriumをヒト口腔から, 分離, 同定して得た43株の新鮮分離株を用いて, 抗生物質30種と化学療法剤4種に対する感受性を検討した。
    Fusobacterium nucleatumおよびFusobacterium sp. に対する各種薬剤のMIC分布の様式は, ほとんどの供試薬剤で峰性を示し, 分布のpeak値は低かった。このことからFusobacteriumの供試薬剤に対する感受性は高いものと考えられる。しかし, アミノ配糖体系と化学療法剤に対する感受性は低かった。
    供試薬剤の90%発育阻止濃度を求めて, 抗菌力を比較したところ, 90%発育阻止濃度が<0.1μg/mlは, PCG, CEPR, IPABPC, AMPC, ABPC, PIPC, CET, CEZ, 0.1~<1.0μg/mlは, MCIPC, DMPPC, CBPC, CER, CEX, CMZ, LCM, MINO, DOXY, TC, CP, 1.0~<10μg/mlは, MPC, EM, MC, PL, RFP, 10~100μg/mlは, CEG, CL,>100μg/mlは, GM, DKB, SM, FRM, NA, PA, PPA, STであった。MPCとCEGを除くペニシリン系とセファロスポリン系抗生物質は, Fusobacteriumに対し, 著しく強い抗菌力を示し, ペニシリン系およぴセファロスポリン系以外では, LCMとテトラサイクリン系に強い抗菌力が認められた。
  • 笠井 一弘, 宮本 政樹, 高瀬 善次郎
    1982 年 30 巻 11 号 p. 1278-1285
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ラットの子宮内へE. coliな接種し, 実験的子宮内感染症モデルの作製を試みるとともに, 感染モデルを用いて, 抗生剤の治療効果の比較についても検討した。
    実験には, 処女, 分娩翌日および分娩4日後のラットを用いた。それぞれのラットには, 子宮頸部に結紮を施し, 子宮角内に5%ムチン液とともに菌液を注入した。その結果, 分娩4日後の子宮において菌定着は最も良好であり, 組織学的にも子宮腔, 腺管への好中球浸潤を伴う顕著な子宮内膜の炎症性変化がみられた。
    このような感染動物を用いて, CTX, CEZの治療効果を比較した。CTX投与の場合, CEZに比べ明らかに優れた治療効果がみられた。この結果は, 作製されたラットの子宮内感染モデルが, 抗生剤の治療効果をin vivoで予測する一手段となることを示唆している。
  • 続報
    栗村 統, 佐々木 英夫, 荒谷 義彦, 金藤 英二, 西川 嘉郎, 荒光 義美, 苗村 政子, 高田 和夫, 村井 知也, 野崎 公敏, ...
    1982 年 30 巻 11 号 p. 1286-1296
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    今回新たに13例の腸チフス患者と, 12例の保菌者にAM-715を投与した。患者は8例が成人で, 5例は15歳以下の小児てある。保歯者は全例が成人で, 4例に胆石が証明された。
    腸チフス患者に対しての1日投与精は, 成人ては1,600mgが3例, 2,000mgが5例である。小児例に対しては, 1,200mgが3例, 1,600mgが2例である。1,600mgを投与した成人例のうち1例は無効てあった。保菌者に対しての1日投与量は, 1,200mgが1例, 1,600mgが10例, 2,000mgが1例である。2,000mgを投与した例は, 退院後5か月目に再排菌がみられた。その他の例は現在まで再排菌はみられない。投与日数は無効例以外はすべて14日以上である。
    副作用としては, 投与を中止せざるをえない程のものはみられなかった。検査値異常として, 成人例でトランスアミナーゼ値の異常が2例, 好酸球増多を伴った血清総ビリルビン値の軽度上昇が1例にみられたが, すべて1週後には正常値に復した。小児例では1例で好中球減少, 1例で血小板減少を, さらに1例に血小板減少を伴う好中球減少がみられた。血小板減少を伴う好中球減少例のみ, 血小板減少が2週以上つづいた。
    前回治療を行なった8例の, その後の追跡調査結果についても併せて報告した。
  • 藤田 信一, 吉田 知孝, 尾角 信夫, 松原 藤継
    1982 年 30 巻 11 号 p. 1297-1304
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1979年4月より1982年1月までに, 各種の臨床材料から分離されたKlebsiella 448株の薬剤感受性を菌株のインドール産生能と色素産生能から検討した。インドール陰性株235株のうち, Cefazolin (CEZ) 耐性菌 (MIC≧25μg/ml) は7株 (3.0%), インドール陽性・色素非産生株89株では5株 (5.6%), 色素産生株124株では20株 (16.1%) であり, 色素非産生株よりも色素産生株にCEZ耐性菌が有意に多かった (X2検定, P<0.01)。また, CEZの色素産生株に対するMIC90は100μg/mlで, インドール陰性株およびインドール陽性・色素非産生株に対するCEZのMIC90はそれぞれ3.13μg/ml, 6.25μg/mlであった。CephalothinもCEZとほぼ同様の感受性パターンを示した。Ampicillin (ABPC) 高度耐性株 (MIC≧200μg/ml) も色素産生株に多かったが, Cefoxitin, Ceftizoxime (CZX), Kanamycin (KM), Gentamicin, Tetracycline (TC) の抗菌力とインドール産生能および色素産生能との間に一定の傾向は認められなかった。CEZ耐性菌32株のうち14株は尿から, 11株は便から分離され, これらの材料ては色素産生株に耐性菌が有意に多く認められた。
    耐性菌24株のうち22株はCefopcrazoncにも耐性 (MIC≧25μg/ml) と判定されたが, Cefmetazole, Cefotaxime, CZX, Latamoxcfに耐性の菌株はなかった。なお, ABPC, CEZ, KM, TC, Chloramphenicolの5剤に耐性の菌株は5株で, このうち3株は色素産生株であった。また, インドール陽性株の分離頻度は便由来株を除いて増加傾向は認められなかった。
  • 山本 典巳, 西山 直志, 伊藤 富由, 谷村 英紀, 大山 昭夫
    1982 年 30 巻 11 号 p. 1305-1312
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    5-FCとCDase併用による新しい局所的な化学療法では, 腫瘍内に5-FCと転換された5-FUが共存するため, それぞれの組織内濃度を把握することが治療のうえからも重要である。
    5-FC, 5-FU共存下でのBioassayによる測定法を検討した結果, 指示菌としてMricrococcusluteus ATCC 10240株を用いた場合, 両者の共存下でも5-FCの影響を受けず5-FUの濃度のみの値として求められた。また指示菌としてSacchoromyces cerevisiae AKU 4100株を用いた場合は5-FCと5-FUの総和として求められた。
    故に両者共存下での5-FU量は, M. luteusで測定し, 5-FC量はS. cerevisiaeで測定しその測定値より5-FU量を減じて求めることができた。
    実験的にラット皮下に形成させた腫瘍にCDase capsuleを留置し, 1週間後に5-FC 150mg/kg腹腔内投与後, 経時的に採取した腫瘍組織および血液をBioassay法を用いて5-FCと転換5-FUの定量を行なったところ感度, 再現性に関して物理化学的定量法と比較し優れた成績を得ることができた実
  • 笹津 備規, 小原 康治, 早坂 健, 河野 恵
    1982 年 30 巻 11 号 p. 1313-1318
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefazolin (CEZ) とCefmetazole (CMZ) に対する感受性相関などから, CEZに対するMIC値の高い菌株に対し, CMZがより低いMIC値を示すこと, CEZとCMZがほぼ同じMIC値を示す菌株に対してはCMZがより殺菌的に作用することがわかった。CEZあるいはPenicillin GによりCEZ耐性を誘導することができたが, CMZの抗菌作用はこの耐性誘導処理にかかわらず変化しなかった。
    CEZ耐性ブドウ球菌のMIC値と, それらの菌の産生するペニシリナーゼ活性との相関から, CEZ耐性はペニシリナーゼ産生と何らかの関連があると考えられる。
  • 嶋津 良一
    1982 年 30 巻 11 号 p. 1319-1336
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    尿路感染症におけるcoagulase-ncgativc Staphylococcus (以下C. N. S.) の臨床的意義について検討を行なった結果, 次のような結論を得た。
    1) 女性の急性単純性膀胱炎における検討では10個/HPF以上の膿尿を有し, かつC. N. S. が単独で105個/ml以上の菌数で検出された場合を原因菌と考えたが, その分離頻度は10%内外で, E. coliに次いで多かった。
    2) C. N. S. による急性単純性膀胱炎の臨床的特徴としては, 好発年齢がE. coliによるものに比べると若干若年層に多いこと, および冬季よりも夏季に分離頻度が高くなる傾向を認めた。
    3) これらの症例に化学療法を行なうとC. N. S.の消失と同時に症状, 膿尿も消失することからも, C. N. S. が原因菌であることは確実と思われた。
    4) 慢性複雑性尿路感染症由来のC. N. S. は, 103個/ml以下の菌数で分離され, しかも複数菌感染の形態をとるものが多く, また有意の膿尿をともなわない場合が多いことから, 臨床的病原性は低いと考えられた。
    5) 急性症由来株のbiovarとしては, BAIRD-PARKERの分類ではSII型, 次いでSIV型が多く, またKLoos & SCHLEIFERの分類ではS. saprophyticus, 次いでS. epidermidisが多かった。一方, 慢性症由来株ではSII型, SV型, M3型などが多く, KLOOS & SCHLEIFERの分類では圧倒的にS. epidermidisが多かった。
    6) S. saprophyticusはほとんどの株がNovobiocin耐性であったが, 感性株も少数認められ, またS. epidermidisの中にもNovobiocin感性株が57%, 耐性株が43%認められた。したがってNovobiocin感受性によってS. saprophyticusS. epidermidisを簡易同定することには問題があるものと考えられた。
    7) このように急性症由来株と慢性症由来株とはbiovarの分布が異なっており, 感染源や感染形式に相違があるものと思われた。
  • 神代 昭, 内山 純子, 松沢 豊, 河内山 正
    1982 年 30 巻 11 号 p. 1337-1348
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    免疫系を含まない実験系において, ペプシン処理ヒト免疫グロブリン (GGP) の添加による, 抗生剤のin vitro抗菌作用への影響を, グラム陽性球菌, 陰性桿菌8株について検討した。MIC, 細菌集落数, 増殖曲線のいずれにおいても, GGP添加による抗菌作用の増強が確認された。特に高度ないし中等度耐性のP. aeruginosia, E. coli, K. pneumoniaeについてもこの効果がみられたことは非常に興味ある現象である。また, この効果は顕微鏡による形態観察によっても認められた。
  • 石神 襄次, 守殿 貞夫, 松本 修, 荒川 創一, 片岡 陳正, 斉藤 宗吾, 三田 俊彦, 寺杣 一徳, 原 信二, 田中 邦彦, 清岡 ...
    1982 年 30 巻 11 号 p. 1349-1360
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口合成抗菌剤Norfloxacin (AM-715) の尿道炎に対する臨床効果を検討し, 以下の結論を得た。
    1. 淋菌性尿道炎35例, 非淋菌性尿道炎25例にAM-7151日量600mgを3回に分割し, 3~7日間投薬した。総合臨床効果は, 淋菌性尿道炎35例では94.3%(33/35) の有効率であり, 判定不能1例を除く非淋菌性尿道炎24例では83.3%(20/24) の有効率であった。
    2. グラム陽性球菌臨床分離株に対するAM-715のMICは0.2~25μg/mlに分布し, PPA, NAに比べその抗菌性は良好であった。
    3. 副作用は1例に下痢を認めたのみであった。
    以上の結果から, 本剤は尿道炎に対して有用な薬剤であると考えられた。
  • 1982 年 30 巻 11 号 p. 1361-1382
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 30 巻 11 号 p. 1383-1396
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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