CHEMOTHERAPY
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33 巻, Supplement5 号
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  • 山路 真也, 三橋 進, 伊予部 志津子
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 1-21
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいアミノ配糖体系抗生物質であるHAPA-Bの抗菌作用について細菌学的検討を行い次のような成績を得た。
    (1) HAPA-Bはグラム陽性菌およびグラム陰性菌にすぐれた抗菌力を示し, 特に腸内細菌群に強い抗菌力を示した。
    (2) Gentamicin耐性のSerratia marcescens, Pseudomonas aeruginosaに対して強い抗菌力を示し, Gentamicinとの交叉耐性は余り認められなかった。また, Amikacin耐性のSerratia marcescens, Pseudomonas aeruginosaに対してもすぐれた抗菌力を示した。
    (3) HAPA-BはAAC (6')-4を除く他のアミノ配糖体不活化酵素に対して安定であった。
    (4) HAPA-Bは殺菌的に作用した。
    (5) HAPA-Bのβラクタム剤との併用効果を検討した結果, Acinetobacter calcoaceticus, 及びPseudomonas aeruginoseで強い相乗効果が認められた。
  • 横田 健, 加藤 尚代, 野沢 龍嗣
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 22-28
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    HAPA-BのM. tuberculosis 44株に対するMIC90は1.6μg/mlであり, M. avium-intracellulare com-Plex等の非定型抗酸菌に対しても0.2~50μg/mlで増殖を阻止することが確かめられた。これはKM, SMおよびAMKの抗mycobacteria作用にほぼ等しい。HAPA-Bは培養マクロファージ中に取り込まれたM. tuberculosisに対してもin vitro MICの2倍程度あれば増殖阻止作用を示す。
    HAPA-Bの血清補体とのE. coliに対する協力的殺菌作用は中程度で, 培養マクロファージによるE. coli, P. aeruginosa, S. aureus等の食菌殺菌には促進的に働くので, 生体内効果も良いことが期待される。HAPA-Bはmycobacteriaの混合感染もありうるcompromised hostの感染症に対し単独または他剤との組み合わせで有効な抗生物質となることが考えられる。
  • 横井山 繁行, 鳥屋 実, 諸星 俊郎, 尻谷 善則, 高島 明子, 早野 和夫, 五島 瑳智子, 辻 明良
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 29-46
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいアミノ配糖体系抗生物質HAPA-Bのin vitro, in vivo抗菌作用をAmikacin, Gentamicin, Dibekacin, Tobramycinと比較検討し, 次の結果を得た。
    HAPA-Bはグラム陽性菌, グラム陰性菌に対し広い抗菌スペクトラムと強い抗菌力を示した。特にSerratia marcescens, Citrobacter freundii, Enterobacter cloacaeなどのグラム陰性菌に対し強い抗菌力を有していた。
    HAPA-Bはアミノ配糖体系抗生物質耐性菌の多くに感受性を示した。また, HAPA-Bの抗菌作用は殺菌的であり, その殺菌力はAmikacinより強力であった。
    マウス感染実験に対しHAPA-Bはin vitro抗菌力と同様に優れた治療効果を示した。また, Amikacinを含むアミノ配糖体系抗生物質耐性菌の感染にも優れた治療効果を認めた。
    マウス血漿中濃度ではHAPA-BはAmikacinとほぼ同様のピーク値を示した。
  • 松本 一彦, 藤井 博子, 三宅 博子, 白岩 和已, 三浦 昌己, 山本 宏, 斎藤 篤
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 47-89
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規アミノ配糖体系抗生物質, HAPA-Bのラットにおける腎毒性をAmikacin (AMK) 及びGentamicin (GM) を対照薬として比較検討した。HAPA-B及びAMKは50, 150, 300mg/kg, GMは25, 50, 100mg/kgを1日1回, Slc-Wistarラット (雄) に7日間, 14日間及び21日間連続筋肉内投与した。また, 21日間投与後, 28日間の回復試験も併せて行った。
    その結果, 死亡例は21日間投与でAMK投与群の場合20例中18例, GM投与群の場合20例中19例であったが, HAPA-B投与群では死亡例はみられなかった。また, HAPA-B投与群の体重減少は他剤より少なかった。摂水量及び尿量はHAPA-300群, AMK-150群, GM-25群より用量相関をもって増加した。一方, 尿浸透圧は摂水量及び尿量と正反対の動態を示し, 個体間変動も小さく, これらの検査の中では最も鋭敏な変化を示した。尿中酵素の中でもNAG活性はいずれの薬剤においても低投与量群で投与翌日より有意な増加を示し, 活性ピークも用量依存的に投与期間の早期に移動し, 型も, よりシャープになった。これらの変化はGM-50群, AMK450群, HAPA-300群がほぼ等しかった。また, LDH活性もNAGとほぼ同じ動態を示したが鋭敏度がやや劣った。ALP及びLAP活性はHAPA-300群, AMK-150群, GM-50群より用量相関をもって増加し, 活性ピークも早期に移動したがNAGやLDHと異なり, 投与期間中に対照群より低い活性を示した。
    尿試験紙によるpH, 潜血, 蛋白, 糖の定性試験では, いずれの薬剤も投与期間及び投与量に比例して変化がみられたが, なかでもGMが最も強い変化を示し, 次いで, AMK, HAPA-Bの順であった。尿中電解質において, Kの低下とPの増加がHAPA-300群, AMK-150群, GM-50群より投与期間に比例して, 著明にみられたがNa, Clの変化は投与量, 投与期間に関係なく散見された。クレアチニンクリアランスはHAPA-B, AMKとも高投与量群に, GMでは中投与量群より低下がみられた。血清尿素窒素及びクレアチニン値は7日間投与試験でGM-100群のみ, 14日間投与試験ではHAPA-300群, AMK-300群, GM-50, 100群に著明な増加がみられたが, 21日間投与試験では投与継続中にもかかわらず14日間投与試験時の値より低値を示した。また, 回復試験でもHAPA-300群, AMK-150群で軽度な上昇を示した。腎重量はいずれの薬剤でも低投与量群より有意な増加がみられ, 7日間投与試験ではHAPA-300群, AMK-150群, GM-50群がほぼ同じ値を示した。肉眼的所見ではいずれの薬剤とも腎臓の提色, 腫大, 腎表面の粗造化がみられた。病理組織学的所見ではいずれの薬剤においても近位尿細管上皮細胞の好酸性穎粒状変性, 腫大, 空胞変性 (脂肪滴沈着を含む), 壊死, 尿細管腔の拡張, 尿細管基底膜の肥厚などが主な病変であった。電子顕微鏡所見では, いずれの薬剤とも, ミエリン様小体を取込んだlysosome顆粒の出現がみられた。腎臓でみられたこれらの病変はその出現時期と程度において, 薬剤間に差が認められ, HAPA-Bの障害性は3薬剤の中で最も弱いものであった。
    以上の結果を総合するとHAPA-Bの腎毒性はGMはもとよりAMKよりさらに弱いと言える。
  • 秋吉 正豊, 中田 穂出美, 矢野 三郎, 矢野 譲次, 佐野 光一, 松本 一彦, 山本 宏
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 90-103
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Gentamicin Bの誘導体である新しい半合成アミノ配糖体HAPA-Bの耳毒性を明らかにするとともに, Kanamycin Aの半合成アミノ配糖体のAMKとの耳毎性の比較を行うために, モルモットについて25, 50, 100, 200mg/kgの各投与雄における4週間の筋肉内投与実験を行い, 次の点を明らかにした。
    1) HAPA-Bを25mg/kg投与の場合には, 一部の動物に不規則な耳介反射消失が現われたが, 蝸牛には外有毛細胞, 内有毛細胞, ラセン神経節細胞などに消失はみられなかった。前庭器の障害も非常に軽かった。
    2) HAPA-Bを50mg/kg投与の場合には, 耳介反射消失はなく, 蝸牛障害も非常に軽かった。前庭器障害も軽度であった。
    3) HAPA-Bを100mg/kg投与の場合には, 耳介反射消失は3例の20KHzに限局して現われ, それらの3例と他の1例の蝸牛には1回転下端に限局した外有毛細胞の消失をきたしていた。前庭器障害も比較的軽度であった。
    4) HAPA-Bを200mg/kg投与の場合には, 耳介反射消失は全例にみられ, 消失周波数域は20KHzから8KHz以下まで拡大していた。蝸牛における外有毛細胞の消失も全例にみられ, 1回転下端より広範な拡がりをきたしていた。これらの5例では同時に内有毛細胞の消失を伴なっていた。前庭器障害は多少増強を示していた。
    5) 以上の結果は, HAPA-Bの耳毒性は, 25mg/kgと50mg/kgでは非常に軽く, 100mg/kgでは比較的軽いことを示唆している。
    6) HAPA-Bの耳毒性をAMKと比較してみると, 100mg/kgの4週間筋肉内投与では, 聴器毒性はHAPA-BではAMKよりもかなり軽かった。また前庭器毒性も, HAPA-BではAMKよりも弱い可能性が考えられた。一方, 200mg/kgの投与では, 耳毒性は増強されたが, 聴器毒性ではHAPA-Bの方がAMKよりも弱く, 前庭器毒性ではAMKより多少強くなる可能性が示された。
  • 佐々木 信博, 大崎 能伸, 今本 哲郎, 小野寺 壮吉, 高塩 哲也
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 104-108
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    最近開発されたアミノ配糖体系抗生剤のHAPA-Bを呼吸器感染症患者に投与し, 以下の結果が褐られた。
    1) HAPA-Bを10例の呼吸器感染症患者 (急性細菌性肺炎9例, 陳旧性肺結核症+感染1例) に投与した。臨床効果は著効4例, 有効4例, やや有効1例, 無効1例, 有効率は80%であった。
    2) 副作用として1例に食思不振が認められたが, 投与中止後すみやかに回復した。臨床検査値では1例で好酸球が1%から11%へ増加し, 尿蛋白が一過性に陽性を示した。
    3) HAPA-Bは呼吸器感染症に有用な薬剤と推測された。
  • 平賀 洋明, 菊地 弘毅, 山本 朝子, 長浜 文雄, 黒田 練介, 下村 寿太郎, 関根 球一郎
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 109-114
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    耐性菌に有効な薬剤が次から次へと発見開発される一方, その耐性菌が年々増加している。
    しかし, アミノ配糖体系抗生剤に対する耐性機構の解明から, 耐性菌に対して理論的に有効な薬剤を合成する研究が進み, Gentamicin Bの1-NH2にγ-amino-α-hydroxypropionic acidを結合し, 他アミノ配糖体系抗生剤に耐性を示すグラム陰性桿菌に対しても強い抗菌力をもつHAPA-Bが合成された。
    今回は, HAPA-Bの呼吸器感染症17例 (急性肺炎12例, 慢性気管支炎の急性増悪3例, 気管支拡張症, 肺癌の二次感染各1例) に対する有効性と安全性について検討した。
    1. 急性肺炎12例では著効2例, 有効8例, 無効2例で, 有効以上の有効率は83.3%であった。
    2. 呼吸器感染症17例では著効2例, 有効12例, やや有効1例, 無効2例で, 有効以上の有効率は82.4%であった。
    3. 起炎菌と判明した10株中7株は, グラム陰性桿菌であった。単独感染例より分離された8株のうち, H. influenzaeの2株中1株が不変であった以外他は全て消失した。また, K. oxytocaE. cloacaeの混合感染例でも消失し改善をみた。
    4. 第8脳神経障害等の副作用は1例にも認められなかった。投薬前後に行った臨床検査で1例にS-GOT, S-GPTの軽度上昇を認めた。
  • 斎藤 玲, 加藤 康道, 石川 清文, 小田柿 栄之輔, 篠原 正英, 福原 育夫, 中山 一朗, 富沢 磨須美, 佐藤 清
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 115-126
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新アミノ配糖体系抗生剤HAPA-Bの抗菌力を臨床分離株について検討した。S. aureus, E. coli, K.pneumonioeでは, 比較したGentamicin (GM), Tobramycin (TOB), Amikacin (AMK), Sisomicin (SISO), Astromicin (ASTM) より優れていた。P. mirabilis, M. morganii, S. marcescens P. aeruginosaでは, 他剤と近似しており, HAPA-Bはほぼ中間に位置しているが, >100μg/mlの高度耐性菌は全く認められなかった。
    5名の健康成人男子に200mgおよび300mg 1回筋注投与後の体内動態を検討した。Cmaxはそれぞれ10.62, 16.69μg/ml, AUCは39.05, 62.58μg・hr/mlであった。また, Tmaxはいずれの用量においても約1時間, T1/2は約1.7時間であった。この2用量間にはdose responseを認めた。8時間までの尿中排泄率はそれぞれ72.0, 79.4%であった。本試験の間に行ったCPKも含めた生化学的検査には異常は認めなかった。
    16例の感染症患者に, 本剤200mg1日2回筋注投与し, 3~8日間投与で臨床効果をみた。著効10例, 有効6例であった。E. coli 7例, K. pneumoniae3例を含む13例の起炎菌はすべて消失した副作用, 臨床検査値, Audiogramに異常は認められなかった。
  • 武部 和夫他
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 127-132
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいアミノグリコシド系抗生物質HAPA-Bを呼吸器感染症, 細菌性肺炎15例, マイコプラズマ肺炎2例, 気管支拡張症の感染合併例1例, 肺癌の感染合併例1例の合計19症例に投与して臨床効果の検討を試みた。
    本剤は1日400mg (分2) で4~15日間投与した。起炎菌と推定されたものは細菌性肺炎の5例からK. pneumoniae, 気管支拡張症からP. aerugilnosaが1株検出されたが, 本剤投与後にすべて消失した。臨床効果は肺炎で著効3例, 有効10例, やや有効1例, 無効1例, マイコプラズマ肺炎で有効2例, 気管支拡張症で有効1例, 肺癌に感染の合併例では無効1例であり, 全体の有効率は842%であった。
    副作用として皮疹が1例にみられた。臨床検査値異常としては, 血清クレアチニン軽度上昇1例, SGOT・GPT上昇が1例に認められた。
  • 細谷 賢一, 座安 清, 小丸 達也, 方宇 寿南, 木村 啓二, 山谷 睦男, 圓谷 智夫, 斉藤 公男, 林 雅人
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 133-136
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいアミノ配糖体系抗生物質であるHAPA-Bの臨床的効果について, 呼吸器感染症6例を対象として検討した。感染症のうちわけは, 肺炎5例, マイコプラズマ肺炎に伴う肺混合感染1例であった。HAPA-Bは200mgを1日2回筋肉内に投与した。その結果, 有効4例, 無効1例, 判定不能1例で, 効果判定可能であった5例中, 4例 (80%) に有効性がみとめられた。副作用は全く認められず, HAPA-Bの呼吸器感染症への有用性が確認された。
  • 小西 一樹, 小室 淳, 武内 健一, 佐藤 由香子, 谷藤 幸夫, 伊東 千佳子, 田村 昌士
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 137-140
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    細菌性呼吸器感染症7例に (急性肺炎5例, びまん性汎細気管支炎2例) HAPA-Bを1回100~200mg, 1日2回, 原則的に14日間投与しその臨床効果を検討した。その結果, 著効1例, 有効4例, 無効2例の臨床成績を得た。副作用あるいは臨床検査値の異常は全例に認められなかった。本薬剤は呼吸器感染症就中細菌性肺炎に対して有効な薬剤であることが示唆された。
  • 本田 一陽, 滝島 任
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 141-148
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    HAPA-Bに関する臨床的, 細菌学的検討の結果, 以下の成績が得られた。
    1) 抗緑膿菌作用はHAPA-Bが最も優れており, AMK, GM, SISOがそれに次いでいた。P. aeruginosa80株に対するHAPA-Bの90%発育阻止濃度は3.13μg/mlであった。
    2) 慢性気管支細気管支炎の患者にHAPA-B200mgを筋肉内注射した際の最高血清中濃度は9.17μg/ml, 喀痰中濃度は1.85μg/gであった。
    3) 4例の慢性気管支細気管支炎にHAPA-Bを投与し, A. calcoaceticusの1例で著効, P. aeruginosaの2例, P. maltophiliaの1例では無効の成績であった。
  • 青沼 清一, 小野 玲子, 大谷 紀子, 大沼 菊夫, 渡辺 彰, 佐々木 昌子, 大泉 耕太郎, 今野 淳
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 149-157
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいアミノグリコシド系抗生物質であるHAPA-Bに関して, 各種病原細菌に対するin vitro抗菌力をDynatech MIC 2000 systemを用いた液体培地希釈法により検討した。
    黄色ブドウ球菌, 大腸菌に対する本剤の抗菌力は, 比較したGentamicin (GM) より2段階劣るが, Amikacin (AMK) よりやや優れていた。肺炎桿菌, セラチア・マルセッセンスにおいては, GMより1段階程度劣るもののAMKより1段階優れていた。エンテロパクター, 緑膿菌に対してはGMより1段階劣り, AMKとほぼ同等であった。
  • 林 泉
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 158-164
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    HAPA-Bの基礎的・臨床的検討を行い次の結果を得た。
    1. 当院で分離された多剤耐性Serratia marcescensに対する感受性試験成績で, HAPA-Bは他のアミノグリコシド系抗生剤に比べすぐれたMIC値を示した。その時のMIC値は3.13~6.25μg/mlてあった。また, この中のHAPA-B, GMに感受性でAMK, TOB, DKBに耐性であった菌株について検討したところ, 諸星・五島らの発見した不活化酵素と同じタイプのアセチル化酵素を産生していることが明らかとなった。
    2. HAPA-B投与症例からP. aeruginose2株, S. penumoniae1株が分離されたが, P. aeruginoseのMICは12.5~25μg/ml, S. penumoniaeのそれは12.5~50μg/mlであった。P. aeruginoseは1株が5×106cfu/mlから5×103cfu/mlへ, 1株は7×107cfu/mlから6×102cfu/mlと著明に減少し・臨床的にもいずれも有効であった。S. pneumoniaeは投与前後で不変であったが, 胸部レ線上その他で有効であった。
    3. 3例とも副作用および投与前後の臨床検査値の異常は出現しなかった。また, 2例に投与前後の聴力検査を行ったが不変であった。
  • 佐藤 実, 安達 正則, 山縣 元, 滝塚 久志, 奥井 津二, 勝 正孝, 新井 峻, 河合 健, 青柳 昭雄, 柳内 登
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 165-178
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新アミノ配糖体系抗生剤 (AGs) HAPA-Bの有効性, 安全性を検討するために, GMまたはDKB耐性株に対する抗菌力, 筋肉内投与後の血中, 喀痰中濃度の測定を行った。また, 呼吸器・尿路感染症29例にHAPA-B 1回100~200mgを1日1~2回, 5~29日間投与し, 効果, 副作用を調べた。抗菌力ではHAPA-BはGMまたはDKB耐性株に対し優れた抗菌力を示し, 耐性株出現頻度も低く, 最も耐性菌の少ないAGsの一剤と言えよう。体液中濃度の測定では, 血中濃度のピークは投与後1時間にあり, 10.6, 15.6μg/mlで, 喀痰中濃度のピークは1.6~4.4μg/mlの幅であった。臨床効果では, 有効率は呼吸器感染症18例で50%, 尿路感染症8例で87.5%, 全体で61.5%であった。副作用および臨床検査値異常は1例も認めず, HAPA-B投与前後でオージオグラムを施行した10例では変化は認められなかった。
    HAPA-Bは, 種々のAGs耐性菌に対しても優れた抗菌力を示し, 副作用も少なく, 各種感染症に有効かつ安全に使用し得る薬剤と考えられた。
  • 斎藤 篤, 嶋田 甚五郎, 柴 孝也, 山路 武久, 北條 敏夫, 加地 正伸, 奥田 新一郎, 南雲 久美子, 宮原 正, 松本 文夫, ...
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 179-187
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいAminoglycoside剤のHAPA-Bについて, 抗菌力, 体内動態ならびに臨床成果を検討した。
    P. aeruginosaに対するHAPA-BのMICはAMKとほぼ同等, ASTMより2~3段階すぐれた成績であった。本剤はGMまたはNTL感受性株には両剤より1~2段階劣ったものの, これらに耐性の株には1.56~6.25μg/mlの小さなMIC分布を示した。S.marcescensに対して本剤はGM類似のMIC分布を示し, AMKより1~2段階, NTLより3~4段階すぐれ, 殊にこれらに100μg/ml以上の高度耐性株も本剤の25μg/ml以下で発育が阻止された。ASTMのMIC分布は0.78~6.25μg/mlで, 比較薬剤中最も幅狭いものであった。
    HAPA-B100mgおよび200mgの筋注により, 注射1時間後にはそれぞれ最高値の約7μg/mlと12μg/mlを示し, 以後は1.6~1.7時間の血中半減期をもって漸減した。筋注後8時間までの累積尿中回収率は, ともに使用量の約88%であった。
    臨床検討では, びまん性汎細気管支炎1例, 内科領域の尿路感染症4例の計5例にHAPA-Bを使用し, 著効1例, 有効3例, 無効1例の成績をえた。本剤に起因すると思われる自・他覚的副作用および臨床検査値の異常変動は経験されなかった。
  • 小山 優, 飯島 福生, 秋吉 龍二, 渡辺 健太郎, 中川 圭一, 横沢 光博, 山口 景子
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 188-192
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    HAPA-Bは, 米国シェリング社で開発された新規アミノ配糖体系抗生剤である。その特徴は, Gentamicin耐性菌に対して抗菌力を有し, かつ聴器毒性, 腎毒性が少ない点である。今回我々は, 本剤の臨床的検討を行う機会を得たので, その成績を報告する。
    肺癌による閉塞性肺炎の1例, 脳血管障害のため長期床上生活の尿路感染症2例, 敗血症3例の計6例に本剤の投与を行った。
    HAPA-Bの投与方法は, すべて筋注で行い, 1日投与量はいずれも400mgであり, 投与期間は5~15日間であった。
    肺癌による閉塞性肺炎の症例では, 原疾患の進行のため胸部X-Pは増悪したが, 本剤の使用により解熱が得られ, 本剤の臨床的効果は有効であった。2例の尿路感染症は, 留置カテーテル使用例である。これらの2症例の起炎菌はP. aeruginosaおよびEnterococcusであったが, 本剤は細菌学的にも臨床的にも効果は得られなかった。3例の敗血症の基礎疾患は脊髄腫瘍, パーキンソン氏病, 神経因性膀胱である。2例は尿路感染症により, 1例は誤燕性肺炎より併発したものと思われる。起炎菌は1例がP. naltophiloaで, 2例がS. epidermidisであった。これらの敗血症に対して本剤は, 1例やや有効, 1例が無効であり, PIPCとの併用例の1例がやや有効であった。
    副作用および臨床検査値の異常変動は全例にみられなかった。以上の我々の成績では6例中に, 3例の敗血症の重症感染症を含んでいるが, 有効例は肺癌の二次感染の1例だけであった。
  • 富 俊明, 山根 至二, 真下 啓明
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 193-195
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいアミノ配糖体系抗生剤であるHAPA-Bを種々の感染症に投与し臨床的検討を行った。投与量は1日400mgを2回に分割し, 筋注にて投与した。
    臨床的効果は, 呼吸器感染症: 無効1例, 尿路感染: 著効2例で副作用は認めなかった。
  • 稲松 孝思, 浦山 京子, 岡 慎一, 島田 馨
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 196-200
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Gentamicin Bの誘導体である新しいアミノグリコシド系抗生剤HAPA-Bを, 11例の高齢者感染症に投与し, 臨床効果, 有用性について検討した。臨床効果は, 10例について判定を行い, 気管支拡張症に感染合併の1例はやや有効, 腎孟炎6例中5例有効, 1例無効, 慢性膀胱炎2例中1例有効, 1例やや有効, 前立腺炎1例有効であった。1症例において, 蛋白尿の出現がみられた。
  • 押谷 浩, 河合 伸, 小林 宏行
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 201-205
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新アミノ配糖体系抗生剤HAPA-Bの血漿中濃度の推移および呼吸器感染症ならびに尿路感染症に対する臨床評価を検討した。
    血漿中濃度は, クレアチニンクリアランス正常例では, ほぼ健常人と類似した値を示したが, 腎機能中等度低下例では, ピーク値はほぼ2倍に上昇した。一方, 10例に対する臨床評価は, 有効6例, やや有効3例, 無効1例であり, 有効率60%であった。
    臨床上, 副作用はみられなかったが, 1例のみ一過性のGOT, GPT, ALP, LDH上昇がみられた。
    以上より, 本剤は, とくに基礎に慢性呼吸器疾患をもたない呼吸器感染症例に対して, その有用性が期待でき得ると考えられた。
  • 根岸 昌功, 楊 振典, 増田 剛太
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 206-210
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいアミノ配糖体系抗生剤であるHAPA-Bを菌血症を伴う腎孟腎炎1例, 腎孟腎炎1例。肺炎1例に投与し, 臨床的検討を行った。投与量は1回200mgを1日2回筋肉内に投与した。
    臨床的効果は, 菌血症を伴う腎孟腎炎有効, 腎孟腎炎有効, 肺炎無効であった。
    副作用はみられなかったが, 臨床検査値の異常として1例にGOT, GPTの上昇がみられた。
  • 吉村 邦彦, 蝶名林 直彦, 中谷 龍王, 中森 祥隆, 中田 紘一郎, 谷本 普一, 杉 裕子
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 211-215
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Gentamicin Bの新しい誘導体HAPA-Bを呼吸器感染症10例を対象に, 1日量400mgを筋注ないし静脈内投与し, 臨床効果ならびに副作用の有無について検討した。対象10例の基礎疾患は肺結核後遺症2例, 肺気腫症1例, びまん性汎細気管支炎7例でいずれも下気道感染症であった。
    臨床効果は有効1例, やや有効2例, 無効7例で, 有効率は10%であり, 細菌学的にはPseudomonas aeruginosa 9例中1例で減少した他はすべて不変であり, ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌1例も不変であった。
    副作用としては下痢を訴えたものが1例認められたが, 本剤投与中止と止潟剤投与により改善した。また特記すべき検査値異常は認められなかった。
  • 渡辺 一功, 前野 秀夫, 礒沼 弘, 池本 秀雄
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 216-220
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    HAPA-BはGentamicinBの1位をアシル化したもので, この結果種々の不活化酵素のなかで僅かにAAC (6')-4により不活化をうける新しいアミノ配糖体系抗生剤である。今回, 本剤の血中濃度, 喀痰移行などについて検討したので報告する。
    血中濃度および喀痰内濃度
    2例のびまん性汎細気管支炎 (DPB) にHAPA-B200mgを筋注し, 血中および喀痰内濃度を測定した。
    (1) 58歳, 男性。血中濃度は筋注1時間後11.55μg/ml, 2時間後6.76μg/ml, 4時間後2.66μg/ml, 6時間後1.12μg/mlであり, 喀痰内濃度は0~1時間では検出限界以下 (<0.12μg/g) であったが, 1~2時間で0.65μg/g, 2~3時間1.15μg/g, 3~4時間1.18μg/g, 4~5時間1, 08μg/g, 5~6時間1.05μg/gであった。
    (2) 44歳, 女性。血中濃度は筋注1時間後923μg/ml, 2時間後8.24μg/ml, 4時間後2.07μg/ml, 6時間後0.68μg/mlであり, 喀痰内濃度は0~1時間で0.59μg/g, 1~2時間0.73μg/g, 2~3時間0.96μg/g, 3~4時間1.00μg/g, 4~5時間0.74μg/g, 5~6時間0.72μg/gであった。
    臨床成績
    3例のP. aernginosaを起炎菌とするDPBに本剤1回200mgを1日2回, 4~28日間筋注したが, やや有効1例, 効果判定不能2例の成績であった。副作用は自他覚症状, 臨床検査値とも全例認めなかった。
  • 東 冬彦, 中村 正彦, 有川 一美, 山上 恵一, 高野 慎, 沼佐 創造, 船津 雄三
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 221-224
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症, 尿路感染症を中心とした10例にHAPA-Bを投与し, 臨床効果, 安全性, 有用性について検討した。
    疾患の内訳は肺炎4例, 急性気管支炎1例, 扁桃炎1例, 急性腎孟腎炎4例である。投与量は全例1日400mgで筋注投与した。投与日数は5~32日, 総投与量は2.0~12.6gであった。
    臨床効果は10例全例に有効であった。細菌学的効果については, 菌が検出された5例のうち菌消失をみたのは4例, 菌交代が1例でみられた。副作用に関しては, 1例で好酸球増多症, 1例でGOT・GPTの上昇がみられた。
    以上の成績からHAPA-Bは従来のアミノグリコシド系抗生剤と比較しても同様に有用な薬剤と思われる。
  • 佐野 靖之, 加藤 真砂子, 宇野 裕子, 伊藤 敏雄, 石橋 弘義, 可部 順三郎
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 225-230
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    慢性の呼吸器感染症7例に対して, 新しいアミノ配糖体系抗生剤HAPA-Bの臨床的効果ならびに有用性を検討した。またこのうち3例は, 尿路感染症を併発していたので併せて検討した。
    1. 慢性の呼吸器感染症の7例の内訳は, 慢性気管支炎3例, びまん性汎細気管支炎2例および気管支拡張症を基礎疾患とする感染症2例であった。
    2. 臨床的効果は, 呼吸器感染症に対して4例有効, 2例やや有効, 1例無効の成績であった。尿路感染症に対しては, 全例著効及び有効であった。
    3. 起炎菌別でみた臨床効果では, P. amgimsa感染症4例 (1例C. freundiiとの混合感染) に対しては2例有効, H. ifluenzae 2例に対しては全例有効, C. freundii 1例とStreptococcus D group1例に対してはそれぞれ有効であった。
    4. 副作用は全例に認められなかった。
  • 美田 誠二, 小林 芳夫, 藤森 一平
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 231-237
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたアミノ配糖体剤HAPA-Bの臨床的検討を行った。呼吸器感染症5例 (肺炎4例, 慢性気管支炎急性増悪1例), 尿路感染症4例 (急性腎盂腎炎1例, 慢性腎盂腎炎急性増悪3例) の計9例を対象に, HAPA-B1回200mgを1日2回, 14日間筋注し, その臨床的効果, 安全性等につき検討した。
    結果は, 呼吸器感染症5例では, 肺炎3例が有効, P. aeruginosaによる慢性気管支炎急性増悪1例がやや有効, 肺炎1例が無効であり, 尿路感染症4例では, E. coliによる急性腎孟腎炎1例および慢性腎孟腎炎急性増悪2例の計3例が有効, E. coliによる慢性腎孟腎炎急性増悪1例が無効であり, 9例全体での有効以上の有効率は67%であった。
    副作用は, 臨床的には認めなかったが, 1例で, 本剤投与後14日目に尿蛋白の増加 (±→++) を認め。本剤投与中止後7日目に尿蛋白陰性となり本剤の関与が推測された。
  • 小田切 繁樹, 池田 大忠, 松村 正典, 鈴木 周雄, 室橋 光宇, 能勢 圭之助, 渡部 紳一郎
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 238-243
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体系抗生剤HAPA-Bを, 呼吸器感染症12症例に投与した。投与量は1日400mgを2回に分けて筋注し, 5, 5~14日間使用した。
    対象となった疾患の内訳は, 肺炎4例, 慢性気道感染8例 (慢性気管支炎2, 気管支拡張症6) であった。
    臨床効果は, 12例中有効6, 無効5, 不明1で有効率54.5%であった。
    原因菌は6例に判明し, Haemophilus influenzae 2株, Escherichia coli 1株, Pseudomonas aeruginosa 3株とすべてグラム陰性桿菌であった。本剤投与後, E. coliH. influenzaeは消失したが, 後者はStreptococcus pneumoniaeへの交代もみられ, P. aeruginosaはいずれも不変であった。
    本剤の副作用は認められず, 臨床検査値でも特に問題となるものはなかった。
    以上より, 本剤は呼吸器感染症の治療薬の一つとして有用である。
  • 和田 光一, 森本 隆夫, 荒川 正昭, 関根 理, 薄田 芳丸, 青木 信樹, 山作 房之輔, 鈴木 康稔, 五十嵐 一俊
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 244-249
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいaminoglycoside系の抗生剤であるHAPA-Bを呼吸器感染症4例, 尿路感染症6例, 胆道感染症1例の計11例に使用し, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用, 臨床検査値の4点について検討した。9例は筋注, 2例は点滴静注で使用し, 1日使用量は300~400mg, 使用期間は3~22日間, 総使用量は1.2~8.8gであった。臨床効果は著効2例。有効6例, やや有効2例, 判定不能1例で有効率は80%であった。細菌学的効果は消失5例, 減少2例, 菌交代1例, 不変1例, 不明2例であった。本剤によると思われる副作用, 臨床検査値の異常は全例で認められなかった。HAPA-Bは幅広い抗菌力をもち, aminoglycoside系抗生剤としては安全性も高く, 今後期待される抗生剤である。
  • 大山 馨, 清水 隆作
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 250-258
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいアミノ配糖体系抗生剤HAPA-Bについてその抗菌力と臨床効果について検討し次の様な知見を得た。
    1. 臨床分離のS. aureus, S. faecalis, E. coli, K. pneumoniae, E. cloacae, S. marcescens, Proteus sp., P. aeruginosa計168株に対してHAPA-B, Netilmicin (NTL), Amikacin (AMK), Gentamicin (GM) の最少発育阻止濃度を比較した結果HAPA-BはK.pneumoniae, E.cloacaeに対して他剤よりやや優れていた。
    2. 呼吸器感染症14例と尿路感染症3例に本剤を投与した結果, 呼吸器感染症では14例中有効以上の成績が得られたのは9例 (64.3%) で, 尿路感染症の3例では著効1例, 有効2例であった。
    3. 副作用としては一般症状の上では異常をみとめなかったが, 検査値異常として1例に好酸球, 1例にBUN, 2例にLDH, 1例にGOT, GPT, A1-Pの軽度上昇をみとめたが本剤の投与終了後1週間で正常にもどった。
  • 下方 薫他
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 259-263
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    HAPA-Bの呼吸器感染症に対する臨床効果を検討し, 以下の結果を得た。
    肺炎10例, 急性気道感染症2例, 慢性気道感染症3例の計15例に本剤を使用し, マイコプラズマ肺炎1例, 抗生剤併用例1例を除く13例を効果判定対象とした。臨床効果は著効4例, 有効5例, やや有効4例であり, 有効率は69%であった。検査値異常として, 好酸球の増多が1例にみられた。以上により, 本剤は呼吸器感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
  • 加藤 政仁, 加藤 錠一, 都筑 瑞夫, 林 嘉光, 多代 友紀, 山本 俊幸, 武内 俊彦, 花木 英和, 宇佐美 郁治, 黒木 秀明, ...
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 264-271
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    HAPA-Bについて抗菌力ならびに臨床効果を検討し以下の結果を得た。
    1) 抗菌力: 臨床材料から分離したS. aureus, E. coli, K. pneumoniae, P. mirabilis, P. vulgaris, M. morganii, S. marcescens, P. aenrginesaなどの各種細菌182株について本剤の抗菌力を測定し, 同系のGM, AMK, TOB, DKBと比較した。本剤はS. aureusに対してAMKと同等の抗菌力でGM, DKB, TOB耐性株にも良好な抗菌力を示した。E. coliに対して4剤より2段階程度優れ, K. pneumoniaeに対して4剤と同等の抗菌力を示した。P. mirabilisおよびP. vulgarisに対してAMKと同等の抗菌力で, TOBより前者において1段階劣り, 後者において2段階程度優れたMICを示した。M. morganiiに対しAMKと, S. marcescensに対しGMと同等の抗菌力で, 両方のTOB, DKB耐性株にも良好な抗菌力を示した。P. aemginosaに対してAMKと同等の抗菌力でTOBより2段階, DKBより1段階程度劣るMICであった。
    2) 臨床的検討: 肺炎5例 (マイコプラズマ肺炎1例を含む), 無気肺1例, 慢性気道感染症急性増悪2例, 急性膀胱炎1例, 急性子宮付属器炎1例の計10例に本剤を使用した。臨床効果は著効3例, 有効5例, やや有効1例, 判定不能1例であり有効率は88.9%であった。細菌学的効果は肺炎例で分離されたHaemophilus sp., 急性膀胱炎例で分離されたP. aeruginosaが除菌されたが, びまん性汎細気管支炎例で分離されたP. aemginosaは持続した。本剤投与による副作用および臨床検査値異常は認めなかった。
  • 加藤 眞知子, 鳥飼 勝隆
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 272-276
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症5例, 尿路感染症4例, 化膿性股関節炎1例にHAPA-Bを投与した。投与量は1日400mgで, それを2回に分割, 筋注にて, 8~31日間投与した。その結果, 臨床的効果は呼吸器感染症のうち, 気管支炎1例, 肺炎3例ではやや有効, 肺化膿症1例は有効であった。尿路感染症 (4例全て慢性膀胱炎) では有効1例, やや有効1例, 無効2例であった。さらに, 化膿性股関節炎1例では有効で, 全例における有効率は30%であった。これらの症例のうちHAPA-B単独投与例は5例 (肺炎1例。膀胱炎4例) であり, そのうち有効例は膀胱炎の1例のみであった。少数例に軽度の臨床検査値異常を認めたものの, 自覚症状としての副作用は1例もみられなかった。
  • 澤木 政好, 三笠 桂一, 国松 幹和, 三上 理一郎
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 277-281
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体系抗生物質HAPA-Bを呼吸器感染症7例に投与し, その臨床効果および副作用を検討した。
    疾患の内訳は気管支肺炎5例, 閉塞性肺炎+下気道感染症とびまん性汎細気管支炎各1例で, 全例基礎疾患を認めた。経気管吸引法 (6例) と気管内チューブ (1例) からの起炎菌は, H. influenzae+P. aeruginosa, S. pneumoniae, H. influenzae+α-Streptococcus, P. maltophilia, S. aureus+E. coil +S. dysagalactiae, H. parainfluenzaeH. haemoglobinophilus それぞれ1例づつであった。本剤は1回200mgを1日2回筋注投与し, 投与日数は8~18日であった。
    1) 臨床効果は著効例0, 有効例6, やや有効例1で, 有効率は85.7%であった。
    2) 起炎菌はH. influenzaeの1株を除いてすべて消失した。
    3) 副作用は1例に発熱とGOT, GPTの軽度の上昇を認めたが, 本剤投与中止により改善した。
  • 岡本 緩子, 前原 敬悟, 飯田 夕, 米津 精文, 間瀬 勘史, 神畠 照子, 安永 幸二郎, 上田 良弘, 大久保 滉
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 282-298
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Gentamicin Bの誘導体である新しいアミノ糟系抗生剤HAPA-Bにつき検討した。
    1.臨床分離の諸種菌株に対するHAPA-BのMICとGM, AMK, OFLXのそれとの比較: S. aureusにはGMより劣るが, OFLX, AMKとほぼ同等, E. cloacae, P. mirabilis, P. morganiiにはAMKに近いMICを示した。K. pneumoniae, E. coli, C. freundiiおよびSerratiaではGMとAMKの中間程度, P. vulgarisではAMKより劣り, P. aeruginosaにはOFLXやAMKとほぼ同等なMICを示した。P. aeruginosa以外のグラム陰性菌 (GNB) は一般にOFLXにもっともすぐれた感受性を示した。なお他剤に耐性で本剤によい感受性を示す株がS. aureus, GNBで散見された。
    2.臨床的に評価可能であった10例中, 原因菌不明の感染性ブラおよびP. aeruginosaによる肺化膿症には無効で, K. aerogenesによる慢性気管支炎の急性増悪にやや有効。胆嚢癌を基礎にもつK. aerogenesによる敗血症は本剤8日間の投与で血中菌が消失したが, 胆道感染は中止2日目より再発した。その他の6例 (うち尿路感染5例) にはいずれも有効と判定した。
    副作用検討の対象11例中, 1例 (腎結石に水腎症を伴う) にBUNの一過性上昇を認めた以外, 血液学的・生化学的副作用は見られず, 臨床的副作用はいずれの症例にも認めなかった。
  • 三木 文雄, 生野 善康, 井上 英二, 葭山 稔, 平賀 通, 村田 哲人
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 299-302
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    肺炎2例, 肺癌二次感染1例, 慢性膀胱炎3例, 腎盂腎炎1例, 計7例の患者にHAPA-B1回200mg宛1日2回, 5~22日間筋注した。
    呼吸器感染症3例中有効2例, やや有効1例, 尿路感染症4例中有効2例, 無効2例の臨床効果を認めた。
    HAPA-B投与に伴う自他覚的の副作用は認められなかったが, 1例に好酸球増多, 1例に血清トランスアミナーゼの上昇が認められた。
  • 副島 林造, 二木 芳人, 松島 敏春, 川根 博司, 矢木 晋, 川西 正泰, 安達 倫文, 中浜 力, 渡辺 正俊, 日野 二郎, 岸本 ...
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 303-310
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたアミノ配糖体系抗生物質HAPA-Bについて, 抗菌力, 胸水中濃度など基礎的検討を行ない, さらに呼吸器感染症に対して臨床的検討を行なった。
    S. aureus に対するMICは1.56μg/mlにピークを認め, AMKと同等であったがGM, TOBには3段階程劣っていた。E. coli, Klebsiella spp., Proteus spp., P. aeruginosa, A. calcoaceticus に対する抗菌力もAMKとほぼ同等であり, GM, TOBには1~3段階程度劣る成績であった。しかしS. marcescen: に対しては1.56μg/mlにMICのピークを認めGMと同等の成績であった。
    5例の胸水貯留患者に200mg筋注投与後, 胸水中濃度を測定した結果, 2時間後で3.02~7.88μg/ml (平均5.55μg/ml) であった。
    15例の呼吸器感染症患者を対象に, 1回75~200mg1日2回, 5~10日間使用した結果, 効果判定可能な14例中, 有効8例, やや有効4例, 無効2例で有効率は57.1%であった。
    全例に副作用は認められなかったが, 臨床検査成績では2例に軽度の好酸球増多, 1例に赤血球, 血色素, ヘマトクリットの減少が認められた。
  • 森川 英治, 川本 雅英, 長谷川 健司, 能美 一政, 上綱 昭光, 山木戸 道郎
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 311-314
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    今回, 新しく開発されたアミノ配糖体系抗生物質であるHAPA-Bの有効性と安全性について臨床的検討を行った。
    対象症例は5例であり, 呼吸器感染症4例, 尿路感染症1例に本剤を1日400mg, 6~13日間投与した。呼吸器感染症の内訳は肺炎2例, びまん性汎細気管支炎 (DPB) 1例, 膿胸1例であった。臨床効果としては有効2例, やや有効2例, 無効1例であり有効率は40.0%であった。臨床検査成績では本剤投与後GOT・GPT軽度上昇が1例にみられた。その他, 自他覚的な副作用は認められなかった。
  • 栗村 統, 佐々木 英夫, 金藤 英二, 福原 弘文, 村井 知也, 野崎 公敏, 井芹 晶, 安達 恭祐, 森岡 祐介, 土井 秀之, 河 ...
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 315-322
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    平板稀釈法を用いて臨床分離株に対するHAPA-Bの抗菌力を測定し, GMおよびAMKと比較した。
    グラム陽性菌としてS.aureus, S. epidermidis, α-Stretococcus, β-Streptococcus, S. faecalisを用いた。HAPA-BとAMKはほぼ同様の抗菌力を示し, GMが最もすぐれていたが, S. epidermidisでは一部にGM耐性株がみられた。
    グラム陰性菌としてE. coil, Shigella spp., S. typhi, Salmonella spp., K. pneumoniae, K. oxytoca, Enterobacter spp., C. freundii, S. marcescens, P. vulgaris, P. mirabilis, P. rettgeri, P. morganii, P.inconstans, P. aeruginosa, P. cepacia, P. maltophilia, V. parahaemolyticus, V. alginolyticus, A. calcoaceticus, Flavobacterium spp., Aeromonas spp., H. influenzae を用いた。Enterobacteriaceae に対しては, 3剤ともほぼ同様の抗菌力を示した。P. cepacia, P. maltophilia, Flavobacterium に対する抗菌力は3剤とも弱かった。V. parahaemolyticus, H. influenzae に対してはGMがややすぐれていた。グラム陰性菌に対しても, HAPA-BとAMKの抗菌力にはほとんど差はみられなかった。
    呼吸器感染症4例 (急性肺炎3例, 肺化膿症1例) についてHAPA-Bの臨床効果を検討した。急性肺炎2例に有効であった。
    副作用として1例にAl-P値およびγ-GTP値の上昇がみられた。
  • 田村 正和, 中川 勝, 螺良 英郎
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 323-326
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたアミノグリコシド系抗生剤HAPA-Bを内科領域における感染症8例に使用し, その有効性, 安全性について検討した。
    8例中6例について効果判定を行い, 著効1例, 有効4例, 無効1例の成績を得た。
    副作用, 臨床検査値異常は, いずれの症例においても認めなかった。
  • 澤江 義郎, 岡田 薫, 熊谷 幸雄, 仁保 喜之
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 327-336
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたGentamicin Bの誘導体であるHAPA-Bについて, 基礎的・臨床的検討を行った。
    HAPA-Bの臨床分離菌に対する抗菌力を測定したところ, HAPA-BのMICが12, 5μg/ml以下の占める割合はS. aureus, E. coli K. pneumoniae, K. oxytoca, E. aerogenes, P. mirabilis P. morganii, Citrobacter sp.すべて100%で, E. cloacae 96%, S. marcescens 82%, P. vulgaris 92%, P.aeruginosa 89%であり, その大部分が0.78~3.13μg/mlであった。また, S. marcesnsP. aeruginosaのみに高度耐性株が少数認められた。しかし, S. faecalisでは12.5μg/ml以下のものはなく, 殆んどが高度耐性株であった。これらの抗菌力をAMKと比較すると, HAPA-Bの方がやや優れており, GMとの比較では, GM耐性株にはHAPA-Bの方が優れていたが, GM感受性株ではGMの方が1~2段階優れていた。
    HAPA-Bを肺炎, 気管支炎, 敗血症の各1例と膀胱炎の2例の計5例に, 1日200~600mg, 7~22日間使用したところ, 著効1例, 有効2例, やや有効2例であり, E. coliによる敗血症, E. coli及びP. aeruginosaによる膀胱炎に有効であった。副作用としては何ら認められず, 臨床検査成績にも変動が認められなかった。
  • 鐘ヶ江 秀明, 重松 信昭
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 337-340
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    HAPA-Bを急性あるいは慢性の呼吸器感染症6例に単独使用し, 有効2例, やや有効4例の臨床的効果を得た。
    本剤によると思われる副作用ならびに臨床検査値の異常は認められなかった。
    以上のことから, 本剤は呼吸器感染症の治療に有効性が期待されるものと考えられた。
  • 森 賢治他
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 341-355
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新アミノ配糖体系抗生剤HAPA-Bの基礎的ならびに臨床的検討を行い, 次の結果を得た。
    1. 抗菌力
    各種臨床分離細菌18菌種, 590株についてMIC 2000 (ダイナテック社) を用いたミクロブイヨン希釈法により, GM, AMK, SISOおよび本剤の最小発育阻止濃度を測定した。グラム陽性球菌に対しては, GM, SISOよりやや劣るものの, AMKと同等の抗菌力を示した。腸内細菌群についても, AMKと同様の抗菌スペクトラムが認められた。P. aeruginosaおよびA. anitratusに対する本剤のMIC80は, それぞれ25μg/ml, 1.56μg/mlであった。
    2. 血中および喀痰内移行濃度
    びまん性汎細気管支炎患者に, 本剤200mg筋注投与した場合の血中および喀痰中濃度を検討した。血中最高濃度は, 筋注後30分に, 9.83μg/mlの値を示した。喀痰中濃度の最高値は, 筋注後3~4時間に得られ, その値は0.86μg/mlであった。
    3. 臨床効果および副作用
    呼吸器感染症17例 (慢性気管支炎9, 肺炎6, 慢性気道感染症1, びまん性汎細気管支炎1) に, 本剤を投与したときの有効率は64.7%であった。副作用および臨床検査値の異常は特に認められなかった。
  • 大石 和徳, 吉田 俊昭, 田口 幹雄, 山本 真志, 渡辺 貴和雄, 松本 慶蔵, 山内 壮一郎
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 356-367
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新半合成aminoglycoside 剤HAPA-Bの基礎的・臨床的研究を行ない次の成績を得た。
    呼吸器病原性の明確な臨床分離株に対する本剤のin vitro抗菌力は, H.influenzae, P. aeruginosa, K. pneumoniae, E. coli Eterobacter sp.に対し, Amikacinより優れており, S. aureusでは他の aminoglycoside 剤耐性菌は本剤とAmikacinに交差耐性を示さなかった。また, P. aeruginosaに対し4剣とCefsulodinとのin vitro相乗効果が認められた。臨床例における本剤200mg筋注時の血中濃度はpeak値で9.37μg/mlで, 半減期は2.00時間であった。肺局所分泌物中濃度は0~1.94μg/mlであった。本剤100mg吸入時の血中濃度は測定不能であったが, 喀痰中濃度は245μg/mlであった。臨床効果では, 本剤200mgを1日2回筋注投与を12症例に行ない, 有効以上の有効率50%であった。本剤15~100mgを1日2~3回吸入投与を4症例に行なったが有効率50%であった。またP. aeruginosaによる膿胸症例に対し, 本剤の筋注と, Cefsulodin点滴静注の併用療法を行ない有効であった。本剤を単独投与した16例で副作用はなかった。HAPA-Bは吸入療法, P aeruginosaに対するCefsulodin併用療法の成績より, 臨床的有用性の高い新aminoglycoside剤であると考えられた。
  • 中村 孝, 橋本 伊久雄, 沢田 康夫, 三上 二郎, 戸次 英一, 吉本 正典, 中西 昌美
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 368-380
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    幅広い抗菌力と低い毒性を特長とする新開発のアミノ配糖体系抗生剤HAPA-Bを1回200mg 1日2回筋注にて4~7日間, 胆石を合併する胆嚢炎4例, 虫垂炎による限局性腹膜炎および汎発性腹膜炎各3例, 計10例の治療に使用した。年齢10~72歳, 男女各5例であった。起炎菌は8例より12株が分離され, 106 cells/mlでのMIC 0.39μg/ml (1株のみ6.25μg/ml) のE. coli 8株, MIC0, 78μg/mlのK. pneumoniae 2株, MIC 6.25および12.5μg/mlのS. faecalis 2株を得た。臨床効果は著効4例, 有効6例で, 副作用およびHAPA-Bによると思われる臨床検査値の異常は認められなかった。10例全例の手術に際して術前本剤200mgを筋注し, 術中採取した胆汁, 胆嚢壁, 膿性腹水, 虫垂等への移行をB. subtilis ATCC 6633株を検定菌とするagar well bioassay法にて検索した。HAPA-Bの総胆管胆汁中濃度は平均1.55±0.58μg/ml, 胆嚢胆汁中濃度は平均0, 59±0.43μg/ml, 胆嚢壁内濃度は平均 4.83±1.07μg/gであった。膿性腹水中濃度は平均7.87±5.09μg/ml, 虫垂粘膜内濃度は平均 2.35±1.75μg/g, その他の虫垂壁内濃度は平均 2.85±1.92μg/g, 虫垂内膿汁中濃度は平均 1.63±1.56μg/mlであった。これらのHAPA-B組織内濃度の大部分は起炎菌のHAPA-Bに対するMIC値を上回っており, 臨床効果, 安全性と相俟って, 本剤の胆道系感染症, 急性腹膜炎に対する有用性が裏付けられたといえよう。
  • 中山 一誠, 秋枝 洋三, 川村 弘志, 川口 広, 山地 恵美子
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 381-401
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    HAPA-Bについて基礎的, 臨床的検討を行った。本剤の抗菌スペクトルは, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して幅広いAMKと類似したスペクトルを示した。病巣由来菌に対する感受性分布は, E. coliに対しては, アミノ配糖体系抗生物質の中で最も優れた感受性分布を示したが, S. aureusではAMKと同等, S. epidermidisではAMK, ASTMより1段階優れ, K. pneumoniaeでは, SISO, GM以外の薬剤より優れた感受性成績を示した。E. cloacaeでは, GM, TOB, AMKと同等であり, S.marcescensでも, GMと同等で, その他の薬剤より優れ, P. mirabilisではAMK, ASTMと同等の成績であった。インドール陽性ProteusではASTMと同等, P.aeruginosaではDKB, GM, MCRと同等の成績であった。
    吸収, 排泄に関しては, 本剤200mgを筋注時, Bioassay, HPLC, EIAにより測定した。その結果HPLCによる成績では, 投与後1時間でピークを示し, 平均9.07μg/mlの濃度を示し8時間でも0.87μg/mlであった。尿中濃度は投与後1時間でピークとなり, 平均1141.3μg/mlの濃度を示し, 8時間までの平均尿中回収率は91.18%であった。血清中濃度のデーターを用い薬動力学的検討を行った。Ka (hr-1): 3.35, Kel (hr-1): 0.37, T1/2 (hr): 1.89, Vd (1): 16.7, Tmax (hr): 0.74, Cmax (μg/ml): 9.12, およびAUC (μg・hr/ml): 32.7であった。
    臨床成績は外科感染症8例に使用し有効7例, 無効1例の成績であり, 有効率87-5%であった。副作用に関しては特に問題となる副作用は認められなかった。
  • 由良 二郎, 品川 長夫, 石川 周, 城 義政, 柴田 純孝, 河辺 章夫
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 402-410
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    外科領域において新しいアミノ配糖体系抗生剤であるHAPA-Bについて, 基礎的・臨床的検討を行ない若干の成績を得た。
    1. 抗菌力: 外科病巣分離のS. aureus, E. coli, Klebsiella, P. aeruginosaにおいて本剤はGM耐性菌に対しても有効な抗菌力を示し, S. aureus, P. aeruginosaではAMKと同等の, E. coli, KlebsiellaではAMKより1管優れた抗菌力を示した。
    2.胆汁中移行: 臨床例3例において本剤200mg筋注投与時の胆汁中濃度は3例平均で, ピーク値5.1μg/mlを示し, 血中ピーク値の約1/3の値であった。本剤は胆汁中低濃度移行群と考えられた。
    3. 臨床使用成績: 外科領域感染症12例に本剤を使用し, その臨床効果は著効2例, 有効6例, 無効3例, 不明1例で有効率72.7%であった。
    副作用においては, 特に本剤による自他覚的なものは全例に認めなかった。また臨床検査値の変動においては, 2例に本剤との関係があるかもしれないGOT, GPTなどの上昇を認めたが, 特に重篤なものではなかった。
  • 上田 隆美, 酒井 克治, 藤本 幹夫, 前田 貞邦, 土居 進, 光吉 聖, 澤田 晃, 松本 敬之助, 森本 譲
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 411-419
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいアミノ配糖体系抗生剤HAPA-Bを外科領域の感染症に使用するとともに, 本剤の病巣分離株に対する抗菌力を測定した。
    まず, 本剤の抗菌力は, E. coliに対してGentamicin (GM) より優れており, Klebsiella, Enterobacter, Serratia, P. aeruginosaに対してはGMとほぼ同等であった。
    次に, 外科領域感染症21例に本剤を使用した。その結果, 腹膜炎3例中有効2例, 無効1例, 術後腹腔内感染2例はともに無効, 創感染2例中著効1例, 有効1例, 膿瘍8例中著効2例, 有効6例, 術後胸腔内感染1例は不明, 術後胆管炎1例は有効で, 敗血症および敗血症疑い3例中著効1例, 有効1例, やや有効1例, 蜂巣炎1例は著効であり, その有効率は80.0%となった。
    一方, 副作用としては発疹が1例, 脱力感および耳鳴増強が1例にみられた。臨床検査値異常は, 発疹出現例での好酸球増多と, 1例にGOT, GPT値の上昇を認めたが, いずれも軽度であった。
  • 太田 潤, 奥山 也寸志, 田口 鐵男, 奥村 堯, 山口 晃, 冨田 和義, 松永 征一, 伊藤 篤, 山西 博
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 420-428
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新合成アミノ配糖体系抗生剤HAPA-Bの外科領域感染症20例に対する臨床的検討を行った。
    浅在性化膿性疾患11例 (感染性巨大粉瘤1例, 肛門周囲膿瘍7例, 術後創部感染3例), 腹腔内感染症7例 (穿孔性虫垂炎による限局性腹模炎4例, 術後腹腔内膿瘍2例, 直腸切断術後会陰部死腔感染1例), 胆道感染症2例に対して本剤を1回200mg, 1日2回筋肉内投与した。
    臨床的には, 著効2例, 有効12例, やや有効2例, 無効4例で有効率70.0%を示した。
    細菌学的には投与前後に検査を実施した16例でみると, E. coli7株中6株 (85.7%), S. ameus 2株中2株 (100%), E. faecalis 4株中4株 (100%) 等の菌消失がみられた。
    副作用では, 1例に軽度の発疹がみられたが, 本剤投与中止により1日で軽快した。また本剤に起因すると思われる臨床検査値異常は, 観察されなかった。
    以上より, 本剤は外科領域感染症に対して, 有用性があると考えられた。
  • 横山 隆, 三好 信和, 市川 徹, 児玉 節
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 429-435
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    外科領域において新しいアミノ配糖体系抗生剤であるHAPA-Bについて基礎的臨床的検討を行い, 次の結果を得た。
    1. 抗菌力
    S. aureus, S. ebidermidis, E. coli, K. pneumoniae, E. cloacaeに対して良好な抗菌力を示し, P. aeruginosa, M. morganii, Acinetobacterに対しても比較的良好な抗菌力を示した。全般的にはAMKよりやや良好又はほぼ同等の抗菌力であり, GMよりやや劣っていた。しかし, GM耐性菌の一部にも抗菌力を有していた。
    2. 臨床
    外科的感染症8例に本剤を1日2回, 1回200mg筋注する事により, 著効1例, 有効5例, 無効2例, 有効率75%の成績を得た。又副作用として特記すべきものは認めなかった。
  • 山本 博, 志村 秀彦
    1985 年 33 巻 Supplement5 号 p. 436-440
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    米国シェリング社で開発されたGentamicin Bの誘導体であるHAPA-Bを6例の外科的感染症に使用し有効5例, やや有効1例, 有効率83, 3%の成績が得られた。細菌学的検査で細菌を検出したのは5例で本剤投与によりcoagulase negative Staphylococcus 1株, α-Streptococcus1株, γ-Streptococcus1株, S. faecalis1株, K. pneumoniae 2株. E. aerogenes 1株, Enterobacter1株, P. aeruginosa1株の9株が除菌され, P. aeruginosa3株では菌数の減少をみとめた。特記すべき副作用はなく, また本剤によると思われる臨床検査値の異常もなかった。
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