新しいアミノ配糖体系抗生物質Astromicin (ASTM) の呼吸器感染症に対する有効性と安全性を客観的に評価する目的で, Amikacin (AMK) を対照薬としてwell controlled studyにより比較検討を行なった。
投与法は両薬剤とも1回200mg (力価) を1日2回, 14日間筋注とし, 以下の成績を得た。
1. 小委員会判定による総合臨床効果は, ASTM群で70.5%(78例中55例), AMK群で75.7%(74例中56例) の有効率を示し, 両薬剤群間に有意な差は認められなかった。一方, 主治医判定においても, ASTM群で66.3%(83例中55例), AMK群で67.5%(77例中52例) の有効率で, 両薬剤群間に有意な差は認められなかった。
2. 細菌学的効果を小委員会判定による起炎菌別消失率でみると, グラム陽性球菌においてはASTM群で66.7%(6例中4例), AMK群で70.0%(10例中7例) で, 有意な差は認められなかったが, グラム陰性桿菌においては, ASTM群で76.5%(17例中13例), AMK群で31.6%(19例中6例) と有意な差が認められた (P<0.01)。
3. 副作用あるいは臨床検査値異常の発現率には両薬剤群間に有意な差は認められなかった。
4. 臨床的有用性は, 小委員会判定ではASTM群で70.5%(78例中55例), AMK群で74.3%(74例中55例), 主治医判定ではASTM群で66.3%(83例中55例), AMK群で67.5%(77例中52例) の症例で認められ, いずれの判定においても両薬剤群間に有意な差は認められなかった。
以上のように呼吸器感染症に対するASTMの有効性と安全性を総合的に評価すると, 本剤はAMKと同用量で同等の成績を示し, 有用性の高い薬剤であると考えられた。
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