CHEMOTHERAPY
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42 巻, 1 号
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  • 斎藤 肇, 冨岡 治明, 佐藤 勝昌
    1994 年 42 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ニューキノロンOPC-17116のin vitro抗マイコパクテリア活性を検討した。7H11寒天平板を用いた寒天希釈法によるOPC-17116の諸種抗酸菌に対するMIC90は次のようであった。Mycobacterium tuberculosis 0.78 μg/ml, Mycobacterium kansasii 25 μg/ml, Mycobacterium marinum 100 μ/ml, Mycobacterium scrofulaceum > 100 μg/ml, Mycobacterium avium 12.5μg/ml, Mycobacterium intracellulare 12.5 μg/ml, Mycobacterium fortuitum 25 μg/ml, Mycobacterium chelonae subsp. abscessus > 100 μg/ml, Mycobacterium chelonae subsp. chelonae 100 μg/ml. M. tuberculosis に対するOPC-17116の抗菌活性はneroxacinの2~4倍高く, ofloxacinならびにcipronoxacinのそれに匹敵したが, sparnoxacinよりも4倍低かった。M. avium complexに対しては, OPC-17116はofloxacinならびにneroxacinよりも4倍高い抗菌活性を示し, ciprogloxacinとsparnoxacinのそれに匹敵した。マウス腹腔マクロファージ内被貧食M.tubermlosisあるいはM.intraceellulareに対するOPC-17116の抗菌活性はofloxacinにおけるよりも若干高かった。OPC-17116は, ofloxacinと比較した場合, M.tuberculosisならびにM.avium compiex以外の抗酸菌に対しては低いin vitro活性を示した。
  • 金光 敬二, 堀 誠治, 柳川 明, 嶋田 甚五郎
    1994 年 42 巻 1 号 p. 6-13
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    キノロン薬と鉄剤の併用投与によりキノロン薬の吸収低下が起こることが報告されている。今回, 我々は大日本製薬 (株) で開発されたsparnoxacin (SPFX) と鉄剤併用投与時のSPFXの薬物動態について, ラットおよび健常人を対象に既存のニューキノロン薬 (levofloxacin: LVFX, ofloxacin: OFLX, norfloxacin: NFLX) と比較検討した。
    1.ラットでの成績
    各ニューキノロン薬20mg/kgと鉄剤100mg/kg併用投与時のCmaxおよびAUC0-∞の減少率は, SPFXで38%と27%であり, OFLX (それぞれ63%と43%), LVFX (62%と49%) およびNFLX (87%と74%) に比較し, SPFXの減少率がもっとも小さかった.また, ラット空腸ループからの吸収量は鉄剤併用投与により, SPFXで35%, OFLX53%, LVFXで45%, NFLXで97%減少した。
    2.健常人での成績
    SPFXおよびNFLX各200mgとFeSO4525mg併用投与時のCmax, AUC0-∞ および尿中回収率の減少率は, SPFXで46%, 28%, 27%, NFLXで82%, 51%, 78%であり.鉄剤併用投与の影呼はSPFXの方が少なかった。
    以上, 鉄剤との併用投与によるSPFXの吸収に対する影響は比較的少なく, 治療効果に大きな影響は与えないと考えられるが, 他のニューキノロン薬と同様SPFXにおいても吸収阻害に留意する必要があろう。
  • 飯沢 祐史, 北本 直美, 中尾 雅文, 小此木 研二
    1994 年 42 巻 1 号 p. 14-18
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    メチシリン耐性Staphylococcus aureus (MRSA) とPseudomonas aeruginosaの混合感染に対する有効な治療方法を見いだすことを目的として, S.aureusに有効なvancomycin (VCM) とP.aeruginosaに有効なcefsulodin (CFS) またはcarumonam (CRMN) との併用療法をマウス全身感染系を用いて検討した。MRSAであるN133およびP.aeruginosa P9の単独培養に対するVCMとCFSのin vitro併用効果を調べたところ, S.aureus N133に対してFICindex0.5の相乗作用が認められた。両菌の混合培養に対しても, 両剤は優れた併用効果を示した。また, マウス全身感染症に対する防御効果においてVCMとCFSは, S.aureusN133およびP.aeruginosa P9各単独感染に対して相加作用を示した。さらにN133とP9の混合全身感染症に対してVCM単独は無効であったが, CFSは単独で防御効果 (ED50, 23.0mg/kg) を示し, VCml.2mg/kgを併用するとCFSのED50は9.5mg/kgに減少した。同様に混合全身感染症に対するVCMとCRMNの併用効果を調べたところ, 各単独では200mg/kgでも無効であったが, 両剤の7mg/kg程度の併用により防御効果が認められた。以上の結果から, MRSAとP.aeruginosaの混合感染に対してVCMとCFS, またはVCMとCRMNの併用療法が有効な治療方法の一つとなり得ることが示唆された。
  • 喀痰由来のMRSAおよび緑膿菌に対するarbekacinとcefuzonamのin vitro併用効果
    渡辺 彰, 庄司 聡, 樋口 徹, 井上 松久
    1994 年 42 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    喀痰由来のMRSA 51株と緑膿菌15株に対するarbekacin (ABK) とcefuzonam (CZON) の抗菌力およびin vitro併用効果を他薬剤と比較した。MRSAに対する抗菌力はvancomycin (VCM), ABK, minocycline (MINO), imipenem (IPM), CZON, fosfomycin (FOM), methiciilinの順に強かった。緑膿菌にはIPM, cefsulodinとceftazidime, aztreonam, ceftizoxime, piperacillin, CZONの順に強かった。MRSAに対するin vitro併用の検討でABK+CZONおよびVCM+CZONの組合わせは相乗作用を, ABK+MINOおよびVCM+MINOの併用は拮抗作用を示した。一方, 緑膿菌に対するin vitro併用の検討でCZONに対するABK, VCM, IPM, FOMの併用はいずれも相乗作用を示した。増殖曲線の検討ではABKとCZONの1 MIC以下の併用でMRSAと緑膿菌の各々単独培養系および混合培養系の双方に対して十分な併用殺菌効果を得た。以上より, 薬剤移行が不十分でMRSAと緑膿菌の複数菌感染が多い呼吸器領域等に対するABKとCZON併用の有用性が示唆される。
  • MRSAによる呼吸器感染症に対するarbekacinとcefuzonam併用の臨床試験
    渡辺 彰他
    1994 年 42 巻 1 号 p. 26-36
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    MRSAによる呼吸器感染症27例, 敗血症2例の計29例にarbekacin (ABK) 200mg/日とcefuzonam (CZON) 29/日を平均14.5日間併用投与して臨床効果, 細菌学的効果, 体内動態および分離MRSAに対するin vitro併用効果を検討した。診断名は肺炎19, 肺癌+感染4, 慢性気道感染症4, 敗血症2である。全例が基礎疾患を有し, 呼吸器17, 脳血管障害・意識障害11, 他4である (のべ)。MRSA単独分離は20例, 緑膿菌等他菌種との複数分離が9例を数えた。臨床効果は著効2例, 有効22例, やや有効2例, 無効3例であり, 有効率は83%であった。細菌学的には消失12, 減少10, 不変7であり, 分離MRSAに対する両剤併用の平均FIC係数は0.53であった。ABK, CZON共に点滴終了時に血中濃度ピーク (8.2, 45.7μg/ml) があり, 半減期130分と77分で漸減した。分離MRSAの起炎性が不明確で判定から除いた8例を含む37例で安全性を検討した。下痢を1例に認めたが試験終了後消失した。臨床検査値異常は10例 (27%) に見られ, 好酸球数増多4件, γ-GTP上昇3件, BUN・s-Cr上昇2件, GOT上昇2件等であるが, 投与終了後に改善した。基礎疾患重篤例が多いために臨検値異常が多いと考える。MRSAによる感染症に対するABK+CZONの併用は有用な化学療法と考えられた。
  • 中村 俊夫
    1994 年 42 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    血清学的にマイコプラズマ肺炎と診断された11症例に対し, 新しいマクロライド系抗生物質roxithromycin1錠150mg (力価) を1日2回投与し, 本剤の有効性と安全性について検討した。全例において臨床症状と臨床検査値の改善が得られ, 胸部レントゲン写真上の浸潤影も著明な吸収が認められた。また, 治療前に37℃ 以上の発熱を全例に認めたが, 9例は3日以内に解熱し, 残りの2例も14日以内に平熱化した。臨床効果は, 著効が9例, 有効が2例で, 有効率は100%(11/11) であった。安全性については, 発疹とGOTおよびGPT上昇の臨床検査値異常が同一症例において認められたが, いずれも程度は軽く一過性のものであった。以上より本剤は臨床的検討によりマイコプラズマ肺炎に対してきわめて有用な抗生剤であると考えられた。
  • 加藤 研一, 奥田 和之, 上殿 泰成, 石倉 宏恭, 武山 直志, 田中 孝也
    1994 年 42 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Methicillin resistant Staphyhcoccus aureus (MRSA) に対するβ-ラクタム剤と塩化リゾチームの併用効果, および鼻腔定着MRSAに対する塩化リゾチームの有用性について検討を行った。
    (1) 臨床分離されたMRSAとmethicillin sensitive Staphylococcus aureus (MSSA) を用い, 塩化リゾチームとcefazolin, ceftizoxime (CZX), latamoxef, flomoxefとの併用効果をcheckerboard法により比較検討を行ったところ, MRSAに強い相乗効果を認めた。
    (2) リゾチームのMRSAに対する定着阻止効果を, マンニット食塩寒天培にCZX単独添加培地と, CZXと塩化リゾチームの併用添加培地を作成し, 集中治療室内の落下細菌として定着するMRSA菌株数で比較した。併用添加培地ではMRSAの検出は半数以下であり・β-lactam剤が投与されている患者でリゾチームのMRSA定着阻止効果が示唆された。
    3) 臨床症例において塩化リゾチームの噴霧により, 鼻腔前庭では8例中7例において減少もしくは消失が認められたが, 口腔では減少は認められなかった。MRSA以外の菌種で, 塩化リゾチームの噴霧により減少を認めたのは, CNSで6例中2例, Pseudomnasで5例中1例のみであり, リゾチームの効果はMRSAに特異的であることが示されたが, 投与抗菌剤との併用効果だけでなく, 生体では他の免疫機構との協力作用なども考えられた。
  • MRSA感染予防効果について
    草地 信也, 炭山 嘉伸, 栗田 実, 川井 邦彦, 岡本 康, 有馬 陽一, 青柳 健, 吉田 祐一, 樋口 徹, 井上 松久
    1994 年 42 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    交叉感染対策と術後感染予防の抗菌剤の手術臓器別指定によるMRSA感染対策の結果, 術後早期からMRSAが分離される機会は減少した。しかし, 術後感染が発症し, その治療の目的でさまざまな抗菌剤が投与され, その後にMRSAが分離されることが問題となった。今回, 術後感染症例をグラム陰性桿菌と黄色ブドウ球菌に抗菌力を有するcefuzonam (CZON) で治療し, 良好な臨床的効果と, MRSA感染の予防効果が得られた。対象症例34例の原疾患は胃癌18例, 大腸癌16例で, 胃癌症例の感染部位は, 縫合不全による腹腔内膿瘍8例, 呼吸器感染5例, ドレーン感染3例, 創感染2例であった。大腸癌症例の感染部位は, 骨盤膿瘍9例, 創感染4例, 尿路感染2例, ドレーン感染1例であった。術後感染症例で抗菌剤の投与時期と分離菌の変化をみると, 術後感染に対してCZONを投与している間はMRSAは分離されていなかった。しかし, CZONの無効例でBacteroides fragilisが分離され, その治療目的でpiperacillinとclindamycinを投与した症例でMRSAが分離された。CZON投与前の分離菌はEscherichia coli 27.5%, Klebsiella spp.21.6%, Enterococcus spp.13.7%, Enterobuter cloacae 11.8%, Pseudomonas aeruginosa 7.8%などであった。CZONの治療効果は著効15例, 有効12例, やや有効1例, 無効6例で有効率79.4%(15+12/34) であった。無効例からP.aeruginosa5株, B.fragilis 4株, Enterococcus spp., Serrata, Citrobacter, E.cloacae, Morganella morganii各々1株が分離されたが, MRSAは分離されなかった。CZONの無効例でもMRSA感染はみられず, 次の治療薬剤の選択が容易であった。これらのことから, CZONは消化器術後感染治療の薬剤として有用であると考える。
  • 斎藤 厚他
    1994 年 42 巻 1 号 p. 53-69
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規経口用ペネム系抗生物質SY5555の細菌性肺炎に対する臨床至適用量を検討する目的で, cefotiam hexetil (CTM-HE) を対照薬として無作為割付けによる群聞比較試験を行った。SY5555は1回200mg (L群) または300mg (H群) を, CTM-HEは1回200mg (C群) を, 1日3回, 原則として14日間投与し, 以下の成績を得た。
    1) 臨床効果: 有効率はL群88.9%(24/27), H群82.6%(19/23) およびC群78.3%(18/23) であった。
    2) 細菌学的効果: 細菌の消失率はL群57.1%(4/7), H群81.8%(9/11) およびC群75.0%(6/8) であった。
    3) 副作用: 発現率はL群18.8% (6/32), H群6.9%(2/29) およびC群0%(0/28) であったが, いずれも重篤なものは認められなかった。主たる副作用は消化器症状であった。
    4) 臨床検査値異常: すべて軽度なものであり, 発現率はL群13.8%(4/29), H群21.4%(6/28) およびC群14.8%(4/27) であった。
    5) 有用性;有用率はL群75.9%(22/29), H群82.6%(19/23) およびC群78.3%(18/23) であった。
    以上の成績から, 細菌性肺炎に対するSY5555の臨床用量は1回300mg, 1日3回投与が至適投与量と考えられた。
  • 荒川 創一, 守殿 貞夫, 坂 義人, 河田 幸道, 公文 裕巳, 大森 弘之, 松本 哲朗, 熊澤 淨一, 片岡 陳正, 小川 暢也
    1994 年 42 巻 1 号 p. 70-87
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    複雑性尿路感染症に対する新規経口ペネム系抗菌薬SY 5555の臨床用量を検討する目的でcefotiamhexetil (CTM-HE) を対照薬とした比較試験を行った。対象疾患はUTI薬効評価基準 (第3版) (以下「UTI基準」と略す) に規定される複雑性尿路感染症で, カテーテル留腫症例, 緑膿菌および真菌感染症例は有効性の解析対象から除いた。SY 5555投与量は1日600mg分3 (SY 5555-600群) および900mg分3 (SY 5555-900群), CTM-HEは1日600mg分3 (CTM-HE群) で7日間連日投与した。UTI基準に従い3群間の臨床効果を比較した。臨床効果の比較対象としたSY 5555-600群32例, SY 5555-900群25例およびCTM-HE群の24例について背景因子を検討した結果, 3群間に有意差は認められなかった。総合臨床効果はSY 5555-600群で87.5%(28/32), SY 5555-900群で88.0%(22/25) およびCTM-HE群で75.0%(18/24) の有効率であり, 3群間に有意差は認められなかった。細菌学的効果はSY 5555-600群で97.6%(40/41), SY 5555-900群で90.6%(29/32), CTM-HE群で93.3%(28/30) の菌消失率であり, 3群間に有意差は認められなかった。主治医による臨床効果はSY 5555-600群で65.6%(21/32), SY 5555-900群で84.0%(21/25), CTM-HE群で75.0%(18/24) であり, 3群間に有意差は認められなかった。副作用はSY 5555-600群では認められず, SY 5555-900群で2.6%(1/38), CTM-HE群で5.7%(2/35) に, 臨床検査値異常変動はSY 5555-600群で7.3%(3/41), SY 5555-900群で5.6%(2/36), CTM-HE群で9.4%(3/32) に発現したが, いずれも3群間に差は認められなかった。SY 5555-600群とSY 5555-900群とのUTI基準による総合臨床効果は同程度であったが, 著効率でSY 5555-900群がもっとも優れ, 主治医判定でもSY 5555-900群がやや優れ, CTM-HE群に比べても同等以上の成績が得られた。これらの結果から, 複雑性尿路感染症に対するSY 5555の臨床用量は, 1回300mg, 1日3回が妥当であると考えられた。
  • 1994 年 42 巻 1 号 p. 88-123
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 42 巻 1 号 p. 123-128
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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