浅在性皮膚化膿性疾患に対する新しいセフェム系経口抗生物質BMY-28100の有効性, 安全性および有用性を客観的に評価するため, cefaclor (以下CCL) を比較対照薬とした二重盲検比較試験を実施した。1日投与量は両薬剤群とも750mg (分3) とし, 第I-IVおよび第VI群は7日間, 第V群は10日間連続投与とした。総投与例数は252例 (両薬剤群共126例) であったが, そのうち解析対象症例数は, 臨床効果については227例 (BMY-28100群116例, CCL群111例), 概括安全度については245例 (BMY-28100群121例, CCL群124例), 有用性については227例 (BMY-28100群116例, CCL群111例) であり, 以下の成績を得た.
1. 臨床効果はBMY-28100群81.9%(95/116), CCL群82.9%(92/111) の有効率を (有効以上) 示し, 両薬剤群間に有意差は認められなかった。また, 疾患群別臨床効果では, 第1群でBMY-28100群が著効率において有意に優れていた。
2. 細菌学的効果は全体ではBMY-28100群86.3%(63/73), CCL群79.3%(46/58) の菌消失率を示し, 両薬剤群間に有意差は認められなかったが,
Staphylococcus aureus 感染例においてBMY-28100群は95.8%(23/24) とCCL群66.7%(8/12) に比し, 有意に優れていた。
3. 副作用はBMY-28100群121例中4例 (3.3%), CCL群124例中3例 (2.4%) に見られたが, 発現率には両薬剤群間に有意差は認められなかった。臨床検査値の異常はBNIY-28100群2.9%(3/105), CCL群8.6%(9/105) に見られたが両薬剤群間に有意差は認められなかった。また, 副作用および臨床検査値の異常を考慮した概括安全度はBMY28100群90.1%(109/121), CCL群89.5%(111/124) の安全率 (安全のみ) を示し, 両薬剤群間に有意差は認められなかった。
4. 臨床効果および安全性を考慮して判定した有用性はBMY-28100群81.9%(95/116), CCL群80.2%(89/111) の有用率 (有用以上) を示し, 両薬剤群間に有意差は認められなかった。
以上の成績より, BMY-28100はCCLと同等の効果が期待でき, 浅在性皮膚化膿性疾患の治療薬として安全性の高い有用性のある薬剤と考えられた。
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