CHEMOTHERAPY
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40 巻, 5 号
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  • 永田 弘, 東山 伊佐夫, 近藤 理枝, 小松 良英
    1992 年 40 巻 5 号 p. 581-591
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    グリコペプタイド系抗生物質vancomycinの抗菌スペクトル, 臨床分離株 (13菌種, 802株) に対するMIC, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対するMBCと生菌数におよぼす影響等を測定し, 対照薬 (amoxicillin, cefazolin, flomoxef, imipenem, minocyclineおよびofioxacin) と比較した。その結果, 本剤はグラム陽性細菌にのみ有効で広範囲なグラム陽性細菌 (ブドウ球菌, 連鎖球菌, 腸球菌およびグラム陽性の嫌気性菌等) の臨床分離株に0.05~12.5μg/mlのMICを示し, 幾何平均MIC値は, 0.17~1.55μg/ml, MIC90値は, 0.39~3.13μg/mlを与え, 総じて優れたin vitro抗菌力を示した。特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を始めとする各種の薬剤耐性株に強い抗菌力を維持しており, その上メチシリン耐性黄色ブドウ球菌にMIC値に近似したMBC値を保ち, 殺菌速度は遅いがflomoxefやimipenemより明らかに強い殺菌力を示し, 耐性化しにくいことも判明した。欧米で問題化しているPlasmidが介在する本剤への高度耐性化の兆しは我が国ではまだ認められなく, 腸球菌の一部でMICが6.25~12.5μg/ml程度の低度耐性株が少数検出されるに留まっていた。
  • 高橋 綾子, 四方田 幸恵, 小林 功, 大久保 豊司, 岡本 了一, 井上 松久
    1992 年 40 巻 5 号 p. 592-597
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-ラクタマーゼ測定法の中のヨード・デンプン法, β-チェック, β-ラクタムリェージェント・ディスク, セフィナーゼおよびUV法を用い測定法の面からStaphylococcus aureusのβ-ラクタマーゼ検出法について検討した。
    1. β-ラクタマーゼチェック, β-ラクタムリェージェント・ディスクによりβ-ラクタマーゼが陰性と判定された
    S. aureusの中にはceftizoximeで誘導することにより陽性と変化するものが認められた。しかしヨード・デンプン法では酵素の非誘導条件下でもその検出が可能であった。
    2. セフィナーゼはS. aureusMS 353等のβ-ラクタマーゼ非産生株までも陽性と判定された。
    3. S.amusのPCase活性既知株を用いβ-ラクタマーゼ測定法の感度を調べた結果ヨード・デンプン法, セフィナーゼでは0.01 U/mg protein以上の酵素活性をもつ菌株, β-ラクタムリェージェント・ディスクは0.07 U/mg protein以上, β-チェックは0.09 U/mg protein以上の酵素活性をもつ菌株からβ-ラクタマーゼの検出が可能であった。
  • その相互作用の程度に基づく分類法について
    二木 芳人, 橋口 浩二, 木村 雅司, 沖本 二郎, 副島 林造
    1992 年 40 巻 5 号 p. 598-601
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    13種のquinolone薬について, 健康成人ボランティアを用い, 経口徐放性theophylline (TP) 製剤との併用時のTP血中濃度におよぼす影響を検討した。その成績に基づいて, TP血中濃度におよぼす影響の程度からquinolone薬を3群に分類した。I群は併用5日目のTP濃度を, Cmax, AUCで40%以上上昇させるものでpipemidic acidとenoxacinが含まれ, II群は同じく15~39%のTP血中濃度上昇を示したもので, これにはpefloxacin, cipronoxacin, tosufloxacin, OPC-17116が分類された。III群はTP血中濃度に影響しない薬剤でofloxacin, norfloxacinなど7薬剤であった。
  • 道浦 準
    1992 年 40 巻 5 号 p. 602-612
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Acidimetry法を応用して腹水中β-lactamase活性を定量的に測定し, 化膿性腹膜炎を中心とした外科感染症42例の腹水中β-lactamase活性を測定した結果,
    1) β-lactamase産生菌を含む腹水中のpenicillinase (PCase) およびcephalosporinase (CSase) は, β-lactamase産生菌を含まない腹水と比較して有意に高い活性を示した。
    2) 感染後96時間を超えると腹水中CSase活性が有意に上昇した。
    3) β-lactam剤を全身投与された症例における腹水では, CSase活性が高い傾向を示した。
    4) β-lactamase活性は, 分離菌のβ-lactamase産生性や治療効果とよく相関して変動した。
    5) In vitroにおいて, β-lactamase活性は, 腹水中でもβ-lactamase阻害剤 (sulbactam: SBT) の添加によって阻害された。
  • 原 耕平他
    1992 年 40 巻 5 号 p. 613-637
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    慢性気道感染症に対するpanipenem/betamipron (以下PAPM/BP) の有効性, 安全性および有用性を客観的に評価する目的で, imipenem/cilastatin sodium (以下IPM/CS) を対照薬とした比較試験を実施し, 以下の成績を得た。投与量はPAPM/BP1日1.0g/1.0g (分2), またはIPM/CS1日1.0g/1.0g (分2) とし, 投与期間は原則として14日間とした。
    1) 臨床効果: 小委員会判定による有効率は, PAPM/BP群81.3%, IPM/CS群81.7%で, 両群間に有意差は認められなかった。また主治医判定による有効率はPAPM/BP群84.0%, IPM/CS群87.3%で, 両群間に有意差は認められなかった。
    2) 細菌学的効果: 菌消失率は, PAPM/BP群76.7%, IPM/CS群74.4%で, 両群間に有意差は認められなかった。
    3) 副作用・臨床検査値異常: 副作用発現率は, PAPM/BP群で2.5%, IPM/CS群で5.1%, 臨床検査値異常はそれぞれ28.8%と29.0%に認められたが, 重篤なものはなく, 両群間に有意差は認められなかった。
    4) 有用性: 小委員会判定による有用率は, PAPM/BP群で80.0%, IPM/CS群で78.9%であり, 両群間に有意差は認められなかった。また主治医判定による有用率は, PAPM/BP群81.3%, IPM/CS群84.5%で, 両群間に有意差は認められなかった。
    以上の成績より, 慢性気道感染症の治療におけるPAPM/BP1日1.0g/1.0gの投与は, IPM/CS1日1.0g/1.0gの投与と同様に, 臨床的に有用性があることが確認された。
  • 河野 茂他
    1992 年 40 巻 5 号 p. 638-646
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    主に中枢神経系および呼吸器系に基礎疾患を有する患者に合併した深在性真菌症63例にmiconazoleを1回400mg, 1日1~3回点滴静注した。平均投与期間は20.1±12.2日であった。真菌症確定群では, 真菌学的効果は18例中9例 (消失率50%) にみられ, 中でもカンジダ血症では9例中6例 (66.7%) にカンジダの消失が見られた。総合臨床効果は21例中13例に有効以上 (有効率61.9%) が見られ, 特にカンジダ血症では10例中9例 (90%) が有効以上であった。副作用は63例中11例 (17.5%) で, このうちの10例に消化器症状がみられ, 臨床検査値異常では63例中6例 (9.5%), うち3例に肝機能異常が見られた。なお, 補助診断として施行した血清学的検査法では, 真菌症確定群のうち, カンジダ血症で, エンドトキシンテストDとエンドスペシーの差を真菌指数, すなわちβ-グルカンとした場合, 60pg/ml以上は11例中7例 (63.6%) であった。また, AND-TECでは4倍以上は10例中7例 (70%) であった。マンナン抗原陽性は10例中6例であったが, D-アラビニトール/クレアチニン比が2.0以上は7例中2例にしか見られなかった。肺アスペルギルス症では, アスペルギルス抗体が4例中3例に, 肺クリプトコックス症では葵膜抗原が4例中3例に陽性であった。以上のように, 血清学的診断法も数種類の診断法を組み合わせて用いれば, 補助診断法として深在性真菌症の早期発見に有用であろうと考えられた。
  • Quality of lifeからの観点も含めて
    三笠 桂一他
    1992 年 40 巻 5 号 p. 647-653
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    緑膿菌性慢性下気道感染症に対するerythromycin (EM) 長期治療の有用性を検討した。対象は通年性に多量の膿性喀痰と労作時呼吸困難とを訴え, PaO2の低下を認め, TTAにてPseudomonas aeruginosaを検出した症例で, 方法はEMstearateを600~1, 200mg/日を分3で食後経口投与した。投与期間は8か月から6年8か月であった。EM治療前からP.aeruginosaを検出し最終観察時に投与を継続していた9例では有効率は89% (8/9例) であったが, 除菌率は11% (1/9例) であった。Quality of lifeは著明改善4例, 改善3例、やや改善2例であった。EM治療中にP.aeruginosaに菌交代した5症例では菌交代時に他の抗菌薬投与がなされており, 菌交代後も3例に有効であった。P. aeruginosa感染例でEM治療中に死亡した4例中3例は合併症 (肺癌, 心筋梗塞, 心不全) で死亡するまでは有効であった。1例は肺化膿症を合併し呼吸不全により死亡した。長期投与による副作用等は認めなかった。以上より緑膿菌性慢性下気道感染症に対するEM長期治療の有用性が示唆された。
  • 多施設共同研究
    島田 馨他
    1992 年 40 巻 5 号 p. 654-672
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    MRSA感染症およびMRSA感染症と疑われる症例66例を対象とし, imipenem/cilastatin sodium (IPM/CS): cefotiam hydrochloride (CTM)=1g (IPMとして): 4g (1日投与量, 分2) の両剤同時または時間差による点滴静注投与を行い, 有効性と安全性の検討を行った。
    1) 併用投与直前に分離されたMRSA 48株のIPM, CTM単独および併用時のMICはそれぞれ, 単独時1.56~200μg/ml, 12.5~1, 600μg/ml, 併用時0.025~25μg/ml, 3.13~800μg/mlで, min. FIC indexは平均0, 217であった。
    2) 細菌学的効果は, 消失23例, 減少10例。不変12例, 菌交代6例, 不明2例で, 消失率は56.9% (29/51) であった。
    3) 複数菌感染例におけるMRSA以外の分離菌の消長は, 19株中15株消失で, 消失率は78.9%であった。また緑膿菌では10株中7株消失で, 消失率は70.0%であった。
    4) 臨床効果は, 肺炎25例を含む呼吸器感染症29例, 創感染15例, 熱傷感染2例, 腹腔内感染2例, 皮下膿瘍2例, 骨盤内感染, 尿路感染症, 敗血症各1例で検討し, 著効13例, 有効28例, やや有効10例, 無効2例で, 有効率は77.4% (41/53) であった。
    5) 総合臨床効果は, 著効11例, 有効28例, 無効12例で, 有効率は76.5% (39/51) であった。
    6) 投与法別の総合臨床効果は, 両剤同時投与および時間差投与で有効に差はなかった。
    7) MRSAのコアグラーゼ型別はII型23株, III型16株, I V型3株, VII型6株で, 施設地域による型別の片寄りはみられなかった。コアグラーゼ型別の総合臨床効果は, 統計学的に有為な差が認められなかった。
    8) 副作用は, 悪心, 悪心・嘔吐, 嘔気, 下痢, 各1例で, 発現率は6.1% (4/66), 臨床検査値異常は, 肝機能検査値異常8例で, 発現率は12.1% (8/66) であった。これらはすべて一過性で重篤なものはなかった。
    以上の成績から, 単独で有効な薬剤が少ないMRSA感染症に対して, IPM/CSとCTMの併用療法は, 臨床的に有用性が高いことが示された。
  • 1992 年 40 巻 5 号 p. 673-707
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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